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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
魔王誕生
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ついにシルバーの正体が明かされる?!

 僕達は鬼人族の村にやって来た。すると、族長の家まで案内された。驚いたことに、鬼人族の族長はモモカと名乗る女性だった。グラマーで超絶美人だ。だが、やはり魔族だけあって、力を確認するために戦闘を要求してきた。仕方がないので、僕達はトロルドと合流して武闘場まで行った。



「逃げずに来たか!」



 鬼人族のモモカは大きな刀を持っている。しかも、金属の鎧のようなものを纏っている。完全武装だ。



「どうする?」



 すると、トロルドが言った。



「シルバー様。私が相手をしましょうか。」


「ダメだよ。これは僕とリリーの修行なんだから。」



 するとモモカが言った。



「シルバーとやら。お前はトロール族を従えているのか。ならば、それなりに力があるのだろう。私と戦え!」


「別に従えてるわけじゃないけど。でも、いいよ。ただ、僕が降参したらそこまでだからね。」


「情けない奴だ! 戦う前から命乞いか。情けない。よくもお前みたいなやつに、あの高潔なトロールが従ったものだ。」



 リリーが心配そうに僕を見ている。セリーヌとトロルドは何かを確かめるように僕を見ていた。



「では、行くぞ!」



 目の前のモモカの姿がいきなり消えた。後ろに気配を感じる。僕は身を低くして、前に転がった。すると、僕のいた場所にモモカの剣が通過した。



「良く避けたな。誉めてやろう。」



 今度は小刀を投げてきた、1本だったはずの小刀が10本に増えている。僕は剣で小刀を叩き落したが、全部は無理だ。小刀が手と足をかすめる。



「痛ッ!」



 手と足から血が流れた。



「どうした? この程度の攻撃も避けられないのか? 手も足も出ないではないか?」



 モモカが魔法を唱える。すると、モモカの頭上に黒い雲が現れ、パチパチと音を鳴らしている。



『サンダースラッシュ』



 黒い雲から僕に向かって雷が何本も襲い掛かる。僕は心の中で半ば諦めかけた。



“あっ! やられる!”



すると、次の瞬間、身体が勝手に動いた。後ろに下がりながら何本もの電撃を避けたのだ。だが、目の前にいたはずのモモカが僕の後ろにいた。僕はモモカの刀で背中から切られ、意識を失った。



「お前のその姿は、どうしたんだ?」



 僕は意識を失ったが、封印されているもう一人のオレが現れた。女顔も精悍な男の顔に変化し、背中には漆黒の翼が出ている。そして、全身から凄まじいオーラが溢れ出ていた。



「お前、それでオレに勝ったつもりか?」



『リカバリー』



 オレが魔法を発動すると、身体の傷は見る見るうちに修復していく。



「ならば、お返しと行こうか。」



 オレはモモカの後ろに瞬間移動し、背中をけ飛ばした。モモカが地面をころころと転がった。すかさず、オレはモモカの真上に瞬間移動し、上から容赦なくパンチを叩き込む。



「グハッ」



 モモカが口から血を吐いた。



「貴様ごとき、オレが剣や魔法を使うまでもない。」



 モモカは膝を地面につけて、信じられないという顔をしている。そして、鬼の形相でオレに刀で切りかかった。だが、その動きが止まって見える。オレはモモカが振り下ろした刀を2本の指で受け止めた。



「くだらん! それがお前の力か?」



 オレが指に力を入れると、刀が『ポキン』と折れてしまった。



「ありえん。この刀はミスリル製だぞ! それを指で折るなどありえん! 貴様は何者だ?」


「知りたいか? 知りたいならばこのオレを倒してみることだ!」



 オレはモモカの目の前に瞬間移動し、腹に拳をめり込ませた。



「グホッ」



 モモカは口から血を吐き出し、その場で意識を失った。同時に、オレもその場に倒れた。



「シルバー! シルバー!」



 遠くで誰かが僕を呼んでいる。この声はリリーではない。僕がうっすらと目を開けると、そこは真っ白な世界だった。そして、目の前には恐らく神であろう人物が立っている。僕はどうしていいのかわからず、白い雲のような地面に土下座して頭を付けた。



「頭をあげなさい。シルバー!」


「女神様の前で頭をあげるなんて、恐れ多いです。」


「いいのですよ。シルバー!」



 僕はゆっくりと頭をあげた。すると、眩しい光の中に絶世の美女がいた。



「シルバー! あなたにかけた封印がそろそろ限界のようです。あなたに記憶をお返ししましょう。」



 女神様がそう言うと、僕の頭の中にものすごい量の記憶が流れ込んでくる。すべてが映像化されている。僕の頭は大混乱だ。そして、だんだんと記憶が蘇ってきた。



「どうかしら? シルバー! いいえ! アンドロメダ!」



 自然とオレの目からは涙が溢れた。前世でオレは魔族に生まれた。オレが生まれた時代、人族は魔族だけでなく、エルフ族、獣人族、ドワーフ族、すべての種族に戦争を仕掛けていた。人族は他の種族と違って、魔法の能力はそれほどでもない。そのため、文明を発展させ、魔法にも負けないほどの強力な武器を作り出したのだ。どの種族も人族に蹂躙され、魔族やエルフ族の美しい女性達は性奴隷にされ、他の種族と男達は労働奴隷にされた。口答えして、その場で殺された者までいる。オレは、そんな時代に生まれたのだ。オレには、生まれながらにして強力な力が備わっていた。だから、魔族の同胞たちから一緒に人族と戦うようにと誘われたが、オレは争いを好まなかった。だが、目の前で愛する女性を殺されたのだ。そして、オレは立ち上がった。強大な魔力を背景に人族を大勢殺した。そんな中、人族の中にも他の種族を尊重する人々が現れ始め、各種族が手を取り合って平和に暮らす時代が訪れた。人族を大勢殺し、あり得ないほどの力を持っていたオレは、世界平和の象徴としてあがめられるのではなく、逆にすべての種族から『魔王』として恐れられる存在となってしまった。そんなオレにも大切な仲間達が何人もいた。オレにとっては、大切な友人達だ。しかし、平和になった時代に、オレだけでなく、オレの仲間達も他の種族にとっては邪魔ものとなってしまったのだ。魔王であるオレさえいなくなれば、仲間達も平和に生活できる。そんな思いが強くなり、自ら命を絶とうとしたとき、オレの目の前に女神様が現れた。そして、オレは女神様に記憶も力も封印されて、新たにこの時代に転生させられたのだ。



「思い出しました。女神ナルーシャ様。」


「久しぶりね。アンドロメダ。実はあなたにお願いがあるのよ。」


「なんでしょうか?」


「再び、世界が混とんとし始めているの。この世界を守ってくれないかしら。」


「オレに『再び鬼になれ!』ってことですか?」


「そうね。でも、今回は少し違うわよ。以前のあなたは、世界のためでなく、大切なものを奪われた怒りから鬼になったの。今回は、世界の平和のためなのよ。」


「・・・・」


「お願いできないかしら?」



 オレは考えた。世界を平和に導く力を持っている以上、オレがやるしかないのはわかる。だが、なぜオレには強大な力が備わっているのだろうか。オレはいったい何者なんだろう。オレは自分の種族すら知らないのだ。



「わかりました。お引き受けしましょう。ただ一つ教えてください。オレは何者なんですか?」


「それはすべてが終わったらね。」


「この世界が平和になれば、すべてを教えていただけるんですか?」


「そうね。そうなればあなたの修行も終わるものね。」


「修行ですか?」


「もういいでしょ! じゃあ、元の世界に戻すわよ。」


「ま、待って!」



 オレが意識を取り戻すと、いつものようにリリーの膝の上に頭が乗っていた。そして、リリーの目から大粒の涙が落ち、オレの頬を濡らしていた。



「気が付いたの? シルバー!」


「ああ、もう大丈夫だ。」


「いつもなら意識を失った後、いつものシルバーの姿に戻るのに、今回はそのままなんだもん。それに、なかなか意識が戻らないし、心配したんだからね。」


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