ゲルマ子爵、リリーの怒りをかう!
僕達はガンマをアスラ魔王国に残して、4人で旧ガリア王国の街テキサルにやってきた。そこで5人の男女を助けた。彼らは、レジスタンスとしてイグドラ帝国の抵抗していた。テキーラが旧ガイア王国の第2王女だと分かると、レジスタンス達は地面に膝をついて泣き始めた。
「あなた達には苦労を掛けました。申し訳ありません。」
「何を仰せです。国王陛下も妃さまも王子様達も全員殺されて、苦しいのは姫様の方じゃないですか。」
「私は父上達の仇は必ず取ります。そして、ガリア王国の国民達を必ずや解放します。」
「私達も是非協力させてください。」
「みんな、ありがとう。一緒に帝国に打ち勝ちましょう。ところで、あなた達以外にもメンバーはいるの?」
「はい。このガリア王国内の主要な街の周辺に我々のアジトがあります。各アジトにはそれぞれ50~100名のレジスタンスの同志がいます。」
「この街のアジトはどこにあるの?」
「はい。ここと反対側の森の中です。」
「そうですか。 私達をアジトに案内してくれますか?」
するとリリーが僕に言ってきた。
「なんかテキーラが急にお姫様らしく見えてきたわ。」
「お姫様なんだから、当然だろ!」
「それもそうね。」
すると、ベータが僕達に近づいてきて言ってきた。
「あれが本当のエリザベト様です。私もガンマもエリザベト様に使える近衛騎士でしたので。」
「そうなの?」
「はい。身分や素性を隠すために、言葉遣いから態度を勉強なさったのです。大変だったんですよ。」
「ふ~ん。」
僕達はレジスタンスのリーダーのスミスに連れられて、アジトまで行った。そこには、50名ほどの男女がいた。テキーラが王女だとわかると、全員が片膝をついて挨拶をしてきた。
「みんなには苦労を掛けます。私はこれから帝国に戦いを挑もうと思っています。皆さんの協力が必要です。ですが、みなさん、命を大事にしてください。危険だと思ったらすぐに逃げてください。みんなは私にとって家族です。これ以上、家族を犠牲にしたくありません。」
「ウウッウウッ———」
その場の全員が下を向いた。嗚咽を漏らしながら泣いている者もいる。
「みんなに紹介しましょう。ここにいるシルバーさんとリリーさんは私達の強い味方です。こちらの2人が味方にいる以上、我々が負けることはありません。」
すると、疑問の声が上がった。
「この少女達2人がですか?」
「シルバー殿は男性です! この2人の実力は本物です。私を信じてください。」
すると、スミスが前に出て言った。
「姫様の話は事実だ! 俺達が街の中で兵士達に囲まれて死を覚悟した瞬間、俺達は街の外にいたんだ!」
すると、魔法に詳しい者が言った。
「もしかして、それは伝説の転移魔法じゃないのか?」
ここで嘘を言ってもしょうがない。
「そうだよ。僕が使ったのは転移魔法だよ。」
「あなた方は何者なんですか? 転移魔法は神話に出てくる魔法ですよ。本当に使える人がいるなんてとても信じられません。」
「でも、事実よ。私もベータもガンマも何度も経験しているわ。」
「あの2人は神なのか?」
人街扱いされるのはいつものことだ。
「違うよ。でも、この世界を平和にするように頼まれたんだよね。」
「誰にですか?」
「ナルーシャ様だよ。」
「ええ———————!!! 使徒様だったのですか?」
「それも違うけど、まあいいや。それより、あの街のことを教えてよ。」
すると、スミスが説明を始めた。
「現在、テキサルの街は帝国に占領されていて、住民達は毎日怯えて生活しているのです。街には帝国からゲルマ子爵が派遣されているのですが、こいつがやりたい放題なんです。自分が気に入った女性は性奴隷として屋敷内に住まわせています。」
性奴隷という言葉にリリーが反応した。リリーの身体から闘気が出始める。スミス達の顔が恐怖に染まっていく。
「リリー! 落ち着いて!」
「ごめん。でも、ゲルマ子爵は許せないわ!」
「ところでスミスさん。街に帝国の兵士達はどれくらいいるのかな?」
「そうですね。先ほどの連中を含めて、300人ほどです。」
「住民は何人いるの?」
「女性と子どもを合わせて5000人くらいでしょうか?」
「なら、街で戦闘になると犠牲者が出る可能性があるね。」
「そうね。できれば、街の人がいない場所で戦いたいわね。何か作戦はないの? シルバー!」
ここで僕は考えた。犠牲者を出さずに兵士達を討伐したい。どうすればいいだろうか。すると、テキーラが提案してきた。
「シルバーさん。私が囮になりましょう。ガリア王国の第2王女が郊外にいると情報を流します。しかもレジスタンス全員を引き連れて、街に攻め込む準備をしていると伝えれば兵士達が郊外に出てくると思います。」
「テキーラ! それって、すごく危険よ! 大丈夫なの?」
「私もベータも少しは強くなりましたから。それに、シルバーさんやリリーさんがいてくれるじゃないですか?」
「まあね。なら、その作戦で行こうか。情報は僕が流すね。」
僕はわざとゲルマ子爵の屋敷まで転移した。そして目立つようにゲルマ子爵の前を通り過ぎる。すると、丸々太ったゲルマ子爵が僕に声をかけてきた。
「お前、初めて見る顔だな? 街の娘か?」
「はい。」
「よし、今すぐわしの部屋に来い!」
周りの女性達は僕を哀れんだ目で見ている。何をされるのか想像できているのだろう。僕は言われた通りゲルマ子爵の後について行った。そして、部屋に入るなりゲルマ子爵が僕に襲い掛かってきた。完全に僕を女性と勘違いしているようだ。
「待ってください。情報があるんです。ガリア王国の第2王女がレジスタンスを集めて、街に攻め込もうとしています。」
「それは本当か?」
「はい。私の兄がレジスタンスに参加しているふりをしているのですが、そこからの情報です。間違いありません。」
「そうか。だが、お前の目的はなんだ?」
「はい。兄や私達家族を帝国内でも有能だと噂されているゲルマ子爵様の家臣にしていただきたいのです。」
「わかった。ただし、お前が私の女になるのが条件だ。」
「わかりました。」
「では、わしはこれからレジスタンスの討伐に行ってくる。風呂に入って体を奇麗にしておけよ。」
「はい。」
ゲルマ子爵は、褒められたことがよほど嬉しかったのだろう。鼻歌を歌いながら急ぎ足で部屋から出て言った。
“気持ち悪いな~! 触られたところはお風呂で良く洗わなくっちゃ。”




