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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
シルバー成長期
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ピッツデリーのダンジョン(6)

 僕達が修行のためにピッツデリーのダンジョンに来てから、すでに1週間以上が経過していた。いよいよ50階層だ。



「シルバー! リリー! 次はいよいよ最後の敵だ!」


「セリーヌ! 最後の敵ってことはこれでダンジョンを踏破することになるの?」


「ああ、そうだ。良くここまで頑張った。今までより少しは強くなってると思うぞ!」


「そうかな~? 実感がわかないな~。」


「次のボスはリッチキングだ! 生半可な相手じゃないぞ! 恐らく人族で単独で勝てる者は、いないだろうな。」


「なら、私が戦うわ! もう、火魔法は使ってもいいわよね。」


「ああ。いいさ。お前の得意な魔法を使っても勝てるかどうかわからんからな。」



僕はセリーヌの言葉を聞いて、何か胸騒ぎがした。そんなことはお構いなしにリリーが前に出た。やる気満々だ。恐らく僕を心配してのことだろう。



「いいよ。でも、危なくなったら僕も加勢するよ!」


「大丈夫よ!」



 そして、いよいよ50階層のボス部屋だ。中に入ると、豪華な服を着た骸骨がいた。装飾品で金ぴかだ。そして、リッチキングがしゃべった。



「良くここまで来たな。褒めてやろう。俺様と出会ったことが運の尽きだ。貴様達はここで死ぬのだからな。」


「あなた喋れるの?」


「当たり前だ! 俺様を他の魔物達と一緒にするな!」



 リリーが剣で切りかかるが、リッチキングは魔法の盾でそれを防ぐ。それどころか、盾からものすごい圧力が出た。リリーは後ろに大きく飛ばされ、地面を転がった。そして、目の前のリッチキングの姿が消えた。と思ったら、次の瞬間には、リリーの背後にいた。



「リリー! 後ろ!」



 リッチキングが大鎌を振り下ろす。リリーは間一髪避けたが、腕から血が流れていた。



「よく避けたではないか。小娘! 次は逃さんよ!」



 再びリッチキングの姿が消えた。だが、リリーは覚えたての光魔法で全身から光を放射する。すると、リッチキングの動きが見えた。



「そこね!」



『ファイアバースト』



 リリーの手から炎が噴き出す。まるで火炎放射器だ。



「グワッ」



 リッチキングの服がところどころ燃えていた。



「良くもやりおったな!」



 リッチキングの身体から真っ黒なオーラが溢れ出る。怒りの感情を爆発させたようだ。もの凄い闘気だ。



「苦痛なく殺すつもりでいたが、貴様には惨たらしい死を与えてやろう。」



リッチキングの身体が真っ黒な霧に変化し始めた。そして、その霧がリリーの身体に纏わりついた瞬間、リリーの全身から血が噴き出した。



「リリー!」



さすがのリリーも意識がもうろうとしているようだ。このままではリリーが殺される。僕はリリーを助けようと、リリーのもとに急いだ。次の瞬間、目の前でリリーの背中にリッチキングの大鎌が突き刺さるのが見えた。



「リリー!!!」



 目の前にはぐったりとしたリリーがいる。自分に近い存在が死ぬなんて考えられない。だが、これは現実だ。僕は体の底から怒りと憎しみが込み上げてきた。



「バ—————ン!!!」



 空気が破裂する音が聞こえ、僕の身体から凄まじい闘気が溢れ出す。リッチキングもセリーヌさえも目を開けていられない。



「なんだ?! 何が起こったんだ?!」



 セリーヌが驚きの声をあげる。そして、目の前には真っ黒なオーラに包まれ、背中から漆黒の翼を出した精悍な顔つきの男が立っていた。



「貴様! 何者だ?」


「お前ごときに名乗る名などない! お前には永遠に消えてもらう! ダンジョンであろうと、2度と蘇ることはない!」



 僕は魔法を発動する。



『ブラックホール』



 すると、僕の手から放たれた黒い球がリッチキングの前まで行った。リッチキングは大鎌でそれを払いのけようとする。だが、黒い球がリッチキングを勢い良く吸い込み始めた。リッチキングは黒い霧になって逃げようとするが、無駄だ。黒い球はリッチキングをすべて吸い込んだ。そして、僕は急いではリリーのところに駆けよった。心臓に手を当てると、心臓がかすかに音を立てている。



『レストラクション』



 僕が魔法を発動すると、リリーの身体の傷が癒えていく。そして、リリーが意識を取り戻した。と同時に僕は意識を失った。



「グホングホン! 何があったの?」



 リリーが周りを見渡すと、そこにはシルバーが気を失って倒れていた。そして、シルバーの脇にはセリーヌがいた。



「無理をするな。リリー! まだ、休んでいろ!」


「シルバーがどうかしたの? シルバーが死んじゃったの?」


「違うさ、意識を失ってるだけだ。」


「私、負けっちゃたわ!」


「そうだな。だが、シルバーが仇を取ったぞ。」


「本当に?」


「ああ、本当だ。信じられないが、シルバーの様子が変化してな。リッチキングを魔法1発で討伐しやがった!」


「そうなんだ~! また、シルバーが変化したんだ~!」


「以前にもあったのか?」


「ええ。私が盗賊達に怪我させられた時にも同じことがあったわ。」


「そうなのか?」


「でも、シルバーはその時の記憶がないのよ。おばあちゃんは封印されてるんじゃないかって言ってたわ。」


「なるほどな。これは、ばあさんに会わないといけなくなったな。」


「えっ?! 家に来るの?」


「ああ、そうだな。久しぶりにばあさんにも会いたいしな。」



 リリーが、気を失っている僕の手を握っている。僕は気が付くとリリーの膝に頭を乗せて寝ていた。



「リッチキングは?」


「シルバーが討伐してくれたんだよ!」


「僕が~? ありえないよ! それで、リリー! 怪我は大丈夫なの? リッチキングに殺されそうになってたよね?」


「それも、シルバーが治してくれたんだって!」


「そんなことできないよ。確かに治癒魔法は使えるけど、僕が使えるのは切り傷を治す程度だよ。」


「やっぱり、シルバーは強いのね!」


「もしかして、本当なの?」



 僕はセリーヌの顔を見た。セリーヌは静かに頷いた。



「そ~なんだ~! 僕、また意識なくしたんだね。なんか、意識のない僕が勝手なことをするのが怖いんだ。」


「恐らく、お前の中の潜在意識がお前の能力を抑え込んでいるのだろうな。」


「僕は何者なんだろう?」



 自分の無意識の力を知って、自分自身が怖くなる。そんな僕を見て、セリーヌが声をかけてきた。



「シルバー! お前には聞きたいことがある。ここを出てから話を聞こう。その前にやることがあるからここで待っていてくれ。」



 セリーヌはダンジョンの下層へと下りて行った。僕がリッチキングを倒した後、いつものように階段が現れたのだ。しばらくして、セリーヌが戻って来た。



「待たせたな。じゃあ、行くぞ!」



 セリーヌの体が光りだし、気付くと僕達はダンジョンの外に出ていた。周りをキョロキョロしてリリーが聞いた。



「この魔法は?」


「転移魔法だ。この魔法は今までは俺にしか使えなかったが、恐らくシルバーにも使えるさ。そうだろ?」



 何と返事をしたらいいのだろう。もしかしたら、セリーヌが言った通り使えるかもしれない。僕は意識を失う前、失われていた記憶がほんの僅かだけ蘇ったのだ。うっすらとした記憶の中で、僕は大勢の人達を殺していた。



「本当? シルバー!」


「無理だよ。リリーにできないのに僕にできるわけないよ。」



 僕は濁すように言った。すると、セリーヌがニヤッと笑った。


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