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魔王シルバーの異世界冒険  作者: バーチ君
イグドラ帝国
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港町ハベルの攻防

 僕は少女のような姿に戻り、リリーとともにエルフの国の王都エルグランにいるフェアリアルの元まで転移した。当然、人族に捕まっていた少女達も一緒だ。そこで、フェアリアルにすべてを説明した。



「さすが、シルバーさんですね。この子達もこれからきっと幸せになれると思います。ありがとうございました。」


「別にいいよ。約束したからね。」



 その後、僕とリリーは再びハベルのテキーラ達のもとに転移で戻った。すると、レジスタンスの一人が走ってやって来た。



「どうしたんだ?」


「予想どうりだぜ! ハベルの街は今大混乱だ。急に奴隷のエルフ達がいなくなって。それだけじゃねぇんだ。オルゴン伯爵が変死体で見つかったんだってよ!」


「あのミズーリ侯爵の弟のか?」


「ああ、そうだ。なんか裸で泡を吹いて死んでたらしいぜ!」



 すると、リリーが言った。



「シルバーの仕業でしょ?」


「そうだよ。だって、あの人、エルフの子に酷いことしてたから。お仕置きをしただけだから。」



 なんかユーサさんが僕を見ていきなり目をそらした。どうしたのだろう。すると、テキーラが教えてくれた。



「シルバーさん。肩のところ、服がずれてますよ。」



 確認すると確かに服がずれて肩のあたりがむき出しになっていた。でも、僕の鎖骨を見ても仕方がないと思うんだけど。僕は男だし!



「シルバー! 予定通りね。後は兵士達が郊外に出てくるのを待つだけね。」


「うん。」



 予定通り犯行声明もミズーリ侯爵のもとに届けた。犯行声明にはオルゴン伯爵の殺害とエルフ族の解放を盛り込んだ。そして、レジスタンスのアジトが港町ハベルの郊外の森にあるという偽の情報も流した。後は、ミズーリ侯爵が軍を率いてこの森に来るのを待つだけだ。



「ユーサ殿。予定外の事態です。」



 今度は別のレジスタンスのメンバーが慌てた様子で報告に来た。



「どうした?」


「はい。ミズーリ侯爵が港町ハベルに立て籠りました。」


「どういうことだ?」



 ユーサもミズーリ侯爵の意外な行動に慌てた。その様子を見て、近くにいたテキーラが言った。



「多分、ミズーリ侯爵はハベルの街の住人を人質に取ったのでしょう。」


「なぜですか? なぜそのようなことを?」


「ここに来る前に、リリーさんがテキサルの街の軍隊を全滅させたのよ。しかも郊外に誘き出してね。」


「すると、ミズーリ侯爵はそのことを知って、警戒しているのでしょうか?」


「恐らくね。」



 正直言って、僕とリリーの二人でミズーリ侯爵とその軍隊を壊滅させるのは簡単だ。だが、それではレジスタンス達の恨みは消えないだろう。彼らにも戦わせる必要がある。だとすると方法は一つだ。



「ユーサさん。こっちから攻めようよ。」


「ですが、街には訓練された兵士達が5,000人はいます。俺達はほとんどが平民です。しかも、100人ほどしかいません。玉砕しろということですか?」


「違うよ。僕とリリーが協力するよ。」



 僕はユーサの周りに結界を張った。



「ベータ! ユーリさんに切りつけてみて!」


「いいんですか?」


「いいに決まってるじゃない。シルバーが言ったのよ。早くやりなさい!」


「わかりました。」



 ベータが剣を抜いてユーサに切りつけた。



「カッキン」


「どう? これでもまだ心配?」


「これは?」


「僕がユーサさんの周りに防御の結界を張ったんだよ。ミスリルの剣で切りつけられても平気だよ!」


「す、凄いです! シルバー様!」



 僕とリリーはレジスタンスの全員に結界を施した。そして、全員でハベルの街に向かった。僕達は街道を2列になってハベルの街まで進んでいく。城壁まで300メートルの地点まで来たところで、魔眼を使って罠を確認した。思った通り、ところどころにトラップ魔法が仕掛けてある。



「リリー! この先のトラップを全部破壊して!」


「わかったわ。」



 リリーが魔法を発動する。すると、上空に炎の矢が無数に現れた。その矢が一斉にトラップに向かって降り注いだ。



「バーン」


「ドーン」



 城壁まで続く街道に仕掛けられたトラップはすべて除去した。僕達は再び街に向かって行進を始めた。残り100メートルほどの地点まで来た時、今度は僕達目掛けて矢が飛んできた。城壁の上にいる兵士達が一斉に矢を放ったのだ。僕らは構わず突き進む。矢は僕らに当たるが傷をつけることはできない。全員が結界で保護されているのだから。



「凄いな! 矢が全然当たらないぜ!」


「さすが、シルバー様とリリー様だ! これなら余裕で勝てるじゃねぇか!」



 相手の軍隊は5,000人。それに対して、こちらは100人の兵士だ。状況を考えれば圧倒的に不利なはずなのに、兵士達からは不安の声は上がらない。



「もうすぐ城門だよ。僕が城門を壊したら一斉に街の中に入るからね。市民に怪我人が出ないように注意してね。」


「はい!」



 僕は城門に向かって風魔法を発動した。すると、城門は簡単に砕け散ってしまった。帝国の兵士達はその様子を唖然としてみていた。



「行くよ!」


「はい!」



 僕達は城門の中に流れ込んだ。街の中では兵士達が剣を抜いて待ち構えていた。



「オオ———!!!」



 レジスタンスが兵士達の中に突撃していく。僕はこの軍隊の上官らしき存在を魔眼で探した。上官らしき男性は兵士達の後方にいる。



「テキーラ! ベータ! 上官のところに行くよ!」



 僕はリリーとテキーラとベータを連れて上官のところに転移した。僕達が突然目の前に現れて、上官の男は腰を抜かしていた。



「お、お前らどこから来た?」


「あっちから!」


「ふざけたことを! こいつらを殺せ!」



 上官が周りの兵士達に命令した。兵士達が一斉に僕達に襲い掛かる。だが、訓練を積んだテキーラやベータの敵ではない。あっという間に兵士達を倒してしまった。すると、上官は剣を構えながら震える声で言った。



「ま、待て! 待ってくれ! わしもお前達の味方になる。だから、見逃してくれ!」


「なら、ミズーリ侯爵がどこにいるのか教えてくれる?」


「侯爵様なら旧王城にいるぞ! ただ、あの方は用心深い方だから、この街の住人達を人質として場内に連れ込んでいるがな。」

 

「そうなんだ~! ありがとう。」


「これで、見逃してくれるんだろ?」


「僕はそんな約束してないよ。」



「ピュッ」



 リリーが司令官の首を切り落とした。テキーラもベータもあっけにとられていた。



「こいつも散々ガリア王国の人達を殺したんだよ! 生かしておく必要なんかないでしょ!」


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