初めての盗賊退治
僕は初めて街に来た。ローズおばあちゃんとリリーと一緒だ。そこで、ローズおばあちゃんの行きつけの食堂に入ったが、料理がおいしすぎてお腹いっぱいに食べてしまった。リリーも僕もお腹いっぱいで動けない。そこで、1時間ほど休ませてもらうことになった。
「さて、そろそろ次の場所に向かうよ。」
「おばあちゃん。まだお腹いっぱいだよ。」
リリーが駄々をこねた。するとローズおばあちゃんが2人に言った。
「次が最後じゃから、早くしな!」
「おばあちゃん。どこ行くの?」
「ギルドさね。今まで狩った魔獣の素材を売るんじゃよ!」
僕達は冒険者ギルドに行った。表の看板にはドラゴンの絵が描かれている。中に入ると、外から見るより広かった。入ってすぐに受付があり、奥には何やらカウンターのような場所がある。左側にはテーブルと椅子がたくさん置かれていて酒場か食堂のようだ。冒険者らしき人達もいる。意外だったのは女性が多いことだった。でも、鼻が曲がるほど酒臭い。僕達はローズおばあちゃんについて受付に行った。受付には胸の大きな美人なお姉さんがいた。
「受付のお嬢ちゃん! 素材を売りたいんじゃがな。」
「ああ。ローズさん。お久しぶりです。裏の作業場でいいですか?」
「ああ、わかったよ。いつものとこじゃな。」
「はい。」
僕達はローズおばあちゃんについてギルドの裏手にある作業場に行った。ここもなんか、臭い。けど違う臭さだ。血の臭いやら何やらが混じった匂いだ。ローズおばあちゃんは魔法の袋から、食べなかった魔獣の死体や素材をどんどん出していく。もの凄い数だ。
「いつもより多いですね。」
「ああ、この子達も手伝ってくれたからな。」
「お嬢ちゃん達も魔獣を倒したの? 女の子なのに偉いわね!」
なんかまた間違えられた。僕は少しムッとして言い返した。
「あの~! ぼ、僕は男なんですけど!」
「あら~! やだ~! ごめんなさいね! 可愛い顔してるから女の子だと思っちゃったわ!」
リリーが後ろを向いて笑いをこらえている。
「プッフフフフ」
なんか僕の顔は引きつっていたようだった。その後、受付に戻ってお金を受け取った。大金貨8枚。大金だ。この国ではお金は10進法だ。銅貨10枚で大銅貨1枚。大銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨10枚で大銀貨1枚。大銀貨10枚で金貨1枚。金貨10枚で大金貨1枚。大金貨10枚で白金貨1枚。白金貨10枚で大白金貨1枚だ。因みに、今日食べた食事の代金は銀貨3枚だった。
「さて、リリー。シルバー。そろそろ帰るよ。」
「は~い!」
ギルドの酒場には、人相の悪い男達がいた。最初に街に入った時に声をかけてきた男もいる。全員がこっちを見ていた。ローズおばあちゃんが大金を受け取ったのを見ていたかもしれない。僕は少し不安を感じた。
「おばあちゃん。来た道を帰るの?」
「当たり前じゃろ。他に道がないんじゃから。」
「でも、盗賊が出るんでしょ?」
「必ず出るわけじゃないさ。」
僕達は街を出た。僕とリリーはローズおばあちゃんの後ろで手をつないで歩いている。しばらく歩いていると、街道沿いの森の方からカサカサと音が聞こえてきた。最初は動物かなっと思ったが、話し声が聞こえてくる。
「リリー! シルバー! どうやら盗賊のお出ましじゃ。気をつけな!」
木の陰からぞろぞろと盗賊達が出てきた。どうやら20人程度の集団だ。ギルドにいた人相の悪い男達もいた。僕とリリーは買ったばかりの剣を抜いて構えた。
「ほう~! お前達、逆らうつもりなのか? 素直にギルドで受け取った金を渡せば、苦痛なく殺してやるぞ! そっちの娘2人はたっぷり可愛がってから売ってやるさ。」
なんか僕も女の子扱いされている。凄く腹が立ってきた。
「いいかい。リリー。シルバー。相手をよく見て対応しな。魔獣ほど強くないから、落ち着いてかかれば負けることはないさ。」
「うん。」
「生意気な! このババーからやっちまえ!」
「お前、今、わしのことをババーと言ったか?」
ローズおばあちゃんが首領に向かって動いた。その動きはあまりにも早く、盗賊達には何もできない。そして、首領の首元にナイフを突きつけている。
「お前は一体何者だ?」
「何者って言われてもね~! さあ、どうする? このままここで死ぬかい?」
「ま、ま、待て! 待ってくれ! 何でも言うこと聞くから見逃してくれ!」
ローズおばあちゃんが首領の首のナイフを下におろした瞬間、リリーの手から血が流れた。
「キャー」
盗賊の仲間が隠密魔法を発動して、リリーに近づいていたのだ。リリーの胸元に剣をチラつかせている。
「おい! ババー! 形勢逆転だな! この娘を助けたかったら、手に持っているナイフを捨てな!」
ローズおばあちゃんはあきらめるどころか、顔が鬼のようになった。そして、身体から真っ黒なオーラが溢れ出る。盗賊達の顔が青ざめている。ローズおばあちゃんが動こうとしたまさにその時、ローズおばあちゃんの後ろからさらに巨大な漆黒のオーラが現れた。
「貴様らに生きる価値はない! 死ね!」
『時空斬』
ローズおばあちゃんの後ろから『ピュッ』と音がした。次の瞬間、盗賊達の身体がばらばらになっていた。ローズおばあちゃんが振り向くと、そこには僕がいた。
「シルバー! お前!」
僕はローズおばあちゃんの声を聞いて意識を失った。リリーがローズおばあちゃんに駆け寄って抱きついている。しばらくして、僕の意識が戻ると、僕の頭はローズおばあちゃんの膝の上に載っていた。リリーが僕を覗き込むように心配そうな顔で見ている。
「僕、どうしたの?」
「シルバー! 何ともないかい? お前、急に意識を失ったんだよ。」
周りを見ると、盗賊達の亡骸が散乱していた。
「ローズおばあちゃん。凄いな~! あんなにたくさんの盗賊達を倒しちゃうなんて!」
僕の言葉を聞いて、ローズおばあちゃんもリリーもキョトンとしている。
「シルバー! お前、何も覚えていないのかい?」
「何が?」
「この盗賊達はお前が退治したんじゃよ。」
「えっ?! ありえないよ! 冗談言わないでよ! それより、リリーの手から血が出てるよ。」
ローズおばあちゃんがリリーを見た。
「リリー! 大丈夫かい?」
「うん。でも・・・・」
「そうじゃな。詳しい話は帰ってからじゃな。」
ローズおばあちゃんはしばらく考え込んだ。そして、真剣な顔で僕に話しかけた。
「シルバー! 家に帰ったら確認したいことがある!」
リリーは不安そうに僕を見ていた。おばあちゃんが盗賊の死体を炎の魔法で燃やして処分した後、僕達は急いで家まで帰った。
「シルバー! リリー! 大事な話があるんじゃ。」




