謎の少女セリーヌ
さらに3年ほどたった。僕もリリーも人間でいうところの13歳だ。これまでは人族と同じ年の取り方をしてきたが、これからは違う。人族が100歳まで生きるとすると、魔族は平均的に300歳は生きる。中にはもっと長く生きる種族もいる。リリーとローズおばあちゃんは堕天使族で、寿命がどのくらいなのかもわからない。でも、僕はいまだに種族が不明だ。もしかしたら未知の種族なのかもしれない。
「シルバー! 今日は街まで行くわよ。」
「いいけど、何しに行くの?」
「そろそろ冒険者ギルドで登録しようと思って。」
すると、ローズおばあちゃんが銀貨20枚を渡してくれた。
「このお金を持っていきな! 登録には一人銀貨5枚が必要じゃよ。」
「ローズおばあちゃん。これだと多すぎるよ。」
「どうせ買い食いでもするんじゃろ!」
「ありがとう。おばあちゃん。」
リリーは僕の手を引っ張って急がせた。
「早く行こうよ! シルバー!」
「わかったから手を引っ張らないでよ!」
僕もリリーと同じように背中の翼を自由に出せるようになっている。僕達は街の近くの森まで飛翔して行くことにした。街の近くの森まで行くと、そこからは徒歩だ。しばらく歩くと街が見えてきた。
「シルバー! ギルドまで競争しようか?」
「嫌だよ~! ゆっくり行こうよ!」
「よ~い! どん!」
リリーは聞く耳を持っていない。いきなり走り始めた。仕方がないので僕も後ろを走る。街に入って人通りが多くなっているにもかかわらずまだ走る。すると、目の前に急に大男が現れた。
『ドン!』
「痛ぇじゃねぇか! どこ見てやがる!」
リリーが、大きな斧のような武器を担いだ大男にぶつかった。
「ごめんなさい。」
僕もリリーと一緒に謝った。だが、大男の怒りは収まらないようだ。
「謝って済むと思っているのか!」
大男はリリーの腕を掴んだ。
「何するのよ! やめてよ! 謝ったじゃない!」
それでも大男は馬鹿力でリリーの腕を掴んでいる。騒ぎを聞いて、見物人が集まり始めた。魔族のリリーも僕もここで目立つわけにはいかない。僕達が困っていると、見物人の中からビキニアーマーの少女が現れた。
「おっさん! 2人とも謝ってるじゃないか! その手を離してやれよ!」
「部外者は引っ込んでな!」
大男はビキニアーマーの少女の言うことを無視している。すると、ビキニアーマーの少女が大男の手を掴んだ。その瞬間、大男が悲鳴を上げて掴んでいた手を離した。
「ギャー」
体の華奢な少女が大男の手を掴んだ瞬間、大男が悲鳴をあげたことに見物人は驚いている。
「てめぇ! 何しやがった?!」
大男は背中の大斧を抜いた。
「おっさん。武器を手にしたってことは、怪我してもいいってことだよな!」
ビキニアーマーの少女の身体から闘気が流れ出る。すると、大男は驚いたような顔をして言った。
「もしかして、お前、雷使いのセリーヌか?」
「だとしたらどうするんだ?」
「悪かったよ。お前と争う気はねぇからな。」
大男は見物人をかき分けて、スタスタと逃げてしまった。僕とリリーはビキニアーマーの少女のところにお礼を言いに行った。
「ありがとう。助かったわ。」
「大したことじゃない。それより、気を付けろよ!」
見物人からはビキニアーマーの少女に大きな拍手が起こる。
「カッコいいぞー! セリーヌ!」
「セリーヌ様! 最高!」
その後、僕とリリーは予定通り冒険者ギルドに向かった。冒険者ギルドに着くと、ギルド内はいつもの通り酒臭い。我慢しながら受付に向かった。
「あれっ?! リリーちゃんとシルバー君じゃない。今日は2人なの?」
「はい。今日は僕達の登録に来たんです。」
「2人とももうそんな年なのね! 私も年を取るわけよね。」
「アカネさんはいつでも若いじゃないですか?」
「ありがとう。シルバー君。今度、うちに泊まっていってもいいわよ。」
するとリリーの目が鋭くなる。
「リリーと一緒ならいいですけど。」
「2人は本当に仲がいいのね。じゃあ、登録するからこれに必要事項を書いてくれる?」
アカネさんはニコニコ笑いながら紙を出してきた。僕とリリーは必要事項を書く。
「リリーは得意なものってなんて書くの?」
「私は魔法よ。シルバーはどうするの?」
「僕は剣かな~。」
リリーは炎魔法しか使えないが、その威力は半端ない。一方の僕はいろんな魔法が使えるが、どれも威力がイマイチだ。2人はアカネさんに紙を渡した。
「ちょっと待っててね。今、用意するからね。」
しばらくして、アカネさんがカードを持ってきた。カードにはランクが『E』と書かれている。
「最初は全員Fからなんだけど、2人はEからでいいわね?」
「いいんですか?」
「いいもなにも、本当ならCかDでもいいぐらいよ。でも、規則だからね。因みに説明はいらないわよね。」
「うん。大丈夫。おばあちゃんから聞いてるから。」
「じゃあ、奥の掲示板で依頼を見つけてきてね。くれぐれも無理をしないようにね。」
「はい!」
僕とリリーは奥の掲示板に依頼を見に行った。そこに、見たことのある少女がいた。
「さっきはありがとう。」
「お前達、冒険者だったのか?」
「私達は、たった今登録したばかりよ。私はリリー。よろしくね。」
「僕はシルバーだよ。」
「お前は男だったのか? てっきり2人とも女だと思ったぞ! 俺はセリーヌだ。最初は簡単なものにした方がいい! 怪我をしないように気を付けな!」
僕はセリーヌの言葉で落ち込んだ。
「何よ。シルバー! 女と間違えられたぐらいで情けないわよ。シャキッとしなさい!」
落ち込んでいる僕を横目に、リリーは掲示板をじっくり見ている。そして、掲示板から1枚の紙を剝がした。




