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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
ユーテス大陸
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今後の対策

 ジェットを捕らえた後、僕達はビザンツ城に行きテドラ国王の病を治癒した。失声症で声の出ないはずの王子と王女が、父親との再会で大声を出した。感動の再会だ。そして、その日は一旦解散となり、翌日あらためて僕達はビザンツ城にやって来た。現在は、大会議室にテドラ国王をはじめ、この国の重鎮達も全員が揃っている。その席で、僕はジェットの悪行をすべて説明し、ジェットの処分はテドラ国王に任せることにした。当然、テドラ国王には僕達が魔族であること、僕が魔王であるということも伝えた。だが、テドラ国王はそれほど驚かなかった。それどころか、テドラ国王は立ち上がって重鎮達を見渡しながら言った。



「諸君。まずは、今日ここに来ていただいたシルバー殿、リリー殿、モモカ殿、トロルド殿に感謝をしようではないか。彼らがこのわしを救ってくれたのじゃ。この国を救ってくれたのじゃ。国を代表してお礼を言わせてほしい。本当にありがとう。」


「昨日も言った通り、僕達は世界を平和にしたいだけなんだ。だから、みんなも協力して欲しい。」



 すると、テドラ国王が言った。



「シルバー殿。約束しよう。我々は、いかなることがあってもこちらからエルフ族を攻めることはせん。」


「そうだね。この国がエルフ族の国と争っているのは知ってるよ。原因はアタゴ山とタケオ山だよね。」


「その通りじゃ。わしらは鉱石が採れるアタゴ山が欲しい。エルフ族達は世界樹の幼木のあるタケオ山が欲しい。だが、どちらの山にも強力な魔獣がおるんじゃ。だから、簡単に事が進まないんじゃよ。」


「それならもう心配いらないよ。」



 テドラ国王が聞いてきた。



「どういうことじゃ?」


「魔獣はもう僕達が討伐したからさ。」



 その場の全員が驚きの声をあげた。



「え——————!!!」


「その話は本当ですか? ならば、もうあの2つの山に脅威は存在しないのですかな?」


「そうだよ。ほら、これ!」



 僕は空間収納から地竜とコカトリスの魔石を取り出して見せた。



「おお! 確かにこの大きさ、この魔力は地竜とコカトリスのもので間違いないわい!」


「このことをエルフの国エルグランに行って、伝えてこようと思うんだよね。その上で、このドラッコ王国と仲良くするように説得しようと思ってるんだ。」


「それはありがたい。エルフ族もドワーフ族も元々、妖精族ですからな。兄弟のようなものなのじゃよ。本来はともに世界樹を守る存在なのじゃが。」



 そしてその日は、僕達の歓迎会が開かれることになった。僕達はドワーフに変身することをせず、人族の姿に変身したままだ。



「シルバー殿。エルフ族の国エルグランについてお話しておきますな。」


「ありがとう。テドラさん。」


「エルフ族は自分達の種族以外をすべて嫌っておるんじゃ。自分達こそが神によって選ばれた種族だと考えておるのじゃろう。」


「そうなの? でも、ドワーフ族もエルフ族も妖精族だよね。」


「そうなんじゃが、彼らは我々と違って世界樹の守護を任されておるのじゃ。」


「でも、それってエルフ族の祖先達が、古代に起こったの戦争の際に世界樹を守ったからじゃないの?」


「そうなんじゃが、でもどうしてそのことをシルバー殿が知っておるんじゃ?」


「他にも聞いたことがあるよ。僕の聞いた話だと、ドワーフ族は大地の大精霊ノームの子孫で、エルフ族は森の大精霊ドライアドの子孫だと思ってたんだけど。」


「シルバー殿は博識ですな。その通りじゃ。ですが、彼らは何やら誤解しているのじゃ。自分達こそが選ばれた民だと。」


「厄介だね。」


「はい。わしらが協力して地竜やコカトリスの討伐をしたいと申し出たんじゃが、エルフ族達は聞く耳を持っておらんのじゃ。」



 すると、リリーが言った。



「なら、エルフ達はどうするつもりだったのかな~?」


「それはわからん。じゃが、彼らの魔力は強力じゃ。シルバー殿達のような魔族の魔力ほどではないにしても、わしらドワーフ族や人族達と比べれば遥かにすぐれおるから、自分達で何とかしようとしていたのやもしれんな。」



 今度はモモカが言った。



「魔王様。どうしますか? 今度はエルフ族に変身して行きますか?」



 すると、デルタ王子とシグマ王女のそばに控えていたドルトンが言った。



「お言葉ですが、それは無理でしょう。彼らエルフ族は魔力の感知に優れています。皆さんから感じられる魔力が、同族の魔力なのかどうかはすぐにわかってしまいます。」



 ドルトンの言葉を聞いて、開き直ったようにトロルドが言った。



「このままの姿で行くしかないんじゃないですか?」


「いや、人間の姿で変装していくことにするよ。」


「どうしてですか?」


「僕の記憶だと、魔族は世界中から嫌われているからね。」



 テドラ国王が申し訳なさそうに言った。



「シルバー殿のいわれるとおりじゃ。わしらも直接シルバー殿達と出会わなければ、誤解したままじゃった。どの種族も力の強い魔族を怖がっておるのじゃよ。」



 その日はテドラ国王に招かれて、ドワーフ族の料理を食べた。野菜が少ないがそれなりに美味しい。僕とリリーは果実水をいただき、トロルドとモモカはお酒を飲んで楽しく過ごした。ドワーフの重鎮達も一緒だ。酒が入ると、ドワーフ達はみんな陽気になるようだ。また、デルタ王子もシグマ王女もすっかり話ができるようになったようで、今まで話が出来なかった分、彼らはリリー達と一生懸命話をしていた。



 そして翌日、オレ達は一旦魔王城に戻った。久しぶりの魔王城だ。オレ達が帰ると、執事のゲーテがメイドを連れてやって来た。当然、オレ達は魔族の姿に戻っている。



「魔王様。お帰りなさいませ。」


「ただいま。早速で悪いんだけど、ブラッドをオレの執務室に呼んでくれるか。」


「畏まりました。」



 モモカとトロルドは一旦王都の自宅に帰した。今、オレの執務室にはリリーと二人だけだ。



「シルバー! エルフの国はどうするの?」


「セリーヌに相談しようか? 彼女ならエルフの国にも行ったことがあるはずだから。」


「えっ?! セリーヌと一緒に行くの?」


「どうして? だって、オレ達の師匠じゃないか。」


「そうだけど、でも・・・・」



 多分、リリーはオレがセリーヌと仲良くなるのが心配なんだろう。だが、オレがリリー以外に恋心を抱くことはない。リリーは、オレがアンドロメダと呼ばれていた時代に最愛だった女性アテナの生まれ変わりなのだから。



「オレはリリーが好きだから大丈夫さ。」


「えっ?! 本当に?!」


「ああ、だって、口一杯に食べ物を詰め込んでいるリリーは栗鼠みたいで可愛いからね。」


「シルバー! ひどい!」



 オレはリリーの目を見た。リリーもオレの目を見つめている。二人の顔がゆっくりと近づいていく。もう少しで、唇が触れるところでノックの音が聞こえた。



「コンコン」


「入れ!」


「失礼します。魔王様。お呼びでしょうか?」


「ブラッド。オレの留守中にかわったことはなかったか?」


「はい。このアスラ魔王国内では特に変わったことはありませんでした。」


「そうか。アスラ魔王国内では何もなかったということは、他で何か問題があったということだな。」


「はい。お察しの通りです。詳しい内容は人族の国に出向いていたセリーヌから直接聞いてください。今、セリーヌを呼びますから。」



 ブラッドがそう言うと、ブラッドのすぐ後ろにセリーヌが現れた。すると、リリーが顔を赤くしてセリーヌに聞いた。



「セリーヌ! いつからいたの?」


「今来たところさ。ブラッドが俺の名前を呼んだからな。」


「そう。ならいいわ。」


「なんだ? 俺に聞かれるとまずい事でもあったのか?」


「ち、違うわよ!」



 魔族の中でもセリーヌとブラッドの能力は群を抜いている。恐らく、リリーよりも能力が高いだろう。



「それで、シルバー! 俺に何か用事か?」


「まあ、みんな座れ! 人族の国で何かあったらしいが、詳しく教えてくれるか?」



 オレは自分の椅子に座っている。他の3人はオレの机の前の応接の椅子に腰かけた。そして、セリーヌが話し始めた。



「俺はイングス聖教国に調査に行っていたんだが、そこで妙な噂を聞いたんだ。」


「どんな噂だ?」


「どうやら勇者が召喚されたらしい!」


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