出発前の会議
セリーヌが部屋から出て行った。それから2時間ほどして、オレが大会議室に行くと既に幹部達が全員揃っていた。オレが部屋に入ると同時に、全員が席を立って挨拶をしてきた。
「みんな。おはよう。座ってくれ。早速会議を始めようか。」
するとブラッドが聞いてきた。
「魔王様。本日の会議の議題はどのような事でしょうか?」
オレはみんなを見渡して真剣な顔つきで言った。
「これからオレの計画を話す。反対の者がいたら言ってくれ。」
オレの真剣な言葉に全員の顔が引き締まる。
「みんなの仕事にめどが立ったら、次の行動に入りたい。オレはすでにべテルギ王国の混乱を収めてきた。だが、世界には様々な種族、様々な国がある。そこで、みんなに力を借りたいんだ。」
すると、トロルドが聞いてきた。
「どういうことでしょうか?」
「オレがアンドロメダだった時代、オレは、四天王とともにこの世界を平和にしようと必死だった。だが、人族の文明が今よりもはるかに進んでいて、人族達はここにいるブラッドですら手を焼くような武器を作り出したんだ。それに、オレにとってどうしても自分を抑えることができない辛い事件が起きたんだ。だから、その時のオレには心にも身体にも余裕がなかったのさ。そして、オレは平和のために人族を大勢殺したんだ。その結果、確かに一旦平和にはなったけど、こうしてまた世界が混乱し始めている。」
するとセリーヌが言った。
「あの時代ではそれしかなかった。アンドロメダが悪いわけじゃないさ。」
「確かに、あの時代にはそれが正しかったのかもしれない。けど、今は違う。ここには優秀な『仲間』が大勢いる。しかも、昔と違って5人だけじゃない。だから、みんなに協力してもらいたいんだ。」
すると、エルメスが席を立った。
「魔王様。私にできることなら何でもやりましょう。」
幹部達が次々と席を立つ。オレも席を立った。
「ありがとう。みんな。是非お願いする。ともにこの世界を平和にしよう。」
「ハッ!」
そして、全員が着席した後、オレが言った。
「オレはリリーとともに獣人族の3人娘を連れて、アマゾル大陸にいく。どうやら、アマゾル大陸では獣人族の国同士で戦争をしているようなんだ。それを終わらせてくるよ。」
するとブラッドが言った。
「わかりました。魔王様の留守の間は、我々にお任せください。魔王様がお戻りになる時までには、それぞれの仕事に目途が立つようにしておきましょう。」
「頼んだぞ! みんな!」
「ハッ!」
するとセリーヌが言った。
「シルバーとリリーがアマゾル大陸に行くのであれば、俺は人族の国、マーロ共和国に行くとしよう。サタンについて何か情報が得られるかもしれんからな。」
「わかった。だが、何かあったらすぐに念話で連絡してくれ。マップも一緒に送ってくれれば、そこに転移することもできるからな。」
「心配してくれるのか?」
「当たり前じゃないか!」
「わかった。何かあれば、そのようしよう。」
こうして、会議は終了した。自分の部屋まで行くと、そこにはすでに出発の準備を整えた3人娘がいた。
「魔王様。会議終わったにゃ?」
「すぐに出発するぴょん。」
「でもどうやって行くコン?」
3人娘は、会議が終わるのを首を長くして待っていたようだ。
「ここからローズおばあちゃんの家まで転移して、そこから南の港町までは徒歩だな。その後は船に乗ってアマゾル大陸に行くさ。」
「わかったコン。」
するとリリーもやってきた。
「私も準備できてるわよ。」
「じゃあ、行くか?」
「ちょっと待って! シルバー! 姿変えなくていいの?」
「ああ。そうだった。」
オレの身体が光だし、精悍な顔つきの男から超絶美少女の姿に変化した。
「魔王様が女になったにゃ!」
「違うから。僕は男だからね。」
「魔王様。口調まで変わったぴょん。」
「この姿になると自然とこの口調になるんだよね。」
「どっちが本当の姿なのかコン?」
「どっちも僕さ。」
「ふ~ん。」
僕は転移門を使わずに、みんなを連れてローズおばあちゃんの家まで転移した。
「凄いにゃ。」
「一瞬だぴょん。」
「さすが魔王様だコン。」
「ダメだよ! 旅の間は僕のことはシルバーね。」
「間違えたコン。」
僕はヨーコの頭をなでた。
「大丈夫。次から間違えないようにね。」
「わかったコン。」
ヨーコが僕と手を繋いできた。
「ヨーコ! ずるいにゃ! アッ! リリー姉ちゃんもずるいにゃ!」
「次は私とミーアの番だぴょん。」
僕達はローズおばあちゃんの家から街道まで出て、最南端の港町サウススターに向かった。最初に立ち寄るのはおなじみの街ハーネストだ。
「リリー! この子達をサウススターまで歩かせるのは大変そうだよ。馬車を買おうよ。」
「そうね。なら、ギルドに行った方がいいわね。」
僕達は冒険者ギルドに行った。すると、受付にはおなじみのアカネがいた。
「シルバー君じゃない! リリーちゃんも! 久しぶりね。アッ! そうだ! 領主のスチュワート侯爵様がシルバー君を探してたわよ。何か悪さでもしたの?」
「そんなことするわけないじゃないですか? 僕は真面目なんですから。でも、スチュワートさんて辺境伯じゃなかったの?」
「知らなかったの? 国王が変わったのよ。エドモント公爵様が王になられたのよ。そこで、スチュワート様も侯爵になられたのよ。」
「そうなんだ~!」
「でも、今、シルバー君、スチュワートさんって言ったわよね? 領主様と知り合いになったの?」
「まあね。」
後ろで3人娘が笑いをこらえている。
「後ろの3人の子は獣人族よね? どうしたの?」
「なんか、人さらいに会ったのをローズおばあちゃんが助けたんだよ。これから、アマゾル大陸まで送っていくんだよ。」
「え—————!!! シルバー君達、アマゾル大陸まで行くの?」
「そうさ。だって、このままじゃかわいそうだからね。」
「でも、遠いわよ。大丈夫なの?」
「リリーと一緒なら平気だよ。」
するとリリーが言った。
「アカネさん。馬車を買いたいんだけど。」
「なら、使わなくなった馬車がギルドにあるから、それを安く譲るわよ。」
「ありがとう。アカネさん。」
「シルバー君はいつ見ても可愛いわね。やっぱり今度私の家に遊びに来ない?」
すると、リリーが慌てて答えた。
「シルバーにはまだ早いですから。」
3人娘が我慢できずにとうとう噴出した。
「こら! あなた達、ダメでしょ!」
「ごめんぴょん。」
僕達はアカネさんに連れられて馬車のある場所まで来た。
「古いけど作りはしっかりしてるわよ。」
「じゃあ、これもらうね。」
お金を渡して馬車をもらった。早速、3人娘は馬車に乗り込んだ。オレとリリーは御者席だ。馬車を走らせギルドを後にした。
“でも、シルバー君って馬車を操縦したことがあるのかな~?”
シルバー達が去った後、アカネは不思議に思っていた。




