エリーヌ、カイト、シャルケ! 魔王城に行く!
広場で待っていると、次々と人族が現れる。大精霊達が転移で連れてきているようだ。その数、総勢30人ほどになった。
「チッ 俺達にこんなことをしてただで済むと思っているのか?」
怖いもの知らずの乱暴者達が目の前にいる。オレは怒りを抑えながら彼らの前に出た。
「何でここに魔族がいるんだ? 俺達と同じで女でも攫いに来たのか? アッハッハッ」
オレが指を鳴らした。
『パチン』
すると、目の前でわめいていた男の頭が吹き飛んだ。
「ヒェ———」
「貴様達もこうなりたいか?」
「お、お、俺は悪くねぇ! 俺はいい仕事があるからって連れてこられただけだ! 許してくれ!」
「素直に答えれば殺しはしないさ!」
すると、全員が頭を上下に振った。中には漏らしている者もいる。全員が座った状態なので、隣の人間のとこまで流れていた。
「お前達はどこの国のものだ?」
「イグドラ帝国だ!」
「誰に命令されてここに来た?」
「ミズーリ侯爵様だ。」
「ここにいるので全員か?」
「ああ、そうだ。」
「今迄に攫ったエルフはどこにいる?」
「帝国で奴隷になっているさ。」
「お前達の船はどこだ?」
「ここの場所がわからねえけど、白くて高い山がある岬だ。」
「わかった。ご苦労だった。お前達の処分は決まった。お前達は、わが国アスラ魔王国に連れていく。」
ここで、オレは女王に言った。
「フェアリアルさん。捕まっているエルフ達は、オレが責任をもってここに送り届けるよ。それから、2度とこんなことがないようにイグドラ帝国に行ってくるよ。」
「イグドラ帝国をどうなさるんですか?」
「状況次第かな。最悪は地図から消えてなくなるね。」
すると、隣にいたカシャが言った。
「いくらシルバー殿でもそれは言い過ぎではありませんか?」
リリーが周りを見渡しながらカシャに聞いた。
「魔王アンドロメダならできるかな?」
「そうですね。かの伝説の魔王なら可能かもしれませんね。」
「そう。なら、シルバーにもできるわよ。」
リリーの言葉で女王フェアリアル1世もカシャも理解したようだ。エリーヌ達には理解できないようだけど。
「さて、そろそろ行くよ。こいつらを魔王国まで連れて行かないといけないからね。エリーヌ達はそのまま帰れるよな。」
「師匠。俺も連れて行ってください。」
「私も。」
「ぼ、僕もです。」
「魔王国に行くんだぞ! お前達、大丈夫か?」
「はい!!!」
オレは人族とエリーヌ達を連れてアスラ魔王国まで転移した。エリーヌ達にとっても人間達にとっても初めての魔族の国だ。全員が少し怯えている。目に入る人物達が全員魔族なのだから、当たり前なのかもしれない。
「俺達、これからどうなるんですか?」
「そうだな。ケルベロスの餌にでもしようかな。」
「ま、待ってください! 働きます! 一生懸命働きますから、命ばかりはお助けください!」
「そうか。なら、ちょっと待ってろ!」
オレは念話でトロルドを呼んだ。すると、目の前に背中に金棒を背負った4mほどのトロールが現れた。全員の目が点になる。
「魔王様! お帰りだったんですか?」
「ああ。この人間達はエルフを攫って奴隷にしていた奴らだ。お前の好きなように働かせればいい。働かない奴は魔獣の餌にしろ!」
「ハッ」
男達の目がオレに移る。
「ま、ま、魔王?!」
「ああ。言ってなかったな。オレはこの魔王国の王シルバーだ。」
半分以上の人間が白目をむいて気絶した。
「シルバー! やりすぎよ!」
「このぐらいしないと、こいつらは気持ちを入れ替えないだろう。」
オレに好意を持っていたはずのエリーヌさえも顔が引きつっていた。
「エリーヌ、カイト、シャルケ! 魔王城に行くぞ! そこに部屋を用意するから、しばらくそこに泊まればいい。街の案内をするのに案内役を付けるからな。」
「師匠。俺達、魔王城に泊まれるんですか?」
「何だ! 嫌か?」
「違いますよ。村に帰ったら自慢できますから! 是非、魔王城に泊めてください!」
オレ達は街を見学しながら魔王城に向かった。街の人々はオレを見かけるとみんな挨拶したり、手を振ってくる。学生達の中にはサインを求めてくるものまでいた。
「シルバーって人気あるのね。なんか、魔王ってもっと怖い存在かと思っていたわ。」
すると、リリーが少し怒りながら言った。
「実際に見て判断しないとね。人の噂だとか、思い込みって良くないよね!」
「ごめん。僕も魔族ってもっと怖い存在だと思ってた。シルバー君が魔王って聞いてもあまりピンとこなかったけど、魔獣達を倒す姿を見たらシルバー君が怖くなっちゃって。でも、こうしてシルバー君といると、なんか温かい気持ちになれるんだよね。」
「私もよ。シルバーのことが怖いって思う時もあるけど、でも普段は優しいんだよね。」
リリーが何か嬉しそうだ。
「そろそろ魔王城だぞ!」
「お帰りなさいませ!」
魔王城の入り口には兵士が2名配置されている。僕達は入り口から入って行く。すると、ゲーテとメイド達が慌てて駆け寄ってきた。
「お帰りなさいませ。魔王様。」
「ただいま。ゲーテ。彼らの部屋を3部屋用意してくれるかな。」
「畏まりました。」
「あと、ブラッドを俺の執務室に呼んでくれ!」
「承知しました。」
オレ達は全員でオレの執務室にいった。すると、エリーヌが聞いてきた。
「魔族の人達って、普段あまり人族と変わらない人が多いのね。」
「ああ。ゲーテやメイド達ね。オレもリリーも普段は人族の姿をしてるからな。翼を出しておくと何かと面倒なんだよ。多分、みんなそんな感じじゃないか。」
するとリリーが言った。
「そうね。ほとんどの魔族が人化できるからね。中には人化が苦手な種族もいるわよ。トロールは基本的に自分で体を小さくすることができないし、アラクネ族も自分達の能力で人化できないわね。」
「言われてみればそうだな。リリーはよく観察してるな。さすが、元文部大臣だ!」
すると、カイトが聞いてきた。
「師匠。文部大臣て何ですか?」
「文部大臣っていうのはこの国の教育をどうするのか決めて、学校を作ったりする役職さ。」
すると、シャルケが赤い顔して聞いた。
「リリーちゃんは子どもが好きなんだね。」
「まあね。」
そんな話をしていると、執務室にブラッドがやって来た。
「魔王様。お呼びですか?」




