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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
シルバー成長期
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ローズおばあちゃんとリリーの秘密

 僕達はハーネストの街から帰る途中で盗賊に襲われた。そこで、リリーが盗賊に傷つけられ、それを見た僕はあり得ない力で盗賊達を一瞬で討伐してしまった。その後意識を失い、意識が戻った時には何も覚えていなかった。帰宅後、ローズおばあちゃんが大事な話があるようだった。



「いいかい、シルバー! これから話すことや見たことは絶対に人に話してはいけないよ!」



 ローズおばあちゃんの顔が真剣だ。



「うん。」


「実はわしとリリーは魔族なんじゃ!」



 僕は3年間一緒に暮らしていて、ローズおばあちゃんもリリーも人族ではないかもしれないと思っていた。だから、別に驚きもしなかった。



「驚かんのか?」


「うん。なんとなくわかってた。お風呂で見たけど、ローズおばあちゃんの背中もリリーの背中も何かが出てきそうな感じだったから。」


「そうか。わかっていたのか?」


「うん。」


「それでじゃ。シルバー。お前のことじゃが、もしかしたらお前も魔族なのかもしれんな。」


「どうして?」


「理由はいくつかあるさ。」



 リリーが真剣に聞いている。



「まずは、お前の魔力量は人間離れしている。それに、魔法の威力が異常じゃ。」


「毎日練習してるからじゃないの? おばあちゃん。」


「リリーよ。シルバーはまだ幼い。にもかかわらず、シルバーの魔力量は魔族の中でもトップクラスなんじゃよ。人間にはありえんことじゃ。それに、リリーも今日のシルバーを見ただろう。あの動き、あの魔法は人族には使えん。魔族の中でも使えるものは少ないじゃろう。」


「ローズおばあちゃん。他にも理由があるの?」


「ああ、あるさ。これから昔話をしてやろうかね。」



 ローズおばあちゃんの話によると、太古の時代にすべての種族が平和に暮らしていたらしい。魔法が得意でない人族は、文明を発展させ、魔法に負けないほどの武器を手に入れた。そして、数の多い人族は他の種族を奴隷にしはじめたのだ。特にエルフ族と魔族の女性は、その美しさから一番狙われたようだ。魔法が得意だった魔族に中には、人族を滅ぼそうとする集団が現れた。だが、その時、魔族の中にずば抜けた強さを持った魔王が現れ、平和を乱す人族を大量に殺した。そして、人族と各種族の王が話し合い、すべての奴隷が解放され、再び世界に平和が訪れた。だが、人族を大量に殺した魔王は、魔族以外のすべての種族から、恐怖の象徴として恐れられるようになった。そうして、魔王は突然姿を消したそうだ。



「その魔王って、もしかして・・・・」


「そうじゃ。魔王アンドロメダ様じゃ。」



 僕の胸にチリッと痛みが走った。



「おばあちゃん。その話とシルバーが魔族かもしれないのと、どんな関係があるの?」


「再び世が乱れる時、魔王アンドロメダ様は生まれ変わると言われているのじゃ。」


「ま、まさか! シルバーがアンドロメダ様の生まれ変わりなの?」


「僕はそんなんじゃないよ。」


「シルバーが森の中で一人でいたこと。すべての記憶がないこと。とてつもない魔力。わしには、どうしてもシルバーがアンドロメダ様の生まれ変わりのような気がするんじゃがの~!」


「ローズおばあちゃん。アンドロメダ様の種族はなんだったの?」

 

「それが謎なんじゃよ。背中には黒くて大きな翼があったと言われているから、わしらと同じ堕天使族かバンパイア族だったのかもしれんな。」



 すると、ローズおばあちゃんとリリーの背中に漆黒の翼が出た。



「シルバー! 黙っていてごめんね。」


「すごく奇麗だよ。触っていい?」


「いいよ。」



 僕はリリーの翼をじっくり触った。滑々していてものすごく手触りがいい。すると、リリーが体をもじもじさせ始めた。



「シルバー! もういいでしょ?」



 するとそれを見ていたローズおばあちゃんが注意した。



「リリー! シルバー! わし達の翼は本来夫婦が触るところじゃ。他人に触らせてはいかんぞ!」



 よく意味が分からなかったが、リリーの翼には触らないようにしようと思った。



「やっぱり、僕は魔族じゃないよ。だって、翼なんてないもん。」


「それが不思議なんじゃよ。わし達の翼は生まれた時からあるからのう。ただ、普段はこうして隠しているだけなんじゃ。」



 すると、ローズおばあちゃんの翼が消えた。翼のなくなったローズおばあちゃんもリリーも、どこからどう見ても人族だ。



「シルバー! これからどうするの? 私もおばあちゃんも魔族なのよ!」



 リリーが心配そうな顔で聞いてきた。



「僕は全然気にしないよ。それよりも、リリーもローズおばあちゃんも僕が一緒にいてもいいの?」


「当然じゃないか。シルバー! お前はわしのかわいい孫なんじゃから!」



 ローズおばあちゃんが僕を抱き寄せた。僕はローズおばあちゃんの匂いが大好きだ。優しくて甘い香りがする。その日は、みんな疲れたので食事をして寝ることにした。そして、翌日から普段と変わらない生活が始まった。ただ違うのは、街で買ってきた本で僕とリリーが勉強するようになったことだ。



「シルバーはどうして算術が得意なの?」


「わからないよ! なんか自然とできちゃうんだもん。」



 リリーは算術が苦手なようだ。だが、不思議なことに、本に書かれている問題が僕にはものすごく簡単に感じる。



「ねぇ? この問題教えてよ!」


「いいよ。」



 勉強が終わった後は、いつものように魔法と剣の訓練を兼ねて山に狩りに行く。その日は、少し山の奥まで行くことになった。



「シルバー! なんか周りが静かになったんだけど~!」



 確かに鳥の鳴き声が聞こえなくなった。それに、魔獣の気配がする。



「リリー! なんか魔獣の気配がしない?」


「ちょっと様子を見てくるね。」



 リリーは自分が堕天使族だとばれてからは、あまり自重しなくなった。黒い翼を出して上空に舞い上がる。



「キャー」



 しばらくして、リリーの悲鳴が聞こえた。僕は悲鳴の聞こえた方向に急いで向かった。すると、リリーが地面に倒れている。そして豚の姿をした魔獣達が、倒れているリリーを上から見下ろしていた。



「シルバー! 気を付けて! こいつら矢を放ってくるわよ!」



 すると、木々の間から僕をめがけてたくさん矢が飛んできた。僕は腰の剣を抜いて矢を叩き落したが、捌ききれずに左腕に矢を受けてしまった。左腕からは血が流れだした。



「シルバー!」



目の前では、豚の魔獣が倒れているリリーに剣を向けている。



「シルバー! 助けてー!」



 リリーの悲鳴が僕を目覚めさせたようだ。僕の身体から真っ黒なオーラが出る。そして、背中には漆黒の大きな翼が出た。僕が手を前に向けると、リリーの近くにいた豚の魔物の身体がグチャグチャにつぶれた。それを見て、他の魔獣達は一目散にその場から逃げた。だが、それを僕が許さない。辺り一帯が黒い壁に覆われ、もはや逃げ場はない。すると、今度は豚の魔獣が僕に向かって一斉に攻撃してきた。



「シルバー! あなた! その姿は?」



 僕が豚の魔獣を睨みつけると、豚の魔物の身体がその場で爆散した。



「ブギャー」



 そして、僕は意識を失った。


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