エドモント公爵を助ける!
王都に向かう途中、魔獣の群れに襲われた。魔獣は魔法使いに召喚されていて、魔法使いは闇組織キングコブラのメンバーだった。魔法使いを街の衛兵に引き渡した後、僕達は宿屋に入った。その日の夜、僕とセリーヌは、スチュワートとロザンヌの部屋の隣に部屋を取ってもらい、そこで寝た。翌日、僕達が兵士達とともに食堂で待っていると、スチュワートとロザンヌが起きてきた。
「シルバー殿。セリーヌ殿。お待たせしました。では早速、王都に向かいましょう。」
「あとどのくらいかかるのかな~?」
僕がぽつりと言うと、セリーヌが教えてくれた。
「ここまでくれば、今日の夕方には王都に着くと思うぞ!」
「何にもなければいいけどね。」
「そうだな。」
ロザンヌがニコニコしながら言ってきた。
「シルバー様。セリーヌ様。ここからは開けた街道です。一緒に馬車に乗っていきましょうよ。」
僕がセリーヌを見ると頷いている。
「そうだね。なら、乗せてもらうね。」
ロザンヌは僕の手を握って場所の中に引っ張っていく。
「ロザンヌ! シルバー殿が困っているではないか。」
「大丈夫だよ。スチュワートさん。」
僕はセリーヌと馬車に乗って行くことになった。馬車からはいろんな風景が見られた。広大な草原地帯が続いている。すごくのどかだ。すると、前方から何やら魔力を感じた。
「セリーヌ!」
「わかってるさ。」
「スチュワートさん。前方で何かあるみたいだから外に出るね。」
「気を付けてください!」
「気を付けてください!シルバー様!」
僕とセリーヌは外に出た。遠視魔法で見てみると、盗賊のような者達に馬車が襲われていた。馬車の周りでは20人ほどの兵士達が応戦しているが、盗賊達は50人ほどいて明らかに劣勢だ。
「馬車を守れー!」
兵士達が馬車を取り囲むようにしている。僕とセリーヌは襲われている馬車まで急いだ。
「俺達は冒険者だ! 助太刀する!」
「助かる!」
僕とセリーヌは馬車を守る兵士達に加わった。
「冒険者が2人加わったところでどうにもできまい。それに、よくみれば女じゃないか。 構わん! 皆殺しにしろ!」
セリーヌが僕を見て笑っている。何を言いたいか僕には理解できた。僕とセリーヌは剣を抜いて、兵士達に声をかけて盗賊達に切り込んだ。
「みんなは馬車を守ってね。行くよ! セリーヌ!」
セリーヌの剣からはパチパチと放電している。セリーヌが通りすぎた後には盗賊達が倒れていた。僕も盗賊達の片足に切りつけて、戦闘不能にしていく。
「ギャー」
10分ほどで盗賊達のほとんどを戦闘不能にした。すると、首領らしき男が僕の前に出てきた。身長2mはある大男だ。大剣を担いでいる。男が僕に向かって大剣を振り下ろしてきた。僕が少し力を入れて剣を振ると、男の持っていた大剣が簡単に折れてしまった。
「貴様! 何者だ?」
「ただの冒険者だよ。」
「ふざけるな!」
首領らしき男は、大剣を捨て僕に殴りかかる。僕は素早い動きで首領の腹に拳を叩き込んで、首領の意識を刈り取った。すると、後ろで見ていた兵士達が駆け寄ってきた。僕が周りを見ると、残っていた盗賊達もセリーヌが戦闘不能にしたようだった。
「感謝する。お陰で、主を守ることができた。それにしても、そなた達は何者なんだ? ただの冒険者ではあるまい。」
すると、馬車の中から顎髭を生やした紳士が執事とともに降りてきた。兵士達が全員平伏する。僕とセリーヌは立ったままだ。
「助かった。そなた達のお陰で我が兵に死人が出なくて済んだ。ともに王都へ同行してくれ。褒美を渡そう。」
すると、後ろから立ち止まって様子を見ていたスチュワートの馬車がやってきた。そして、馬車の中から慌ててスチュワートが降りてきて、兵士達とともに片膝をついて挨拶をした。
「エドモント公爵様。ご無事でしたか。良かったです。」
「おお。スチュワート辺境伯か。このような場所にどうしたんだ? お主は確か娘の治療のために国元にいたのではないのか?」
すると、遅れてロザンヌがやって来て片膝をついて挨拶をした。
「お久しぶりです。エドモント公爵様。」
「そなたはロザンヌか? 原因不明の病と聞いていたが、元気になったのか?」
「はい。そちらにいらっしゃるシルバー様に治していただきました。」
すると、エドモント公爵が僕とセリーヌを見た。
「お主はシルバーというのか。そなたには辺境伯もいろいろ世話になったようだ。是非とも話がしたい。我が屋敷に同行してもらえぬか。」
僕はセリーヌとスチュワートの顔を見た。2人も頷いている。
「いいよ。でも、スチュワートさんも一緒にいい?」
「アッハッハッ。そなたはわしを公爵と知ってもなお、態度を変えぬか。よほどの大物のようだ。気に入ったぞ!」
スチュワートさんとロザンヌは少し冷や汗をかいているようだった。
「では、王都に向かおうか?」
「この盗賊達はどうするの?」
「そうだな。聞きたいこともある。歩ける者は王都に連行するさ。」
「歩けない人達は?」
僕が相手をした盗賊は全員足を怪我している。歩けそうにもない。
「全員を生かしておく必要もない。ここで、処分していくさ。」
エドモント公爵の言葉を聞いて、兵士達が一斉に剣を抜いた。剣を持って怪我をしている盗賊達に近づいていく。既に戦うことのできない盗賊達の顔色が変化していく。中には命乞いをする者もいた。
「た、助けてくれ! お願いだ!」
そこで、僕は兵士達の前に出た。
「ちょっと待って! 歩ければいいんだよね!」
「そうだな。歩けるなら王都まで連行できるからな。」
僕は右手を前に出し魔法を発動する。
『リカバリー』
すると、怪我をしている盗賊達の怪我が見る見るうちに治っていく。兵士達も、エドモント公爵もスチュワート辺境伯も全員が目を丸くして驚いた。怪我を治してもらった盗賊達は全員が僕を拝み始めた。あの体の大きな首領までもが拝んでいる。
「神よ! お許しください!」
「僕は神様じゃないよ。魔法が得意なだけだよ。」
すると、エドモント公爵が言った。
「それは魔法が得意というレベルではない。奇跡だ! そなたは奇跡を起こすことができるのか?」
「エドモント公爵様。シルバー殿の魔法は特別です。半年間眠り続けた我が娘、ロザンヌの病気も治してくれました。」
「そうなのか。シルバー殿。是非、王都に一緒に来てくれまいか。」
エドモント公爵が僕に敬意を持ったようだ。僕達は2台の馬車に分乗して王都に向かうことになった。




