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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
アマゾル大陸
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会議前のひととき

 オレ達は魔王城まで転移した。同時に、オレは姿を元に戻した。オレ達が帰ってくると、バンパイア族のブラッドがやって来た。



「お帰りなさいませ。魔王様。」


「そちらの子ども達は?」



 獣人族の子ども達は、いきなり転移したことに驚いていたが、自分達がいるのが魔王城だとわかって怯えていた。



「人の国に捕まっていた獣人族の子達さ。」


「そうでしたか。」



 すると、オレは大事なことに気が付いた。オレはこの子達の名前を知らない。



「オレはシルバーだ。君達の名前を教えてくれるかい?」



 すると、おどおどしながら答える。



「私は猫耳族のミーアにゃ。」


「私は兎耳族のキャロットぴょん。」


「私は狐耳族のヨーコだコン。」



 獣人族と言ってもその特徴は耳と尻尾だ。それ以外は人族と変わらない。ただ、他の種族ほどではないが、人族よりも寿命が長いのも特徴だ。



「私はこの国の宰相をしていますブラッドと申します。お困りのことがあったら、何なりと言ってくださいね。」


「セリーヌお姉ちゃんはどこにいるぴょん?」


「セリーヌは今、君達の部屋の準備さ。」



 すると、セリーヌがメイド達を連れて戻って来た。この城のメイドは、バンパイア族、鬼人族、アラクネ族、ダークエルフ族の女性が務めている。



「ブラッド。オレも少し寝るよ。明日、会議を開くから幹部達に連絡しといてね。」


「畏まりました。」



 久しぶりにオレは自分のベッドで寝た。朝起きると、何やら柔らかくて暖かい感触を感じる。ふと横を見てみると、そこにはリリーの姿があった。オレは、リリーの頬にキスをした。



「ん~! シルバー。おはよう。」



 リリーは目をこすりながら起き上がった。リリーに目を向けると、少しだけ女性らしく成長したリリーの姿があった。



「リリーも成長したよね!」



 オレの一言でリリーは真っ赤になって胸を隠した。



「何よ! それ! まるで今までが子どもだったような言い方じゃない!」


「だってそうじゃないの?」


「確かにそうだけど。シルバーは便利よね。魔法で自分の姿を変えられるんだから。」



 言われてみればそうだ。でも、姿を変えられるのはオレだけじゃない。恐らくセリーヌも変えられるはずだ。オレは、そんなことを考えながらリリーと一緒に食堂に行った。すると、そこには獣人族の少女達がいた。



「おはよう。みんな。」


「おはようございますにゃ。」


「魔王様。おはようございますぴょん。」


「おはようございますコン。」



 みんな元気に朝からもりもりと朝食を食べている。今まで、ろくな食事を与えられていなかったのだろう。オレとリリーが席に着くと、見たことのある紳士がやって来た。



「ゲーテさん?! どうしたの? エドモント公爵のお屋敷は?」


「魔王様。ゲーテとお呼びください。私は魔王様の執事として働かせていただきたいと思い、エドモント公爵様にはすべてを話してお暇をいただきました。ブラッド様にもお願いしてこの城の執事をさせていただくことになりました。よろしくお願いします。」


「そうなんだ~! オレもゲーテがいてくれたら助かるよ。ゲーテには使い魔が沢山いるからな。いろんな国の情報も手に入るだろ?」


「そうですが、ブラッド様の方が使い魔は多いですよ。」


「それは知っているさ。でも、ゲーテの使い魔も中々に優秀だよ。」


「さすがですな。私に使い魔がいると気付いていらっしゃったんですね。」


「まあね。恐らくゲーテはオレ達があの街に入った時から、使い魔に見守らせらせていたよな。」


「参りましたな。魔王様にはすべてお見通しですな。」


「どうせ、ブラッドにでも指示されたんだろ。」


「おっしゃる通りです。ブラッド様から、近々魔王様が王都イスカントに行くからと、連絡をいただいておりましたので。」



ブラッドが自分の執務室でくしゃみをしていた。



「やっぱりな。ああ、そうだ。紹介するよ。彼女はリリー。この国の文部大臣さ。オレの妹のようなもんだけどな。」



 すると、リリーが怒った口調で言った。



「違うでしょ! シルバー! 妹じゃなくて姉でしょ!あ・ね!」



 すると、ゲーテさんが困った様子で返事をした。



「魔王様のお姉様のリリー様ですね。」


「そうよ。あなた中々見込みあるわね!」


「恐れ入ります。」



 すでに朝食を食べ終わった獣人族3人娘が驚いたような顔でオレ達を見た。



「あんなに強い魔王様でも勝てない人がいたにゃ。」


「魔王様より強いぴょん。」


「怖いコン。」



 すると、リリーが優しい顔になって話しかける。



「私は本当は優しいのよ。ただ、できの悪い弟には少し厳しいだけなのよ。」


「確かに優しそうにゃ。」


「優しい匂いがするぴょん。」


「優しいお姉ちゃんコン。」


「そうよ。あなた達はおりこうさんね。」



 リリーが3人の頭をなでた。一息ついたところで、オレは3人に聞いた。

 


「ミーア達は今日は何するんだ?」


「わかんないにゃ。」


「お城を見学したいぴょん。」


「探検だコン。」


「なら、メイドに案内してもらいな。」



 すると、オレの言葉を聞いたのかバンパイア族のメイドが近づいてきた。



「魔王様。私が城内を案内します。」


「よろしく頼むよ。」



 3人娘達はメイドについて食堂から出ていった。すると、ブラッドから念話が入った。



“魔王様。そろそろ会議の準備をしてもよろしいでしょうか?”


“わかったよ。なら、1時間後に大会議室で会議を始めようか。リリーにも伝えておくよ。”


“畏まりました。”



「リリー! 1時間後に大会議室で会議だ。」


「わかったわ。」



 リリーの顔が幹部の顔に変化した。さすがだ。しっかり切り替えができている。


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