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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
ユーテス大陸
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ヒュドラ討伐(1)

 夕食までにはまだ少し時間があるので、村長のグリースに言って村を散策することにした。村の中を歩くと、男手をなくした女性達が背中に矢を背負っているのが目立つ。恐らく狩りにでも行くのだろう。ヒュドラのいる反対側に森に入って行った。中には、家の隣の畑で野菜の世話をしている女性もいた。



 エリーヌがポツリと言った。



「なんか気の毒ね。」



 すると、カイトが答えた。



「仕方ないさ。俺達エルフ族は森の民だ。魔獣と戦う機会が多いんだから。」



 確かにそうかもしれない。人族の街は森から少し距離がある。だが、エルフ族の村は森の中にあるのだ。


翌朝、僕達が村の広場に行くと、背中に弓を背負った男達が何人もいた。後からもぞろぞろとやって来た。総勢50人ぐらいだ。みんなの前に村長が現れた。



「この村の平和はお前達にかかっている! ヒュドラを討伐してきてくれ! 吉報を待っている!」


「オオ———」



 男達は森の中に入って行く。本来森の中には小鳥のさえずりが聞こえるが、全く聞こえない。40分ほど歩くと、少し先に開けた場所が見えてきた。かなり広い。その中心には大きな湖がある。



「着いたぞ! A班は対岸へ、B班は右、C班は左に回れ!」



 僕達は隊長と一緒のD班だ。各班が移動しようとすると、森の中からウジャウジャと蛇が出てきた。小さいものからものすごく大きなものまでいる。おまけに湖の中からは巨大な蟹の魔物やカエルの魔物まで出てきた。隊長の声が響き渡る。



「みんな! 魔獣どもを殲滅するぞ!」


「オオ———!」



 全員で攻撃を仕掛ける。矢で攻撃するもの、剣で攻撃するもの、魔法で攻撃するもの、とにかく全で攻撃するしかない。エリーヌとカイトは矢で攻撃した。シャルケは腰の剣を抜いて戦っている。



「ウワッー!」



 兵士がやられたみたいだ。僕は怪我をした兵士に近寄って、布を当てて傷の手当てをするふりをしながら『ヒール』をかける。



「助かった。痛みがない。これなら戦える!」


「シルバー! どうする?」


「しばらく様子を見るさ。リリーも手出ししちゃだめだよ。」


「うん。」



 隊長も魔法で攻撃している。どうやら水魔法のようだ。隊長が魔法を発動すると、水が魔獣の身体を切り裂いていく。



「エリーヌ! そっちのアナコンドは任せたぞ!」


「わかったわ。カイト!」


「シャルケは湖の近くのキラークラブを倒してくれ!」


「了解だよ。」



 エリーヌ、カイト、シャルケの3人の実力は隊長以上だ。ここに来るまでに修行した成果が出ているのかもしれない。



「そろそろ終わりね。シルバー!」


「怪我人を一か所に集めるのを手伝ってくれる?」


「わかったわ。」



 怪我をした者達を1か所に集める。そして、僕が手当てするふりをしながら全員に『ヒール』をかけていく。すると怪我人から声が上がった。



「あんた凄いな! あんたに手当てしてもらったら痛みがなくなったぞ!」


「俺もだ! これならまた戦えそうだ!」



 隊長が僕達のところに来た。



「君達がいてくれて助かったよ。俺達だけならもっと怪我人が出たはずだ。おまけに怪我まで治療してもらって、本当に感謝する。」


「いいんですよ。ねっ! 師匠。」


「そうだね。カイト達のいい修行にもなったしね。」


「そうよ。なんか自分でも今までより強くなった実感が出たわ。これも、シルバーとリリーのお陰ね。」



 しばらく休んだ後、いよいよ戦闘の準備に入る。



「A班は対岸へ、B班は右、C班は左に回れ!」



 僕達は隊長と一緒にいる。



「じゃあ、始めるぞ! 準備はいいか!」


「オオ———!!!」



隊長が湖に向かって魔法を放った。



「水の精霊よ! 我に力を与え給へ!」



 すると、上空で矢が無数に分かれて湖の中に次々と落ちていく。矢が落ちた場所から徐々に湖が凍り始めた。すると、湖の中心にブクブクと泡が浮かんできた。



「そろそろ出てくるぞ! みんな! 構えろ!」



 隊長の命令でみんなが弓を構える。ブクブク出てきた泡の中心の水が一気に噴き出した。そして、そこには体長10mほどのヒュドラが現れた。ヒュドラは怒ったように周りに毒のブレスを吐く。毒の触れた地面が紫色に溶けている。



「放て———!」



 隊長の命令でそれぞれが魔法を付与して矢を放った。ヒュドラは頭で矢を叩き落しているが、落としきれない。たくさんの矢がヒュドラに命中した。



「ギュオー」



 ヒュドラが大きな咆哮をあげ、一旦水の中に逃げた。そして、今度は右側の岸に近い場所にヒュドラが現れた。右側にいた男達は大パニックだ。急いで森の中に退避していく。そこにヒュドラが毒のブレスを吐き出した。



「まずいな!」



 僕はみんなに気付かれないように、毒のブレスがエルフ達まで届かないように風を起こした。すると、森に逃げ込んだ男達が振り返って驚いたように言った。



「奇跡だ! 俺達、生きてるぞ!」


「なんなんだ? 今の風は?」


「きっと、神様が風を起こして助けてくれたんだ!」



 リリーが僕を見た。そろそろ限界のようだ。



「隊長さん。あのヒュドラ、僕が倒したら僕がもらっていいんだよね?」


「お前は何を言ってるんだ? お前一人で倒せるはずないだろう!」



 すると、リリーが隊長に言った。



「信じるか信じないかはあなた次第です! でも、下がってみてた方がいいわよ。」


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