武闘大会(1)
そして、数日が過ぎ、いよいよ武闘大会の日が来た。最初は、8つのグループに分かれてバトルロワイヤルだ。各グループの生き残り8人で、決勝ラウンドを行う。
「グループ分けを見に行こうか?」
僕達はグループを見に行った。Aグループにはバンパイア族のブラッド。Bグループにはアラクネ族のスペリオ、Cグループにはダークエルフ族のエルメス、Dグループにはリリー、Eグループには謎の人物エックス。Fグループには僕。Gグループには竜人族のロン、Hグループには天狗族のグーテがいる。
「シルバー! いよいよ始まるわよ!」
「シルバー様。Aグループにはブラッドがいますよ。是非、見物しましょう。」
「そうだね。ブラッドとモモカさんはどっちが強いの?」
「直接戦ったことはありませんが、彼は太古の昔からいますから。確か魔王アンドロメダ様の家臣だったと聞いています。恐らく、私では勝てないでしょう。」
ブラッドがどれほど強くなったのか確認したい。確か、昔は魔族四天王の中でも最強だった。僕達は闘技場の観客席に行った。バトルロワイヤルは1グループが30人ほどだ。
「シルバー! 結構強そうな連中がいるわよ。」
「そうだね。」
確かに見た目は強そうな者達がいる。逆にブラッドは見た目はそれほど強そうには見えない。いよいよ試合が始まった。全員が入り乱れた中で、ブラッドの気が感じられない。そして、終盤に差し掛かり、残りが5人ほどになった時、突如、試合会場の中央にブラッドが現れた。
「貴様~! どこにいた?」
「ず~とここにいましたよ。気付かなかったんですか?」
ブラッドは魔力も気配も姿もすべてを消していたのだ。暗殺に特化した彼なら、この程度造作もないことだろう。
「おのれ~!」
5人が一斉にブラッドを攻撃する。だが、次の瞬間、ブラッドの身体が黒い霧となって消えた。そして、闘技場にいた5人が次々と意識を失って倒れていく。
「勝者! ブラッド!」
「オオ——————!!!」
続いてBグループの試合の準備が行われている。ブラッドの試合を見てセリーヌが僕に言った。
「やはり、ブラッドは強いな! 魔王アンドロメダの右腕と呼ばれるだけのことはある。」
トロルドも同じ意見だ。
「多分、この程度の相手なら、ブラッドは実力を出していないと思われます。シルバー様。」
「ねぇ! シルバー! 今、闘技場に入ってきたあの女性、すごい美人よ!」
リリーの指さす方向を見ると、そこには上半身がビキニ姿で下半身が蜘蛛の女性がいた。
「彼女がアラクネ族のスペリオです。彼女もそれなりに強いですよ。」
第2グループの試合が始まろうとしていた。
「始め!」
第1試合とは逆に、スペリオはいきなり周りの魔族達を攻撃した。鋼のように固い糸でぐるぐる巻きにしていく。後ろからスペリオに攻撃を仕掛ける者もいたが、スペリオには後ろも見えているかのように、後ろから襲い掛かってきた相手も逆に糸で身動きできなくしていた。興味津々で見ていたリリーがセリーヌに聞いた。
「セリーヌ! スペリオのあの足はすべて魔法が使えるの?」
「そのようだな。」
第2グループの試合もあっという間に決着がついた。勝者はやはりアラクネ族のスペリオだ。そして、第3試合の準備に入る。
「シルバー! 私、そろそろ行くわ。」
「僕も一緒に行くよ。」
僕とリリーは、その後の試合を見ることなく、みんなと別れて控室に向かった。第3試合は予想通り、ダークエルフ族の最強戦士であるエルメスが順当に勝ち上がったようだ。そして、第4試合、いよいよリリーの番だ。
「リリー! 頑張ってね!」
「わかってるわ! シルバーは心配性ね!」
リリーが試合会場に向かった。試合会場には強そうな者達もいた。
「始め!」
魔族の女性戦士は珍しくない。だが、ほとんどが見た瞬間に魔族とわかる容姿をしている。だが、リリーは翼を出さなければ人族に見える。リリーの近くの魔族達が、人数を減らそうと一見弱そうなリリーに襲い掛かる。リリーは腰の剣を抜き、目の前の敵一人一人に対応する。順調に相手を倒し続けて、気付いてみれば残すところ2人だけになっていた。相手も強そうだ。ここで、やっとリリーが魔力を解放した。全身から黒いオーラが溢れ出る。そして、背中には翼が出た。
「行くわよ!」
「どこからでもかかってこい。」
相手は獣牙族の戦士だ。動きが速い。まるで、瞬間移動しているような速さだ。なかなかリリーの攻撃が当たらない。逆に、リリーの身体のあちこちから血が流れる。
『シャイニングライト』
リリーの身体から強烈な光が出た。一瞬眩しくて何も見えなくなった。獣牙族の戦士も眩しさのあまり目を塞いだ。その瞬間をリリーが見逃すはずがない。リリーの拳が相手の身体にめり込んだ。
「グホッ」
獣牙族の戦士は意識を失ってその場に倒れた。
「勝者リリー」
「ワ———————!!!」
リリーが試合会場から引き揚げてきた。
「危なかったわ。獣牙族ってあんなに強いと思わなかった。」
「ローズおばあちゃんが言われたじゃないか。油断するなって! 上には上がいるんだって!」
「そうね。セリーヌの修行がなかったら、完全に負けてたわ。」
第5試合は謎の戦士エックスが圧勝だ。相手から攻撃を受けながらも、恐ろしいほどの自己再生能力で傷が癒えてしまう。逆に、相手には効果的に魔法で攻撃していた。どうやら、自己再生能力を持つ種族のようだ。そうなると、精神体のバンパイア族か悪魔族の可能性がある。
「シルバー! いよいよあなたの番よ。」
「そうだね。」
「大丈夫なの? 」
「多分、大丈夫だと思う。」
オレは自信なさげに言ったが、力の封印が解除された今、負けることはないだろう。僕は周りを探した。だが、サタンやその部下の気配はない。やはり、あのエックスが一番怪しい。オレは、簡単に試合を終わらせようと開始の合図とともに魔法を発動した。
『シャドウバースト』
すると、僕を中心に強烈な爆発が起き、爆風で参加者全員が吹き飛ばされ、壁に激突した。わずか1秒だ。
「勝者シルバー」
「・・・・・」
観客席は何が起こったのかわからず、静まり返っていた。それもそうだ。女の子のような姿の僕が、一瞬で魔族の強者を倒してしまったのだから。そして、数秒してから大歓声が上がった。
「スゲ——!!!」
「何がどうなったんだ?」
「知らねぇよ! ただ、あいつの強さは半端ねぇぞ!」
僕が控室に戻ると、リリー、セリーヌ、トロルド、モモカが待っていた。
「さすがシルバー様です。」
「やはり私の目に狂いはなかったようです。」
「やっぱりシルバーは最強ね!」
「シルバー! 少しは自重しろよ!」
セリーヌが何を言いたいかわかっている。あまり、強さを見せると僕がアンドロメダだとばれてしまう可能性があるからだ。そして、第7試合は竜人族のロンが勝ち、第8試合は天狗族のグーテが勝ち残った。今のところ、すべて予想通りだ。




