イグドラ帝国の武闘大会決勝戦!
僕達は勇者にすべてを説明した後、3人を帝都に送り届けてから魔王城まで戻った。
「シルバー! 勇者の3人がわかってくれてよかったね。」
「ああ。だが、彼らではサタンに勝てないだろうな。」
すると、セリーヌが一つの提案をしてきた。
「シルバー! お前があいつらを修行してやったらどうだ?」
これにはガンマも黙っていられない。
「なら、俺にも修行を付けてください! 師匠!」
「ガンマ! お前にはやることがあるだろう? お前の役目は帝国を倒した後、ガリア王国を復興させることだ! テキーラだってベータだって、お前の帰りを待ち望んでいるんだぞ!」
ガンマが下を向いてしまった。口には出さないが、テキーラ達のことを気にはしていたのだろう。
「わかりました。皇帝を討伐したら俺は祖国に戻ります。でも、いつか絶対に強くなりますから、その時は俺と手合わせしてください。」
「わかったよ。」
そして翌日、僕達は帝都の闘技場に来た。闘技場付近まで来ると、やはり見張りが僕達に気付かれないように遠くから監視していた。
「シルバーさん。おはようございます。」
「おはよう。」
リリーが前に出て行った。
「ユウマ! いい試合しましょ! わかってると思うけど全力でかかってきなさい!」
「そうするさ。リリーさんに手抜きなんかしたら、殺されちまうからな。」
「わかってるじゃない!」
いよいよ決勝戦だ。観客席からは黄色い声援が聞こえてくる。
「キャー! ユウマ様~!」
「リリー! 頑張れ~!」
いよいよ決勝の始まる時間だ。一気に観客席が静まり返った。
「始め!」
ユウマは最初から全開モードだ。剣から轟轟と炎が燃え上がっている。一方のリリーはまだ剣を抜いていない。ユウマが一気にリリーに駆け寄って斬りつけた。リリーはそれを余裕で避ける。さらに、ユウマが動きを加速させてリリーに襲い掛かる。ここでようやくリリーが剣を抜いた。
「カキン」
「なかなかの動きよ。でも、まだまだね。私について来れる?」
今度はリリーから攻撃を仕掛ける。ユウマは防戦一方だ。ユウマの身体のところどころから血が飛び散っている。
「グホッ グホッ」
ユウマは満身創痍の状態だ。立っているのがやっとだろう。すると、ユウマが最後の力を振り絞った。全身から闘気が溢れ出る。そして、剣に纏う炎はさらに大きくなった。
『剛炎竜剣』
ユウマが剣を振るうと、巨大な炎がリリーに襲い掛かる。リリーはそれを見つめながら剣を振った。
『時空斬』
すると、剣の通った後からどんどん空間に裂け目ができていく。そして、ユウマの繰り出した巨大な炎がその空間に飲み込まれていく。そして、ユウマの胸から血が流れた。
「ドサッ」
ユウマは地面に倒れた。どうやら意識を失ったようだ。
「勝者リリー!!!」
「オオ———————!!!」
「ワァ————!!!」
ユウマが担架で運ばれていく。僕は選手控室に運ばれたユウマのところに行った。そこには心配そうにしているミサキとタイゾウの姿があった。
「みんな下がって!」
僕はみんなをどけて治癒魔法をかけた。
『リカバリー』
すると、明るい光がユウマの身体を包み込み、ユウマの傷がどんどん塞がっていく。そして、ユウマが意識を取り戻した。
「俺は負けたのか?」
「ああ。そうだな。」
「何もできなかったな~! もっと強くならないとな!」
「そうね。これからも3人で頑張りましょ!」
「ああ。」
ユウマの目から涙が流れた。何もできなかった自分が不甲斐ないのだろう。僕はリリーのところに戻った。
「おめでとう。リリー!」
「ありがとう。シルバー! ちょっとやりすぎちゃったかな?」
するとセリーヌがしかめっ面で答えた。
「いいんだ! あのくらい! あいつらにはもっともっと強くなってもらわないと困るからな!」
「厳しいな~! セリーヌさんは。」
その後表彰式が行われ、予想通りベスト4の選手は城に呼ばれた。何やら報酬を与えられるらしい。
「ベスト4ってことは俺も行くんですか?」
「そうだね。リリー、ユウマ、タイゾウ、ガンマがベスト4だからね。」
「師匠とセリーヌさんはどうするんですか?」
「行くよ。でも、他の人間にはわからないようにね。」
「なるほど、そういうことですか。」
その頃、城に戻った皇帝アルカイックは部下に聞いた。
「どうだ? リリーとかいう小娘のことが何かわかったか?」
「いいえ。何もわかりません。どこの出身なのかも不明です。」
「そうか。」
「彼女には同行者が3人います。一人はベスト4のガンマ、それと少女2人です。」
「ならば、4人がレジスタンスの可能性があるな!」
「はい。」
皇帝アルカイックの顔から不敵な笑いがこぼれた。




