テキーラ、ベータ、ガンマの武具!
オレはセリウス伯爵の妻ローレンスの手術を行った。そして、その日はローレンスさんの術後の様子も気になるので、領都に1泊することにした。せっかくなので、リリーと一緒にフランベルトの街を散策している。後ろを見ると、相変わらずテキーラ達3人組が僕達についてきている。
「シルバー! あそこの屋台で肉串でも買いましょうよ。」
「いいよ。セリウスさんからもらったお金もあるしね。テキーラ達も肉串食べるでしょ?」
すると、ベータとガンマが走ってきた。
「シルバーさん。いいんですかい?」
「いいよ。みんなで食べた方が美味しいもん。」
「そうですか? なら遠慮なくいただきますぜ!」
僕は肉串を5本買ってそれぞれに1本ずつ渡した。ここでリリーがテキーラに聞いた。
「ねえ! 聞きたいんだけど!」
「何をだ?」
「これからエリザベトって呼んだ方がいいのかな?」
「それはダメだ。私はイグドラ帝国から狙われているからな。すまん。」
「もう一つ聞いていい?」
「ああ。いいぞ!」
「テキーラはどうして女の子に優しくするの?」
すると悲しげな表情になった。
「私の家族は殺された。だが、私と妹だけは生きているんだ。その妹がどこにいるのかわからない。まだ幼かったから、きっと顔も変わっているだろう。」
「もしかして、出会う少女が偶然妹かもしれないって考えているのね。」
「その通りさ。どこでどうしているかわからないからな。」
「手がかりはないの?」
「妹は左手の手首に星のようなあざがあるんだ。」
「それだけ? どこにいるとか誰といるとか、他に情報はないの?」
「ああ。」
そして、僕達は武器屋の前で立ち止まった。3人の武具はあまりにも貧弱だ。何とかしてあげたい。
「テキーラ達は敵討ちをしたいんでしょ?」
「ああ、そうだ! 必ずやこの手でな!」
「その割に装備が貧弱じゃないかな~?」
「うるさい! お金がないんだよ!」
「なら、ここで買ったらいいよ。僕が選んであげるよ。」
「本当か?」
「シルバーさん! 買ってくれるんですか?」
「俺の武器もいいんですか?」
「セリウスさんからお礼をたくさんもらったからね。」
僕はそれぞれに武器を選んだ。テキーラは女性なので細剣、ベータは男だが力がないので普通の長剣、ガンマはかなり力があるので大剣だ。すべてミスリル製の剣だ。
「本当にこんな高価な剣をもらっていいのか?」
「いいよ。」
それから店を出て、一旦町の外に出た。
「シルバー! どこに行くんだ?」
相変わらず僕はリリーと手を繋いでいる。そして3人に言った。
「誰もいないところで試してみた方がいいでしょ?」
「それもそうだな。」
郊外の草原地帯まで来たところで、僕は3人から剣を預かった。
「ちょっと剣を貸して! それから3人の得意な属性を教えてくれる?」
「どうしてだ?」
「この剣にちょっと細工をしたいからね。」
「わかった。私は炎だ。」
「俺は風です。」
「俺は土だ。」
僕は3人の剣にそれぞれ魔法伝導がよくなるように精霊魔法を付与した。
「はい。これ! 3人とも、自分で得意な属性を思いえがいて剣を振ってみて!」
最初にテキーラが剣を振った。すると、剣から凄まじいほどの炎が溢れ出る。そして、剣を振った先の草原が焦土と化した。
「す、凄い!」
「姉後流石です!」
「次は俺がやってみます。」
今度はベータが剣を振った。その先には大きな岩石があった。
「シュッ」
空気を切り裂くような音が聞こえたと思ったら、目の前の岩石が2つに切れた。剣を振ったベータ本人が腰を抜かしている。
「信じられない! なんなんだ! この剣は!」
最後にガンマが剣を地面に突き刺した。すると、地面が大きく揺れ、次々と鋭い突起が現れた。
「これなら地竜でも倒せそうだぜ!」
「どうかな? 気に入ってくれたかな?」
今まで僕が使徒だと言われても、態度をあまり変えなかったテキーラが僕に片膝をついて挨拶をしてきた。
「シルバー、いや、シルバー様! 私達はあなた様のために忠誠をつくします。何なりとご命令を申し付けください。」
「やめてよ。テキーラ。今まで通りでいいよ。みんなも知ってる通り、僕はこの世界を平和にしたいだけなんだ。それに協力してくれる人達は、人族でも、獣人族でも、エルフ族でも、ドワーフ族でも、そしてたとえ魔族であったとしても、みんな同志なんだよ。」
「わかりました。私達も、シルバー様とリリー殿の同志としてお役に立てるように努力します。」
「ありがとう。」
そして、その日はみんなで森の中に狩りに行った。僕とリリーはなるべく手を出さないようにしている。出くわした魔獣はホーンラビットやレッドボアだった。まだまだ、経験が足りないせいか手こずっていたが、彼らだけで何とか討伐できた。
そして翌日、僕達が出かけようとすると、セリウス辺境伯のところの兵士達が宿屋の前まで迎えに来ていた。
「シルバー様。伯爵様が屋敷でお待ちです。是非ご同行ください。」
「いいよ。リリーもみんなもいいよね。」
「いいわよ。」
「はい。」




