港町ハベル奪還作戦
僕とリリーは怪しい機械のある部屋に入った。そこで久しぶりにナルーシャ様に会った。どうやら、この古代遺跡は世界を滅ぼしかねない危険なものが沢山眠っているようだ。僕はナルーシャ様から古代遺跡を消滅させるように依頼された。そこで、急いでテキーラ達のいる場所まで戻った。僕達が戻ると、テキーラ達はすっかり元気になっていた。
「どこに行っていたんですか? シルバーさん。」
「この遺跡を調査してきたんだよ。」
すると、レジスタンスのリーダーのユーサが聞いてきた。
「この先に開かずの扉がありませんでしたか?」
「あったよ。」
「中に何があるのか気になるんですが。どうやっても開かないんですよ。」
するとリリーが少し大人になった胸を前に突き出して言った。
「私とシルバーで中も調査してきたわよ。」
「中に入れたんですか?」
「当たり前じゃない! 私とシルバーよ! 不可能なんてないわよ!」
「なら、俺達もいってみます。」
「それは無理だよ。」
「どうしてですか?」
ここで僕は彼らに嘘を言った。
「みんなのように魔力が小さな人達があの部屋に入れば、一瞬で灰になっちゃうよ。」
「そんなに危険なのですか?」
「まあね。」
ここでリリーがアシストだ。
「シルバーがあの部屋でナルーシャ様に会ったんだって!」
「それは本当ですか?」
「本当だよ。」
「それで、ナルーシャ様は何と申されたんですか?」
「ナルーシャ様は、シルバーにこの古代遺跡をまるごと消滅させるように言ったのよ。」
「本当ですか?」
「うん。」
「それが本当だとしても、この遺跡ごと消滅なんてありえません。この遺跡は、ハベルほどは大きくありませんが、小さな街と同じぐらいの広さがあるんですよ!」
「あなた! 失礼ね! ナルーシャ様ができないことを依頼するわけないでしょ!」
「そうなんですが。」
「やるだけやってみるよ。みんな、一旦古代遺跡の入り口まで戻るよ。」
僕達はレジスタンス達と一緒に来た通路を戻って行った。そして、古代遺跡を一望できる高台まで来た。
「じゃあ、始めるよ。」
僕は魔力を高めていく。すると、とてつもなく大きな魔力が僕の体を覆い始める。辺り一帯に真っ黒な靄ができ始めた。そして、僕の背中に漆黒の翼が見え隠れしていた。さらに魔力を高めた。すると、黒かったオーラが眩しい光に変化していき、漆黒の翼は純白に変化していく。
『アニイラシオン』
僕が魔法を発動すると、下に見えていた古代遺跡がだんだん霞んでいく。まるで蜃気楼のように景色が揺らめき始め、数分経った頃、目の前にあった古代遺跡は跡形もなく消え去った。街も、武器庫も、あの怪しいエネルギーの建物もすべて消滅したのだ。レジスタンス達は僕に向かって全員が平伏した。
「先ほどまでの数々のご無礼をお許しください。シルバー様。」
「えっ?!」
「やはり、あなた様はナルーシャ様がこの世界に遣わした使徒様だと確信いたしました。」
「僕は別に使徒なんかじゃないよ。みんな立ってよ。僕はそんなに偉い存在じゃないから。」
「わかりました。」
「それで、これからの事なんだけどね。僕達は港町ハベルを帝国から解放するつもりなんだ。それに、この街には捕まって奴隷にされているエルフ達もいるからね。彼女達を救い出したいんだよね。」
「畏まりました。我々も協力させていただきます。」
その後、僕達は作戦会議を開いた。最初に僕とリリーで奴隷にされているエルフ達を解放する。そうなると、当然街の中は犯人捜しで混乱するだろう。そこで、レジスタンスが犯行声明を出す。そして、レジスタンスのアジトが港町ハベルの郊外の森にあるという偽の情報を流す。すると、ハベルの街の帝国軍が必ず討伐に向かうので、それを全員で叩き潰す。親玉のミズーリ侯爵が出てこない場合は、リリーが討伐に向かう。こんな流れだ。
「なら、決行は明日だよ。みんなゆっくり休んで準備しといて。」
「はい。」
僕とリリーとテキーラとベータはいつものように魔王城に戻った。すると、ゲーテがやって来た。
「お帰りなさいませ。魔王様。」
「ありがとう。ゲーテに頼みたいことがあるんだけど。」
「わかっております。ハベルで捕らえられているエルフ族の救出ですね。」
「そうだよ。協力してもらえるかな?」
「はい。喜んで。」
僕達は夕食を食べに食堂に向かった。そこにはローズおばあちゃんがいた。
「おや。帰ってきていたんだね。」
「ただいま。ローズおばあちゃん。」
「おばあちゃん。ただいま。」
「お帰り。そこにいる2人はあのガンマとかいう男の仲間かい?」
「おばあちゃん。ガンマのことを知ってるの?」
「ああ。知ってるさね。何やら昔のシルバーのように必死で訓練しとったぞ!」
そこに、ガンマがやって来た。
「姫様。お帰りでしたか。」
「ガンマも頑張っているようね。」
「はい。毎日が充実していますよ。人族の世界ではこれほど強いものはいませんでしたから。毎日が楽しくていられませんよ。」
「それでガンマ。お前は魔法の訓練もしとるんじゃろうな!」
ガンマが声のする方を見ると、そこにはローズおばあちゃんの姿があった。ガンマの顔から血の気が引いていく。
「ローズ様! 魔法の訓練もしっかりやっております!」
ガンマが背筋を伸ばして答えていた。まるで軍隊だ。
「そうかい。ならいいがね。体術だけでなく、魔法も鍛えないと強くなれないよ。」
「はい。わかっております!」
僕とリリーが首を傾げた。
「どうしたの? ローズおばあちゃん。」
オレの言葉を聞いてガンマがオレとローズおばあちゃんの顔を交互に見る。
「ローズおばあちゃん?」
「もしかして、ローズ様はシルバー師匠のおばあ様なんですか?」
するとローズおばあちゃんの身体からオーラが出始めた。
「おばあちゃん! ダメよ!」
「悪かったよ。でもね。年寄扱いされるのは我慢できないんじゃよ。」
ここで僕が説明した。僕とローズおばあちゃんは血がつながっていないが、育ての親であること。リリーの実の祖母であることを説明した。
「どうりで強いわけです。まさか、シルバー師匠とリリーさんの師匠だとは知りませんでした。」
その後、みんなで夕食を食べてその日はゆっくりと休んだ。




