港町ハベルの大掃除
僕はミズーリ侯爵と戦闘になったが、ミズーリ侯爵はサタン配下のダークデーモンだった。魔力を少し解放した僕の力は圧倒的で、恐ろしい存在であるはずのアークデーモンを軽々と倒してしまった。その一連の様子を見ていたテキーラとベータはまるで夢を見ているような顔をしていた。
「ベータ! 腕は大丈夫? ちゃんと動く?」
僕が声をかけると、ハッとして慌ててお礼を言ってきた。
「ありがとうございます。シルバーさん。本当にありがとうございます。」
「別にいいよ。ベータ―は僕の友人だからね。」
「友人? 俺はシルバーさんの友人にしてもらえるんですか?」
「当たり前だよ。テキーラもベータもガンマも僕の大事な友人だよ。」
すると、テキーラが近寄って来た。
「シルバーさん。ありがとうございました。お礼にこの私を差し上げたいんですが・・・」
なんかテキーラが訳の分からないことを言ってきた。隣のリリーはお怒りモードだ。
「テキーラもベータもまだ終わってないからね。外の様子も見ないと。それに、テキーラはガリア王国を再興しないといけないんだからね!」
「そうですね。」
テキーラの表情が寂しそうだ。僕達は城の外の様子を見に行った。すでに戦いは終了していた。ユーサが僕達を見つけて駆け寄って来た。
「姫様。ご無事でしたか。こちらはすべて終了しました。現在は手分けをして帝国の残党どもを探しております。」
「ご苦労でした。怪我人はいませんね?」
「はい。シルバー様が全員に結界を施してくれましたので。」
ここで、僕が説明した。
「帝国兵達は、僕が結界を張っているからこの街からは出れないよ。だらら、逃げられる心配はないけど、中には住民を人質にする輩も出てくるかもしれないから注意しないとね。」
「はい。レジスタンスのメンバーが3人一組になって行動しています。」
ここで僕は考えた。この街は広い。この街の中で帝国の兵士達を全員捕まえるには相当時間がかかりそうだ。それに、早く街を復興させないといけない。
「ユーサさん。僕が帝国の兵士達に呼びかけてみるよ。レジスタンスのみんなは中央広場で待機させておいてくれるかな?」
「はい。それは構いませんが、どのようにして呼びかけるんですか?」
「あまり目立ちたくはなかったんだけど、仕方ないね。リリー! 変身して!」
「うん。」
僕とリリーは魔族の姿に戻った。と言っても、背中から黒い翼を出しただけだ。
「じゃあ、いってくるから。」
僕とリリーはそのまま王城の前まで飛翔した。そして、空中に浮かびながら風魔法に乗せて呼びかけた。
「帝国兵の諸君。ミズーリ侯爵は悪魔族のアークデーモンだった。そのアークデーモンはこの魔王シルバーが打ち取った。」
僕は少しだけ魔力を解放して男性よりの精悍な姿に変身した。僕とリリーの身体が黒いオーラに包まれ、凄まじい闘気が溢れ出ている。
「よいか! 帝国兵ども! 5分待ってやる! その間に中央広場まで来い! 来たものには命の補償はしてやる! だが、来なかったものには残酷な死をプレゼントしよう!」
リリーが右手を上げると真っ黒で巨大な竜が現れ、上空で大きな口を開けてクネクネと飛び回っている。
「これでいいかな?」
「さすがリリーだな。上出来だ。」
建物の陰から一人また一人と次々に帝国兵が集まってくる。そして、広場が帝国兵で埋め尽くされた。ざっと、2000人近くいる。
「時間だ! いまだに隠れている者は死ぬがよい!」
「パチン」
僕が指を鳴らすと上空にいた竜が地上に向かって舞い降りていく。
「ギャー」
「助けてくれー!」
「グワー」
街のあちこちで悲鳴が聞こえてくる。オレとリリーは中央広場に集まった帝国兵達の頭上まで飛翔した。
「これからお前達には罰を与える。」
「パチン」
帝国兵達の首に黒い首輪が現れた。
「何なんだ? これは?」
「おい! 外れねぇぞ!」
帝国兵に言った。
「お前達の罪は大きい! 本来は死んで償わせる方法もある! だが、ナルーシャ様からこの世界の平和を託されて以上、お前達にはこの世界の平和に協力してもらう。その首輪は、お前達が悪行を行えばすぐに首を切り落とす。しかし、お前達が真にこの世界の平和に協力したと認められれば、その首輪は自然とはずれるようになっている。そこでだ。お前達は、自分達が破壊したこの国の再建を手伝え! それがお前達に対する罰だ!」
すると、2000人もいるのだから無理もないが、オレの言葉を信じられないといった感じで反抗しようとする者達が現れた。
「そんなこと信じられるかー! 貴様ら魔族は敵だ! 俺は信じねぇぞ!」
「俺もだ! 早くこの首輪を取りやがれ!」
次の瞬間、叫んでいた男達が急に倒れた。
「グワッ——— ぐ、苦しい!」
「だ、た、助けてくれー!」
「お前達は生きる価値がなさそうだ!」
男達はその場で絶命した。周りにいた兵士達は恐怖で固まっている。
「見ての通りだ! 素直に従えばよし。さもなければこの者達のようになると知れ!」
オレとリリーはその場から姿を消して、テキーラ達のいる場所まで戻った。そこで、普段の姿に変身した。すると、ユーさがおどおどしながら聞いてきた。
「シルバー様はどちらが本物なんですか?」
僕が困っているとリリーが答えた。
「どっちのシルバーも本物よ。ただ、正しい心を持った人々には優しいの。逆に、悪い心を持った人達には怖いかもしれないわね。」
その後、ガリア王国の各都市の復興のために、レジスタンスが中心となって帝国兵達を各都市へと派遣した。
「テキーラとベータはこの後どうするの? 僕とリリーはイグドラ帝国の帝都に向かうけど。」
「私達はガリア王国の復興がありますのでここに残ります。」
「なら、ガンマは?」
「彼は帝国内の武闘大会に出たいと言ってましたから、面倒ですが連れて行ってあげてください。」
「いいよ。なら、僕とリリーは一旦アスラ魔王国に戻るね。」
「シルバーさん。いいえ。魔王様。本当にありがとうございました。リリーさんにも色々助けていただいて、感謝しかありません。」
「いいのよ。テキーラ。それにすべてが終わったわけじゃないでしょ! あなたには国を復興するっていう大事な役目があるんだから。」
「そうですね。ベータやユーサさんの力も借りて頑張ります。」
「そうよ。その意気よ!」
「じゃあ! またね!」




