シルバーとリリー、獣人族に変身する!
会議が終了し、オレは自分の執務室に戻った。少し疲れたので、応接の椅子に腰かけて休んでいた。すると、そこにリリー、セリーヌ、ブラッドがやって来た。
「魔王様! 獣人族の国に行くのにその姿で行くのですか?」
「どうしてだ?」
「獣人族、エルフ族、ドワーフ族は過去の歴史から人族を嫌っております。その姿では活動し辛いと思いますが。」
ミーア達を送って行った際にはあまり感じなかったが、現実問題として、人族を嫌っている獣人族がいてもおかしくはない。
「リリーにも指輪を渡したよな。それをちょっと貸してごらん。」
リリーがオレに指輪を差し出してきた。オレはそれを受け取って魔法を付与する。
『トランスフォーム』
すると指輪が一瞬眩しく光ってすぐに収まった。
「何かしたの?」
「これを指にはめて、なりたい獣人族の姿を想像してごらん。」
すると、リリーの体が光り頭から猫の耳が出た。お尻からは尻尾まで出ている。
「キャー」
リリーが悲鳴を上げた。尻尾が生えたために下着がずれてしまったようだ。すると、セリーヌが羨ましそうに言った。
「リリー! お前のその胸は何だ! 誇張しすぎじゃないのか!」
「だって、なりたい姿を想像したらこうなったんだから仕方ないじゃない。」
「シルバー! 俺の指輪にも同じ魔法を付与してくれ!」
「わかったよ。」
セリーヌの迫力に負けてしまった。ブラッドは楽しそうにニコニコしている。確か、昔にもこんなことがあった。オレがアンドロメダだった時、アテナとビーナスが争うようにオレに頼みごとをしてきた。あの時も、ブラッドは脇でニコニコ笑っていた。
「さて、オレはどうしようかな~?」
「シルバーも猫耳族になるのよね?」
「いいや、オレは狼耳族だな。」
オレは魔法で自分の姿を変えた。頭には狼の耳、お尻にも尻尾が生えた。
「なんか、ルーパ船長みたいだね。」
「そうか~! そういえば、ルーパ船長も狼耳族だったな。」
オレとリリーは準備ができたので、アマゾル大陸のミーア達のいるジュネブ村まで転移した。そして、ミーア達の家までやって来た。
「こんにちは~!」
「は~い!」
家の奥からミーアが出てきた。
「えっ?! もしかしてシルバー兄ちゃんとリリー姉ちゃんにゃ?」
「そうだよ。」
「うそにゃ~! 獣人族になってるにゃ?」
ミーアの声を聞いて母親が出てきた。
「えっ?! シルバーさんとリリーさんですよね?」
「ええ、そうですよ。」
さすがに親子だ。全く同じ反応をしている。
「これから、この大陸の2つの国を回るからね。」
「なるほど、そうなんですね。」
「なんか、獣人族の人達は人族を嫌っている人が多いと聞いたから変身したんだよね。」
「どうなってるにゃ~?」
ミーアがリリーの尻尾を掴んだ。すると、リリーが色っぽい声を出した。
「いや~ん! ミーア! 尻尾は触らないで!」
すると驚いた様子で言ってきた。
「もしかして、その耳もその尻尾も本物にゃ?」
「そうよ。」
「なら、ごめんなのにゃ! 私も尻尾を触られるとくすぐったいにゃ!」
「そうよ! 獣人族の尻尾は結婚相手にしか握らせないのよ。いつも言ってるでしょ!」
ミーアが母親に叱られて、耳が下に下がってしまった
「そうだったにゃ! 偽物だと思ったにゃ!」
それから、僕とリリーとミーアはキャロットとヨーコの家に行った。キャロットもヨーコも僕達を見て、目を丸くして驚いていた。
「シルバー兄ちゃんもリリー姉ちゃんもよく似合ってるぴょん。」
「うん。これなら、獣人族と言っても疑われることはないコン。」
「みんなにそう言ってもらって安心したわ。ところで、これからティガ王国に行こうと思ってるんだけど、どっちにあるの?」
「この道をまっすぐ行くにゃ! そうすれば、ティガ王国に入るにゃ。ティガ王国は血の気の多い人達がいるから気を付けるにゃ!」
「ミーアの言う通りだぴょん。国王は虎耳族でベンガル国王っていうぴょん。虎耳族は戦闘好きの種族だから気を付けるぴょん。」
ここで、僕は不思議に思ったので聞いてみた。
「ティガ王国の種族とライオネル王国の種族は違うの?」
「ティガ王国は虎耳族、猫耳族、馬耳族、狐耳族、象耳族が中心にゃ。ライオネル王国はライアン国王の獅子耳族、狼耳族、犬耳族、兎耳族、牛耳族が中心にゃ。」
すると、リリーの顔色が蒼くなっていく。
「なら猫耳族の私と、狼耳族のシルバーは敵同士ってことになるよね?」
「違うぴょん。この街にも様々な種族が暮らしているぴょん。今は、どこの街にも様々な種族がいるぴょん。」
「キャロットの言う通りだコン。ただ、各種族の族長がどちらかの国の大臣になってるんだコン。」
「なら、猫耳族の私がライオネル王国に行っても問題ないのね?」
「問題ないにゃ。」
「良かったー!」
「リリー姉ちゃんは、シルバー兄ちゃんと離れ離れになるのがそんなに嫌なのかコン?」
ヨーコの意見にリリーは真っ赤な顔をして戸惑っていた。
「誤解しないで! 弟が心配なだけよ!」
「そういうことにしておくぴょん。」
「じゃあ、リリー! そろそろ行こうか?」
「うん。」




