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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
魔王誕生
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新生アスラ魔王国!

 魔王となったオレは、早速魔族の国アスラの統治に取り掛かることとした。そのためには、まず魔王城を復興しなければならない。王都の北側に小高い丘がある。オレはそこに目を付けた。今、オレの近くにはリリー、セリーヌ、トロルド、モモカ、ブラッド、ロン、スペリオ、エルメス、そしてグーテがいる。



「魔王城を復活させたいんだけど、あの小高い丘の上なんかどうだろう?」


「さすがシルバーね。あそこなら、王都が一望できるわね。」



 すると、トロルドが言った。



「魔王様。できれば、私が入れる大きさにして欲しいんですけど。」



 すると、モモカが反論した。



「トロルド! あなた、魔王様に体の大きさを自由に変えられる指輪を与えられたじゃないの!」


「そうだった!!!」



 するとセリーヌが笑いながら言った。



「トロルドがそのまま入れるようにするには、よほど大きな城にしないといけないしな。そうなると、完成までに相当時間がかかってしまうぞ!」


「そんなことはないさ。すぐに作るからな。城がないと仕事ができないしな。」



 オレは魔力を体の中心に集めた。辺り一帯に温かい風が吹き始める。そして、空気がオレに向かって集まり始めた。十分な魔力が溜まったのを確認して、オレは魔法を発動する。



『クリエイト』



 すると、目の前の小高い丘に巨大な城のようなものが現れ始めた。最初は蜃気楼のように霞んでいたが、だんだんはっきりとしてきた。そして、霞が取れると巨大な魔王城が出来上がっていた。ブラッドとセリーヌを除いて全員が驚きに固まっている。ブラッドが大きな声で言った。



「さすがは魔王様です。今、ここに新たな魔王、シルバー様の時代の始まりです!」



 誰からともなく、再び全員がオレに跪いた。



「堕天使族セリーヌ、バンパイア族ブラッド、堕天使族リリー、トロール族トロルド、鬼人族モモカ、竜人族ロン、天狗族グーテ、アラクネ族のスペリオ、ダークエルフ族のエルメス。そなた達をわが魔族の幹部とする。」



 すると、代表してセリーヌが答えた。



「魔王様、しかと承りました。我らが命、魔王様とともに!」


「ありがとう。じゃあ、みんな。城に行こうか。」


「はい!」



 全員で出来たばかりの魔王城に入った。中に入って驚いたのはセリーヌとブラッドだ。



「魔王様。こ、こ、これは?」


「ブラッドはもう気が付いているんだろ?」



 セリーヌ以外は何のことかわからない。



「そうさ。この城は、オレが魔王アンドロメダと呼ばれていた時と同じ作りにしたんだ。」



 するとリリーが寂しそうにぽつりと言った。



「やっぱりそうだったのね? シルバーが伝説の魔王、アンドロメダ様の生まれ変わりじゃないかとずっと思ってたもん。」


「隠していてごめん。リリー! サタンやその手下に知られたくなかったんだ。それに、オレが自分の記憶を取り戻したのはモモカとの闘いの時さ。それまでは本当に記憶がなかったんだ。」


「そうだったんだね。でも、セリーヌは知ってたんでしょ。」


「実は俺もアンドロメダ様とともに戦った四天王の一人、ビーナスの生まれ変わりなんだよ。」



 すると、ブラッドが言った。



「セリーヌのことは気付きませんでしたが、魔王様のことは気付きましたよ。間違いなくアンドロメダ様だと。」


「やっぱりな。」



 後ろでは、トロルド、モモカ、ロン、グーテ、スペリオ、エルメスが固まっていた。すると、トロルドが大きな体で泣きながら言った。



「やっぱり俺の目に狂いはなかった。シルバー様についてきてよかった!」


「トロルド! 私もだよ! シルバー様に戦いを挑んだ自分が恥ずかしいよ!」


「2人とも誤解してるぞ! オレが2人を連れてきたのは、2人にはオレの目的のために力を貸して欲しいからだ。2人にはその力があると思ったからな。」


「シルバー様! 頑張ります! 見捨てられないように、精一杯頑張ります!」



 すると、その場に笑いが起こった。しばらくして、ブラッドが言った。



「それで、魔王様。これからどうなさるのですか?」


「最初は魔族をまとめる必要があるだろうな。中には、オレを新たな魔王と認めない連中がいるだろうからな。それと、この国には政治機構が整っていないから、まずはそこから始めようか。」


「はい!」



 オレ達は、大会議室に行った。まだ、飲み物を用意してくれる執事もメイドもいない。するとセリーヌが言った。



「早く、執事とメイドを採用しないとな。」


「シルバーには私がいるからっメイドなんて必要ないわ。」


「リリー! お前にもやってもらいたいことがあるんだ。」


「私に?」


「そうさ。リリーだけじゃない。ここにいるみんなにも協力してもらうぞ!」



 全員が席に着いたところで、いよいよ最初の会議を始める。最初にオレはバンパイア族のブラッドをこの国の宰相に任命した。宰相は、魔王の代理としての権限を持つ重要なポストだ。



「ブラッド! オレが不在の時はこの国の取りまとめを頼むぞ! それと、ブラッドにはこの国の財源の確保及び予算編成をやってもらおう。」


「昔が懐かしいですね。昔も同じようなことをしていたと思います。」


「そうだな。ブラッドなら安心してませられるからな。」


「ありがとうございます。」



 そして、新たに魔族の軍隊を創設することにした。軍部大臣に竜人族のロンを任命した。



「ロン! 兵士を募集して鍛えてくれ。魔獣討伐の兵士、国防のための兵士。それぞれ、代表者を決めて組織を作ってくれ。」


「畏まりました。各種族から精鋭を集めましょう。我が竜人族達にも協力させます。」


「頼んだぞ!」


「ハッ」



 そして、次は建設大臣だ。身体が大きく力持ちのトロルドが適任だ。


 

「トロルド! お前には建設大臣をしてもらう。王都を中心に区画整理、道路の補修、幹部達の住まいの建設、公共施設の建設だ。それが終わったら、各地域の道路整備、国防のための城壁だ。休む暇はないぞ!」


「承知しました。トロール族全員で行います。」


「トロール族だけでは足りまい。報酬を支払って、他の種族にも協力してもらえ。」


「畏まりました。」



 次に、国内の治安維持部隊の創設だ。



「モモカ! お前には治安維持大臣をやってもらう。王都だけでなく、この国全体の犯罪を取り締まるんだ。」


「畏まりました。鬼人族にはそれぞれ使い魔がいますので、ご期待に応えられると思います。」



 次に、大審院を創設し、初代の裁判長はグーテにお願いするつもりだ。セリーヌの話だと、天狗族は元来魔眼を持っている。魔眼の力で、相手が真実を言っているのか、嘘を言っているのかを見抜くことができるのだ。



「これからこの国を法治国家とする。そのため、王都に大審院を作り、裁判長にはグーテを任命する。法律の制定はブラッドと相談するように。」


「承った。魔王様のご期待を裏切らないように、一族全員で協力するぜ。」


「治安維持を担当するモモカと相談しながらやってくれ。」


「ハッ」



 ここで、リリーがそわそわ始めた。当然リリーにも役職と仕事は用意している。



「リリーには文部大臣をやってもらう。」


「えっ?! 私に?!」


「そうだ。お前にはこの国に学校を作ってもらいたい。そこで、魔族の子ども達が一般常識や魔法を学べる機会を作りたいのだ。子どもは国の宝だ。やがて子どもたちが成長して、この国のリーダーとなっていくだろう。」


「責任重大ね!」


「各種族から教師を採用して、それぞれの種族の特性を生かした教育をするように。」


「わかったわ。」



 次は、病院だ。病院はアラクネ族のスペリオが適任だ。アラクネ族は、ベッドや包帯のような医療道具を作れるだけでなく、病気や毒に対しても知識が豊富だ。



「アラクネ族のスペリオ。お前には厚生大臣をやってもらおう。この国に病院を作って欲しい。この大陸は魔獣が巨大で凶暴だ。魔獣との戦いで怪我をするものが多い。彼らの怪我を治す機関が必要だ。」


「承知しました。アラクネ族が全力でやらせていただきます。」


「頼んだぞ!」


「ハッ」



 最後はセリーヌだ。



「セリーヌはオレの直轄とする。セリーヌには他の種族の動向を探ってもらう。特に人族をな。」


「承知した。」


「命がけの仕事だ。頼んだぞ!」


「ハッ」



 するとブラッドが声をかけてきた。



「恐れながら、魔王様。この街は、この魔族の国アスラの王都であるにもかかわらず名前がありません。昔は王都アンドロメダと呼ばれていましたが、世界が平和になってからはその名前で呼ぶものがいなくなりました。いかがでしょう。この機会に名前を付けられては。」


「そうだな。では、この王都の名前はこれよりアテナとする。」



 すると、ブラッドもセリーヌも驚いた顔でオレを見る。そうだ。アテナはオレが魔王アンドロメダだった時代にオレが愛した女性の名前だ。オレの目の前で殺された最愛の女性の名前だからだ。



「みんなよく聞け! このアテナから世界の平和を実現する! 協力してくれ!」



 その後、正式に魔族の国アスラ全体に魔王誕生と新体制を告知した。さらに、ブラッドによって、全世界に魔王シルバーの誕生とアスラ魔王国の新体制についても発表された。世界中では、『魔王誕生』と聞いて、驚くもの、恐怖を感じるもの、友好関係を築こうとするもの、魔王対策を考え始めるもの、様々な反応があった。


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