エルフの都フェアリー
その後、何もなく旅は続いた。そして、いよいよ目の前には大きな城壁が見え始めた。
「すげぇな~! あれが王都だろ!」
「そうみたいね!」
カイトとエリーヌが僕を見ながら言った。シャルケは一番後ろでぐったりしている。リリーはいつものように隣で僕の手を握っている。門の入り口まで来ると、守衛が2人待ち構えていた。
「お前達はどこから来た?」
「『精霊の森』から来ました。」
「そうか。こっちに来い!」
僕らが守衛について行くと、守衛室に案内された。
「一人ずつこの石の上に手を置け!」
「どうしてですか?」
「最近、エルフ族に変装して紛れ込んでくる人族がいるんだ! 確認のためだ!」
「わかりました。」
エリーヌからカイト、シャルケ、僕、リリーの順で石に手を置いた。だが、何の以上も出なかった。
「よし。中に行っていいぞ!」
「はい。」
目的は分からないが、人族がこの王都フェアリーに侵入しているようだ。
「師匠。王都に着いたけど、ここで何するんですか?」
「王宮に行くのさ!」
「え———!!!」
エリーヌ達が驚いて大きな声を出した。周りの人達がこっちを見ている。すると、リリーが3人を叱った。
「急に大声を出したら目立つじゃない!」
「ごめん。」
「ごめんなさい。でも、どうして王宮に行くの?」
「この国の国王に会うためさ。」
「え———!!!」
リリーが注意したばかりなのに、3人がまた大きな声を出した。
「だから! 大声出さないでよ!」
「本当にごめん。でも、驚いたよ!」
王宮に行く前に、この街のことを少し調べたい。そう思って、みんなで王都を散策することにした。他の小さな村と違って、この王都には様々な店がある。さすがは王都だ。お洒落な服屋もあった。だとすると、この王都には貨幣があるのかもしれない。僕達は目の前の服屋のおばさんに話を聞きに行った。
「すみません。聞きたいことがあるんですが。」
「なんだい?」
「私達、『精霊の森』から来たんですが、この王都には貨幣があるんですか?」
すると、服屋のおばさんが驚いたように言った。
「当たり前じゃないか。お金が無くてどうやって野菜や肉を買うんだい! みんな一生懸命働いてお金を稼ぐんだよ!」
「そうなんですか~!」
話を聞いたエリーヌも戸惑っている。今まで、お金というものに縁がなかったのだ。となると、宿屋に泊まるにもお金が必要になる。僕達は道具屋に行った。
「おじさん。ちょっといいかな?」
「なんだ?」
「魔獣の素材ってどこで売ればいいの?」
「ああ、それなら、あそこに見える素材交換所で買ってもらえばいいさ。あそこは国営だからな。」
「ありがとう。」
僕達は素材交換所に行った。すると、奥から係員らしきおじさんが出てきた。
「魔獣の素材を売りたいんだけど。」
「ここに出しな!」
「ここだと狭くて出せないよ。」
「なら、裏に来てくれ!」
「うん。」
全員でぞろぞろと裏に行った。
「ここに出してくれ!」
僕は旅の途中で討伐した魔獣を次々と出していく。オーク、アルガーター、ホーンラビット、ホワイトアント、レッドボア、そして極めつけはヒュドラだ。
「な、な、なんなんだ? この量は! ヒュドラまでいるじゃないか!」
「全部売りたいんだけど、いくらになるの?」
「これ全部、お前達だけで討伐したのか?」
すると、シャルケが余計なことを言った。
「少しは僕達も倒したけど、ヒュドラなんかはシルバーだけで討伐したよ。」
「それは本当か~?」
係員が疑いの目で見ている。それが我慢できなかったのか、エリーヌが言った。
「嘘だと思うなら、『精霊の湖』の村長のグリースさんに聞けばわかるわよ。」
「わかった。信じるよ。」
係員が査定を始めている。僕達はしばらく暇にしていると、係員が声をかけてきた。
「全部で白金貨50枚だな。それでいいか?」
「うん。それでいいよ。」
するとカイトが言った。
「師匠。本当にいいんですか? ヒュドラだけでも凄い価値があるはずですよ!」
でも、僕もリリーもこの国にお金を稼ぐために来たわけじゃない。だから、宿屋に泊まってしばらく生活できるだけのお金があればいい。そこで、係員に聞いた。
「僕達、田舎から出てきたんだよ。お金について教えてくれる?」
「ああ、いいさ。ほかに客もいないからな。最初に銅貨が基本だ。銅貨10枚で銀貨1枚だ。銀貨10枚で金貨1枚だ。金貨10枚で白金貨1枚だ。」
「なら、宿屋に泊まるにはいくら必要なの?」
「そうだな~。朝晩2食付きで銅貨5枚だな。」
「なら、白金貨50枚もあれば足りるね。」
「足りるどこらじゃねぇさ。お前さん達が全員で泊まっても、5年は泊まれるぞ!」
「ありがとう。おじさん。」
「いいってことよ!」
僕達は係員に聞いた宿屋を探した。街の中が入り組んでいてよくわからない。目印は、真っ白な王宮とその隣に建つ巨大な大聖堂だ。目の前に見えるのに、道が入り組んでいてたどり着けない。どうやら迷子になったらしい。
「エリーヌ! 本当にこの辺りであってるの?」
「知らないわよ。私だって始めてきたんだから。」
「カイト! ちょっとあの店で聞いてきてくれる?」
「わかったよ。シャルケ! 行くぞ!」
「僕も行くの?」
「当たり前だ! 早く来い!」
カイトとシャルケが野菜屋に宿屋の場所を聞きに行った。一方その頃、国営の素材交換所の係員は王宮へと来ていた。




