ノースホワイトの復興
ノースホワイトの解放を終えた僕達は王城に報告に行くことにした、だが、いきなり王城に行くのでなく、最初にセリウスの屋敷まで転移した。
「セリウスさんいるかな?」
僕達が門番に声をかけると、慌てて屋敷の中に入って行った。そして、セリウスがやって来た。
「早いお戻りですね。ノースホワイトの状況はどうでしたか?」
「イグドラ帝国の軍隊は壊滅させたよ。」司令官たちを討伐したのはこの3人だからね。」
「えっ?! 軍隊を壊滅ですか? 出発してからまだ1日ですよ。」
「好んで人を殺す連中は全員始末したけど、いやいや軍隊に入れられていた人達は生きたまま街から出て行ったからね。」
「さすがですね。」
「でも、司令官を含めて主力部隊を討伐したのはこの3人だからね。」
「そうでしたか。では、3人には特別報酬が出るように手配しましょう。」
テキーラ達は苦笑いしている。
「ところで、セリウスさん。街がひどい有様なんだ。もう帝国も攻めて来ないだろうから、街の人達の復興を手伝ってあげて欲しいんだけど。」
「わかりました。でも、シルバー殿がそのような心配までなさるとは。」
「最初にこの国に来た時、ロッテルの街もフランベルトの街も花が一杯で感動したからね。」
「そうでしたか。なら、ノースホワイトも花でいっぱいにしましょう。」
「そう思ってセリウスさんを訪ねたんだよ。」
セリウスがニコニコしている。
「シルバー殿の期待に応えないといけませんね。明日にでも一緒に城に行ってください。」
「いいよ。」
そして、翌日僕達は王城へと行った。先日とは違って、応接室に通された。部屋にいるのは僕、リリー、テキーラ、ベータ、ガンマ、セリウスの6人だ。そこにウイリアム国王がやって来た。
「シルバー殿。さすがに早いですな。もう、ノースホワイトを奪還されたのですか?」
「まあね。でも、僕とリリーよりもここにいる3人を褒めてあげて欲しいな。司令官達を討伐したのはこの3人だからね。」
「そうでしたか。確か、テキーラ殿にベータ殿、ガンマ殿でしたな。後ほど、報酬をおわたししましょう。」
「ところで、ウイリアムさん。これからのことだけど。」
「これからのことですかな?」
「そうだよ。僕達はノースホワイトの街から帝国の軍隊を一掃しただけだからね。街はぐちゃぐちゃに荒らされたままなんだよ。そこで、セリウスさんに街を復興してもらいたいんだよね。」
「そこまで考えて下さっていたんですか。かたじけない。シルバー殿。」
「別にいいさ。ウイリアムさんは、ロッテルの街やフランベルトの街に行ったことあるの?」
「ありませんが、どうしてですかな?」
「一度行ってみるといいよ。街中が花だらけなんだ。街に入って思ったんだけど、こんなに奇麗な街なら犯罪も起きないだろうなって。」
「それほどですか?」
「セリウスさん一家は街中の人達から愛されてるんだよ。街の人達が、ローレンスさんの病気を苦にして悲しんでいるメアリーさんを元気づけようとしたんだって。」
ここで、暫くウイリアム国王が考えた。そして、真剣な顔で言った。
「この国には宰相がいない。セリウス伯爵よ。どうだろう? この国の宰相を務めてはくれぬか?」
すると、セリウスも真剣な表情になった。
「国王陛下に申し上げます。王命と言えども、この話はお受けすることができません。」
「何故じゃ?」
「はい。私は伯爵にすぎません。この国にはベルク公爵様をはじめ、それ以外にも3名の侯爵様がいらっしゃいます。その方々を差し置いて、私が宰相になどなればこの国内に内乱が起きるやもしれません。」
「なるほど、確かに伯爵が申す通りじゃな。だが、そなたのような者がわしの近くにいてくれれば安心できるのじゃが。」
ここでリリーが言った。
「なら、セリウスさんを侯爵にすればいいんじゃないの?」
「リリー殿。陞爵するには何らかの実績が必要なんですよ。」
今度は僕が提案した。
「セリウスさんがノースホワイトを復興させればいいんじゃないかな?」
ここでウイリアム国王がセリウスに言った。
「シルバー殿の言う通りじゃ。伯爵よ。どうだ? ノースホワイトの復興をやってみないか?」
「畏まりました。このセリウス、身命を賭して王命を遂行いたします。」
「頼んだぞ!」
ここで僕はウイリアム国王にもう一つ提案した。
「ウイリアムさん。 ノースホワイトの復興に魔族が力を貸してもいいよね。」
「な、な、なんと?!」
「魔族には力持ちが多いからね。どうかな?」
「それはありがたい話ですが。そのようなことが可能なのですか?」
すると、リリーが言った。
「シルバーを誰だと思っているの? シルバーはアスラ魔法国の王よ。」
「そうでしたな。シルバー殿は魔王でしたな。わかりました。是非協力してください。」
「私からもお願いします。シルバー殿。是非協力してください。」
この後、僕達は王城を後にした。セリウスは一旦屋敷に戻って、領地から人手をかき集めるように隊長のケージに命じた。テキーラ達もセリウスと行動を共にするようだ。僕とリリーは一旦魔王城に戻ることにした。
「シルバー! 建設大臣のトロルドにやらせるんでしょ?」
「そうだよ。」
「トロルドはともかくとして、他のトロール族達は転移できないわよ。どうするの?」
「ああ、それなら大丈夫だよ。転移門を設置すれば済むからね。」
「おばあちゃんが畑に行けるようにしたのと同じやつね?」
「そうさ。でも、使用者権限は付けるけどね。」
「なら、急ぎましょ!」
「うん。」
オレ達は魔王城の執務室に転移した。当然、アスラ魔王国に戻る時は精悍な男性モードに変えている。オレ達が戻るとすぐにゲーテがやってきた。相変わらず、眷属に僕達を警護させているのだろう。
「お帰りなさいませ。魔王様。」
「ゲーテか? ご苦労。トロルドを呼んでくれるか?」
「はい。既に眷属に命じております。」
「さすがだな。」
「お褒めいただきありがとうございます。」
すると、執務室にメイドが果実水を持ってきてくれた。当然、リリーの分もだ。僕とリリーが応接の椅子に座って待っていると、トロルドがやってきた。
「お呼びですか? 魔王様。」
「忙しいのに悪いな。」
「いいえ。アスラ魔王国内の工事はほぼ終了しておりますので。」
「そうか。実は人族の街が戦争で荒れ果ててしまっているんだ。その街の復興を手伝って欲しいんだ。」
「人族の街をですか?」
「何か問題があるか?」
「いいえ。我々が人族の街に行ってもよいのですか?」
「それは大丈夫だ。国王にもオレとリリーの正体は伝えてある。」
「そうですか? ですが、私以外は転移魔法が使えませんが。」
すると、リリーが答えた。
「それは大丈夫よ。シルバーがこの城とノースホワイトを転移門でつなぐから。」
「なるほど、それでしたら可能ですな。」
「頼めるか?」
「畏まりました。すぐに手配いたしましょう。」
トロルドが執務室から出て行った。




