孤児院建設!
その日はみんなで楽しく食事をして、僕とリリーとジョン夫妻は街の宿屋に泊まることになった。そして、翌朝、ジョン夫妻が僕達の部屋を訪ねてきた。
「シルバーさん。リリーさん。俺達決めました。この街に孤児院を作ります。そこに、戦争で親を亡くした子ども達を集めます。」
「そうなの? なら、ミーア達の家族にも相談した方がいいわね。」
僕達はミーアの家に向かった。そこで、みんなに集まってもらって相談することにした。
「今日はみんなありがとう。ジョンさんからお願いがあるんだ。じゃあ、ジョンさん。」
ジョンがみんなの前に出て説明を始めた。
「俺とポメルはライオネル王国に住んでたんだが、戦争で徴兵されることになったんだ。でも、人を殺すのも殺されるのも嫌だったから人族の大陸に逃げて暮らしてたんだ。そんな時、シルバーさんやリリーさんが獣人族の子ども達を保護して、わざわざアマゾル大陸まで送り届けるなんて話を聞いて。」
ここで、ジョンは少し言葉に詰まった。そして、再び顔をあげて話し始めた。
「魔族のシルバーさんが、何の関係もない獣人族の子ども達のことを真剣に考えているのを知って、俺やポメルにもできることがあるんじゃないかって思ったんだ。俺はこの大陸で戦争孤児達の面倒を見たいんだ。幸いにもこの村は中立だ。ならば、この村のどこかに孤児院を作れないだろうか?」
すると、キャロットの父親が言った。
「見ての通り、この村は街と言っていいほど大きい。土地もたくさんある。けど、問題点が2つあるな。一つは、建物の問題だ。戦争孤児達を集めるとなるとそれなりの建物が必要だろ。2つ目は、どうやって戦争孤児達をここまで連れてくるかだ。」
今度はミーアの父親が言った。
「俺は狩人だ。この大陸のほとんどの街には狩人ギルドがある。狩人ギルドは原則として中立だ。狩人ギルドを通して、戦争孤児達をここに連れてきてはどうだ。」
すると、ヨーコの父親が言った。
「それはいい考えだ。なら、商業ギルドにも依頼すればいい。商業ギルドも中立だからな。」
「皆さん。ありがとうございます。」
ここで、ヨーコの母親が言った。
「孤児達を集めるのは分かったけど、建物や世話はどうするの? ジョンさんとポメルさんだけで世話するのは無理でしょ?」
すると、ミーアの母親が言った
「みんなで世話しましょうよ。この村の他の人達にもお願いして、この村のみんなで子ども達を育てていきましょうよ。」
全員が賛成した。ここでキャロットの父親が言った。
「なら、せっかくみんながいるんだから、孤児院の設置場所を決めに行こうぜ。」
「あてはあるのか?」
「ああ、俺の畑の隣に雑木林があるんだが、かなり面積があるんだ。中心の木を切り倒せばかなり広いと思うぜ。」
「なら、行ってみるか!」
全員で村の畑地帯まで来た。当然、ミーア達も一緒だ。そこには広大な畑が広がっていた。その奥に確かに雑木林があった。山でもないのに、畑の隣に木々が生い茂っている場所があったのだ。その場所を見て、ミーアの父親が言った。
「広さはいいが、あの木を全部切るのは大変だぞ!」
僕はジョンの願いを何とかかなえてあげたいと思った。
「みんなそこで待ってて!」
僕とリリーは翼を広げて雑木林の上まで飛翔した。
「リリー! 僕が周りに結界を張るから、この木を全部燃やしてくれる?」
「お安い御用よ!」
僕は両手を上に掲げて魔法を唱える。
『ウォーターウォール』
すると、雑木林の周りに水の壁が現れた。今度はリリーが魔法を発動する。
『ファイアーバースト』
リリーの手から火炎放射器のように炎が出た。その炎は、あまりにも巨大でそれを見ていたミーア達のところまで熱が伝わった。
「さすがリリー姉ちゃんにゃ!」
全員が驚いている。
「魔族の力がこれほどとは・・・・」
10分ほどで雑木林はすべて燃えてしまった。僕とリリーはみんなのところに舞い降りた。
「キャロット! 知ってる? 燃えた灰は畑の肥料になるんだよね。」
「本当ぴょん?」
「シルバーさんの言う通りだ。燃えカスは肥料になるんだが、あそこまで大量になるとな。」
「大丈夫だよ。僕の魔法袋に収納するから。」
僕は 魔法袋に雑木林の燃えた灰をすべて詰め込んで、キャロットのお父さんに渡した。
「さて、最後の仕上げをするかな。」
すると、リリーがみんなに言った。
「今からシルバーが凄いことをするからね。目を開けて見てた方がいいわよ。」
「えっ?! 何するコン?」
「ワクワクするにゃ!」
「目を開けてるぴょん!」
全員が僕に注目している。僕は体の中心に魔力をどんどん集めていく。そして、僕の身体から黒いオーラが溢れ始めた。
「そろそろかな。」
僕は右手を雑木林に向けて魔法を発動する。
『クリエイト』
すると、雑木林の跡地が黒い靄に包まれ、蜃気楼のように空気が揺れ動く。徐々に靄が晴れていくと、そこには外壁が真っ白で巨大な3階建ての建物があった。
「ええっ—————!!!」
「建物ができてるコン!」
「さすが魔王様にゃ!」
「ミーア! それはダメぴょん!」
「そうだったにゃ!」
みんなが冷静になったところで僕が言った。
「建物に行ってみようよ。欲しいものがあったら言ってね。ジョンさん。」
「は、はい!」
建物に入ると、中も真っ白な壁になっている。まだ、ベッドのような家具はない。
「シルバーさん。リリーさん。ありがとうございます。これほど立派な建物を用意していただいて、何とお礼を言ってよいか。」
「僕達はここまでだよ。後はみんなで協力して頑張ってね。」
「はい。このご恩は一生忘れません。」
「大げさよ! ジョンさん! ねっ! シルバー!」
「そうだね。皆さん。僕とリリーはやらなければいけないことがあるから、もう行くけど・・・・・」
僕が言いかけた時、3人娘達が僕とリリーに抱きついてきた。
「シルバー兄ちゃん。行っちゃうにゃ?」
「用事があるからね。」
「キャロットも行きたいぴょん!」
「ダメだよ! せっかく家族に会えたんだから。」
「寂しいコン!」
するとリリーが言った。
「シルバーも私も来ようと思えばいつでも来られるのよ! 知ってるでしょ?」
「ああ、そうだったにゃ! シルバー兄ちゃんは転移できるにゃ!」
またまたミーアが爆弾発言をした。
「転移?! 転移って転移魔法のことですか?」
「ええ。まあ。」
「信じられません。この世界に転移魔法を使える人が存在したなんて!」
「内緒ですよ!」
「わかりました。」
僕とリリーは魔王城まで転移した。僕達がいなくなった後、3人娘以外が驚いていたのは言うまでもない。




