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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
アマゾル大陸
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アマゾル大陸上陸

 それから1時間後、僕達は全員船の上にいる。船長さんは狼耳族で名前をルーパというようだ。僕達も自己紹介をした。



「ルーパさん。無理言ってごめんね。」


「いいさ。でも驚いたな~。あんたがまさか男とは思わなかったよ。」


「よく言われるよ。どれくらいで着くの?」


「そうだな。何もなければ6時間ってとこだな。」



 ミーア達は、ジョンとポメルと一緒に船から釣り糸を垂らしている。船のスピードが速くて、魚が釣れるようには思えない。そう思っていた矢先、キャロットの悲鳴のような声が聞こえた。



「ジョンおじちゃん。何かかかったぴょん。」



 ジョンが変わって竿をあげると、生きのいい魚がかかっていた。それからは大量だ。入れ食い状態で魚が釣れた。



「今日の晩御飯は魚料理で決定にゃ!」


「なら、俺が腕によりをかけて作るぞ!」



 ジョンの言葉に、魚好きのミーアが嬉しそうだ。すると、突然船が大きく揺れた。



「出たぞー! クラーケンだー!」



 すると、ルーパ船長が船員に大きな声で指示を出す。



「全員、銛を準備しろ!」



 ルーパ船長も腰の剣を抜いた。海の中から巨大な烏賊のような魔物が複数の足とともに顔を出し、船に足を延ばしてきた。



「ギャー」



 船が傾き、船員やミーア達、それにジョンもポメルも大きく転んだ。



「シルバー!」



 オレは魔力を解放していく。すると、オレの魔力に気付いたのか、クラーケンがオレに襲い掛かってきたが、オレの周りにできた黒い壁にクラーケンの足が防がれた。さらにオレは魔力を解放する。すると、背中には真っ黒で大きな翼が出た。オレはクラーケンの足を持って、上空に舞い上がる。



「おい! 信じられん! あの少年は何者なんだ? クラーケンを持ち上げたぞ!」



 オレはクラーケンを掴んだまま魔法を発動した。



『ヘルファイア』



 すると、オレの身体ごとクラーケンが炎に包まれた。炎が収まると、クラーケンは絶命していた。オレはクラーケンを切り刻んで空間収納に仕舞った後、船上に舞い降りた。



「き、き、君は何者なんだ。」


「黙っていて申し訳ない。オレとリリーは魔族だ。魔王様の申しつけにより、子ども達を親元に返すのさ。」



 オレの言葉を聞いて船長のルーパは腰が抜けたようだった。後ろでは3人娘がニコニコしている。



「そうだったのか~! だが、さすが魔族だな。あのクラーケンを一瞬で葬るとはな。」



 すると、リリーが言った。



「シルバーは特別よ。」



 すると、船長が首を傾げた。



「シルバー? どっかで聞いたことがあるような・・・・」



 僕は美少女のような姿に戻った。



「ルーパさん。クラーケンの肉はどうするの?」


「えっ?!」



 姿も口調も変わった僕に驚いているようだ。ミーアが説明する。



「シルバー兄ちゃんは男のようなときは男口調にゃ。女のようなときは口調が優しくなるにゃ。」


「ミーア! 僕はどっちの時も男だよ!」


「そうだったにゃ!」


「ワッハッハッ」



 緊張した雰囲気も、ミーアの機転でなごんだ雰囲気へと変わった。そして、僕はルーパ船長に光る石を渡した。



「シルバー殿。これは?」


「クラーケンの魔石だよ。多分、相当な値段が付くと思うよ。これあげるね。」


「いいのか?」



 すると、リリーが答えた。



「いいのよ。船を出してくれたんだもん。」

 


 その日の晩飯はクラーケンと魚の料理だ。意外にも、クラーケンがうまかった。もっと、堅いイメージがあったのだが、長く千切り状態にするとのど越しがよく、スルスルと食べやすかった。



「美味しかったにゃ!」


「クラーケンが最高だったコン!」



 ミーアとヨーコは満足のようだ。野菜好きのキャロットには厳しかったかもしれない。そうして、数日が過ぎた頃、遠くにアマゾル大陸が見えてきた。



「シルバー殿。あれがアマゾル大陸です。」


「なら、もうすぐだね。」


「はい、明日には到着すると思いますよ。」


「明日?」


「そうです。近く見えても以外と距離があるんですよ。」



 そして、翌日、船は港に着いた。アマゾル大陸のライオネル王国にある港町ナオツだ。僕達は船から降りた。獣人族3人娘はリリーとジョンとポメルの手をそれぞれがしっかり握っている。当然だが、船を降りると獣人族だらけだ。耳と尻尾以外は人族とほとんど変わらない。



「ルーパさん。お世話になったね。帰りも気を付けてね。」


「はい。シルバー殿もリリー殿も、彼女達をお願いします。この国は戦争中ですから、くれぐれも気を付けてください。」


「は~い。」



 ミーア達が元気よく答えた。


 ルーパさん達と別れた後、僕達は街を歩いた。人族の国ではミーア達がじろじろと見られたが、今度は僕とリリーが注目されている。

 


「さて、ジュネブ村にどうやって行こうか?」



 するとジョンが教えてくれた。



「この街ナオツはライオネル王国の最南端ですから、ここからは近いですよ。海沿いを南に下っていけば着きますよ。」


「ジョンおじちゃんもポメルおばちゃんも一緒に行くにゃん。」



 ジョンとポメルが顔を見合わせている。



「シルバーさん。リリーさん。一緒に行ってもいいですか?」


「僕はいいよ。」


「シルバーがいいなら。私もいいわよ。」



 そうして、港町ナオツから出発しようとしたときに、住民達の叫ぶ声が聞こえた。



「ティガ王国が攻めてきたぞー!」


「みんな! 女と子どもを避難させろー!」



 住民達は窓を閉めた。そして、どこから来たのか、鎧を着た兵士達が大勢街中を南東に向かって歩いて行く。手には盾を持ち、腰には剣が見えた。


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