テキサスシティー(2)
僕達が狩人ギルドから出ると、待っていたかのように兵士達がやって来た。
「お前達は狩人か?」
「ええ。そうよ。」
すると、兵士達が話をしていていた。
「こいつら女だぜ! どうするんだ?」
「女でも狩人なら戦えるさ。隊長のところに連れて行くだけだ。」
「わかった。」
兵士達が何やら相談していたようだが、話が済んだようで再び僕達に声をかけてきた。
「こっちに来い!」
「私達は新婚旅行中なのよ。行くわけないじゃない。」
「お前、男なのか?」
「そうだよ。」
「軟弱な奴だ! 今は戦争中だ! そんなときに新婚旅行とは腑抜けた野郎だ!」
「何でもいいからとにかく来い!」
兵士の一人がリリーの手を掴んだ。その瞬間、その手が身体から切り離された。
「ギャー」
手を切り落とされた兵士は地面を転がっている。
「き、貴様! 何をした!」
「見てたでしょ! 何もしてないよ!」
「何もしてないはずがないだろう! 現にこいつの手が切り落とされたではないか!」
「神様が罰を与えたんじゃないのかな~。」
「ふざけたことをぬかすな!」
すると、騒ぎを聞きつけて兵士達が続々とやって来た。一番後ろから、隊長らしき虎耳族の男性もやって来た。
「どうしたんだ?」
「はい! 隊長! こいつがジレットの手を切り落としたんです。」
「それは本当か?」
「どうかな~? だって僕が切り落としたのを見たの?」
「・・・・・」
「ほら、なら僕がやったって証拠はないよね。」
「ふざけるな。ここには俺とお前達しかいないんだぞ!」
「でも、こんなに近くにいて僕が切ったところを見てないんでしょ?」
「・・・・・」
隊長の顔がだんだん赤くなっていく。
「これ以上は無駄なようだな。お前達はライオネル王国の回し者か?」
「違うよ。ジュネブ村から新婚旅行で来たんだから。」
「怪しいな。こいつらを捕らえろ!」
するとリリーが前に出た。
「あなたに聞きたいんだけど。どうして中立の狩人を戦争に参加させたのよ?」
「狩人は腕がたつからな!」
「なら、戦争に反対の人間まで参加させるのはなぜ?」
「戦えなくても、俺達の盾になるぐらいはできるさ。お国のために死ねるんだ。本望だろうが。」
「シルバー! こいつらはダメなようよ。」
「せっかくチャンスをあげたのに~。」
「貴様ら! 何を言ってるんだ!」
「だから今言ったでしょ! あなた方が改心するようなら助けてあげようと思ったのよ。でも、無駄なようね。」
リリーの身体から真っ黒なオーラが溢れだす。あたりの空気が急に冷え込んでいく。兵士達の顔が驚きから恐怖へと変わっていく。
「貴様達は何者だ?」
「あんたたちが知っても無駄でしょ。すぐに死ぬんだから。」
「おい! こいつらを殺せ!」
隊長は部下に命令して自分は後ろに下がった。
「シルバー! この隊長は私が処理するわ。後はお願いね。」
「いいけど。あまり苦しめないようにね。」
僕達の言葉を聞いて兵士達の恐怖が増していく。何人かの兵士が僕に切りかかった。僕は動かない。にもかかわらず、兵士の身体が上下に切り離された。それを見て、他の兵士達が一目散に逃げ始める。僕が『パチン』と指を鳴らすと、全員が全身から血を噴き出してその場に倒れた。
「終わったよ。リリー。」
「ありがとう。邪魔者は片付いたわね。後は、こいつだけね。」
虎耳族の隊長は腰が抜けて、その場に座り込んで失禁している。
「お国のために死ねるのは本望なんでしょ?」
「助けてくれ! お願いだ! 俺は死にたくない!」
「他の人達もそう思っていたのよ。」
リリーが剣を振った。隊長はその場で絶命した。
「終わったね。」
「まあね。」
周りには人が見当たらない。俺達は背中から翼を出して上空に飛翔した。だが、狩人ギルドの受付の女性は一部始終を見ていたようで、僕達が立ち去った後、僕達に向かって手を合わせていた。
「シルバー! ヨハネスシティーまであとどれくらいなの?」
「後2~3時間ぐらいだと思うよ。」
「もう、5時間は飛んでるわよ。少し休まない?」
「わかったよ。」
僕は森の中の少し開けた場所に舞い降りた。リリーもそれに続いて降りてきた。
「あ~! 疲れた~!」
「なら、今日はここでキャンプでもする?」
「本当に?」
「時間的にもそろそろ暗くなるもんね。」
「良かった~!」
「そんなに疲れたの?」
「だって、普段飛翔することなんかないじゃない。」
「まあね。じゃあ、ご飯の準備でもしようよ。森に薪を拾いに行かなくっちゃ!」
「私も行く! 一人は嫌だもん。」
リリーが僕の手を掴んできた。リリーに身体のぬくもりが僕に伝わる。幸せなひと時だ。




