3人娘帰還!
僕達は先を急いだ。すると、村が見えてきた。近づくに連れてその大きさが鮮明になって来る。入口まで来て思った。ジュネブ村は村というよりは大きな街だ。中に入るといきなり、ミーア、キャロット、ヨーコが走り始めた。僕達は必死で後を追いかける。
「ミーア! キャロット! ヨーコ! そんなに急ぐなよ!」
「だって! 家はすぐそこにゃ!」
大通りをまっすぐ行って、少し横に入ったところに住宅地が広がっていた。3人がそれぞれの家に帰った。
「お父さ~ん! お母さ~ん!」
「お前! ミーアか! 本当にミーアなのか!」
「うえ———————ん」
ミーアがお母さんに抱きついて大声で泣いた。
「いったい今までどうしてたんだ? 村中のみんなでお前達を探していたんだぞ!」
「あなた、そんなことより帰って来たのよ! 私達のミーアが帰って来たのよ!」
「そうだな。良く帰って来たな!」
しばらく、ミーアの家族はそのままだった。
一方、キャロットの家では、キャロットを見つけた妹のキャベットが大声で叫んだ!
「お姉ちゃん!!! お母~さ~ん! お姉ちゃんよ~! お姉ちゃんが帰って来たヨ~!」
キャロットは泣きながら妹を抱きしめた。すると、キャベットの声を聞いた母親が家の中に慌ただしく入って来た。そして、キャロットの姿を見つけると、手に持っている桶をその場で落とした。
「ガッシャン」
「キャロットかい?」
「うん。お母さんに会いたかったぴょん! お母さ~ん!!!」
どうやら、キャロットの父親は畑に行っていて留守のようだ。
「キャベット! すぐにお父さんを呼んできておくれ!」
「うん!」
家から大急ぎで妹が出て行った。
ヨーコの家でも、父親と母親が在宅だったようで、大きな泣き声が聞こえてきた。3人が家に帰ったことを確認した後、僕達は、広場にあるレストランのテラス席で飲み物を飲んで寛いでいた。
「終わったわね。」
「そうだね。でも、リリーは寂しくなるね。」
「そんなことないわよ。まだ大きな子どもがいるからね。」
「それって僕のこと?」
「他に誰がいるのよ。」
「ひどいな~!」
すると、隣の席でジョンとポメルがクスクスと笑っている。
「仲がいいのね。2人は。」
ここで僕はしっかりと答えた。
「そうだよ。僕達は2人きりの姉弟なんだもん。」
すると、ポメルさんが不思議そうに聞いてきた。
「えっ?! 2人は恋人じゃないの?」
「違いますよ!」
「バコン」
後ろからリリーに叩かれた。
「いきなり酷いよ!」
「知らない!」
なんか理不尽だ。いきなり叩かれた。しばらくして、ミーアとキャロットとヨーコ、それに彼女達の家族が全員揃って僕達のところに来た。代表して、ミーアの父親が言ってきた。
「あなたがたがシルバーさんとリリーさんですね。」
「ええ、そうですけど。」
「娘達を助けていただいたばかりか、こんな遠くまで連れてきていただいて何とお礼を言っていいのか。本当にありがとうございました。今日は、我が家で歓迎会を行いますので、どうぞ来てください。」
「ジョンもポメルもいいよね。」
「もちろんですとも。」
その日、僕達はミーア達の家族達にこれまでのいきさつを説明した。全員が驚いていた。当然、僕とリリーが魔族なのは説明した。すると、ヨーコの父親が正直に言ってきた。
「申し訳ないです。俺は魔族ってのは怖い連中だとばっかり思ってました。」
すると、ミーアが言った。
「おじちゃん。魔族は怖くないにゃ。優しいにゃ。魔王様も他の幹部の人達もみんな優しいにゃ。」
「ミーアの言う通りだぴょん。」
「魔族には奇麗なメイドのお姉ちゃんもいたぴょん。優しかったぴょん。」
「魔王様は凄く強いコン。でも、すっごく優しいコン。」
すると、キャロットの母親が言った。
「あんた達、まるで魔族の国に行ったみたいだね。」
「行ったぴょん。魔王城で暮らしてたぴょん。」
「魔王城で?!」
「そうだにゃ。魔王城やアスラ魔王国の王都アテナでよく遊んだにゃ。」
「魔王にも会ったのかい?」
3人娘が僕を見る。ジョンもポメルも僕を見る。子ども達の様子を不自然に思ったのか、ミーアの父親が聞いてきた。
「シルバーさん。子ども達が何か言いたげなんですが。」
ミーア達は言いたくて言いたくていられないのだろう。僕は首を縦に振った。すると、3人が競争するかのように言った。
「シルバー兄ちゃんが魔王様なんだよ!」
「え———————!!!」
全員が口を大きく開けたまま固まった。仕方がないので、オレは精悍な男性モードに変身した。
「オレはミーア達が言う通り、アスラ魔王国の王シルバーだ。」
すると、3人娘の家族達は全員が土下座状態で平伏した。
「こうなるのが分かっていたから、言いたくなかったのさ。オレはそんなに偉い存在じゃない。みんな普通にしてくれ。」
「ま、ま、魔王様とは知らず、ご無礼なことを言いました。」
「構わないさ。これからみんなの意識が変わればいいだけのことだ。」
みんなが納得したようなので、もとの姿に戻った。すると、ヨーコがみんなに言った。
「魔王様は姿がわかると話し方も変わるコン。」
「そうなんだよね。でも、自分では無意識なんだよね。」
「私はどっちも好きにゃ!」
「私もまた一緒にお風呂に入りたいぴょん!」
「おい! キャロット! 誤解されるから!」
「ワッハッハッ」
「魔王様と思うと怖さもあるが、シルバーさんからは少しも恐怖を感じないな。」
「そうね。子ども達が懐くのもわかるわね。」




