オークに襲われていた少女を助ける!
僕とリリーはイグドラ帝国に行く途中で、ネーデル王国のロッテルという街に立ち寄った。そこで、テキーラ、ベータ、ガンマという3人の冒険者と知り合った。ギルドから紹介された宿屋に向かう途中で話を聞いてみると、どうやら3人には何か事情がありそうだった。
「僕達ここに泊まるから。またね。」
すると、テキーラ達も宿に入って来た。
「どうしたの? まだ、何か用?」
「私達もこの宿に泊まってるんだよ。」
「ああ、そうなんだ。」
僕達が店の中を見渡していると、10歳ぐらいの女の子が声をかけてきた。
「テキーラのお姉ちゃん。お帰りなさい。ベータさんもガンマさんもお帰りなさい。冷えたエールを用意してあるよ。」
「ありがとうな。ミズキちゃん」
「こっちの2人は?」
「僕はシルバー。今日泊まりたいんだけど。」
「私はリリーよ。シルバーと同じ部屋でいいからね。」
「わかりました。今計算するから待っててね。」
僕とリリーはお金を払って部屋に行った。お腹が空いていたので、すぐに1階の食堂に降りて行った。メニューはテーブルの上に置いてある。肉料理も野菜料理もあった。今日の気分は肉料理だ。そこで、僕とリリーは肉料理とパン、それにサラダとスープを頼んだ。
「この宿の自慢のスープだよ!」
ミズキが運んできたスープを一口食べた。驚くほど美味しい。野菜の形がなくなるまで煮込んである。さらに、香草が入っているようで香りがいい。スプーンに乗った白いものを食べてみると卵だ。このスープが黄色いのは卵黄の色なのだ。
「シルバー! すごく美味しいね。」
「うん。このスープ最高だよ。」
それから、サラダが運ばれて来た。たっぷりとドレッシングが掛けられ、上に白い粉のようなものがかかっていた。
「これって、あのチーズじゃない?」
「そうだね。昔食べたバターとチーズが懐かしいね。」
「うん。」
ドレッシングも、獣人族の少女キャロットが大好きだったニンジンをふんだんに使用している。最後はパンとステーキだ。ステーキはどうやらレッドボアの肉のようだ。本来、ボアの肉は硬いはずだが、溶けるように柔らかい。
「美味しいわね~!」
「うん。」
「ミズキちゃん。同じものを後2人前くれる?」
「わかった~。」
ミズキが厨房に入って行く。すると、女将さんらしき女性が出てきた。
「お客さん。ごめんよ。お肉がそんなにないんだよ。お肉以外ならおかわりできるけどね。」
「なら、お肉以外をお願い!」
「はいよ!」
僕とリリーはお肉以外をおかわりして食べた。すると、テキーラが声をかけてきた。
「どう? 美味しいでしょ? こんなに美味しい料理は、この国の王都や帝国に行っても食べられないわよ。」
「そうだね。僕の食べた料理でも3本の中に入るかな。」
「そうかそうか。 お前、男の割にはいいやつだな。気に入った。私の仲間にしてやるよ。」
「いいえ。結構ですから。」
「なんだい! せっかく私が仲間にしてやるって言ってるのに。」
「確かにテキーラさんは美人だけど、リリーの方が可愛いからね。」
リリーが真っ赤になって喜んでいる。
「そうかいそうかい。お熱いようでけっこうだね。」
テキーラは自分の席に戻って行った。
「シルバー! 今日、お風呂で背中流してあげましょうか?」
「いいよ。一人でゆっくり入らせてよ。」
僕達は部屋に戻ってゆっくり休んだ。そして、早朝、僕達が次の街に向けて出発しようとすると、外にはテキーラ達がいた。
「どうしたの?」
「お前達が心配だからついて行ってやるよ。」
「別について来なくていいわよ。」
リリーが断るとベータが怒り始めた。
「お前、お嬢、いや、姉御がついて行くって言ってるんだから、もっと感謝しろ!」
「パコッ」
「痛ぇ」
なんか、怪しい言葉を聞いた気がする。『お嬢』ってなんだろう?
「行こうか? リリー!」
「うん。」
僕達は次の街に向かって歩き始めた。3人組は後ろをついてくる。僕達は無視して進むことにした。この国は、冒険者が少ないのか結構魔物がいる。ロッテルの街を出て、30分しか歩いていないのに、すでにホーンラビットとレッドボアと遭遇した。その度、僕とリリーが討伐して魔法袋に入れている。
「シルバー! あの3人、まだついてくるわよ。どこまでついてくるつもりなのかしらね。」
「多分、帝国まで一緒に来るつもりだと思うよ。」
「何か事情がありそうよね。」
「そのうち聞いてみるよ。」
歩き始めて3時間ほどしたところで、山沿いに差し掛かった。
「ギャー」
「助けて—!」
誰かの悲鳴が聞こえる。僕達は悲鳴のする場所に向かった。すると、オーク5匹が少女を襲おうとしている。その近くにはオーク1匹と兵士らしき男達が3人倒れていた。男達は必死に起き上がろうとしている。恐らく少女を守るつもりなんだろう。
「リリー! 助けるよ。」
「うん。」
僕達は剣を抜いてオークに切りかかった。特に魔法は使わない。それでも、あっという間に5体のオークを倒してしまった。
「大丈夫かい?」
「はい。でも、この人達が・・・」
テキーラたちが倒れている兵士達の様子を見ていた。僕がテキーラたちの方を見ると、首を横に振っている。どうやら、助けるのが難しいと判断したようだ。だが、まだ彼らは生きている。ならばと思って、僕は彼らに治癒魔法をかけた。
『リカバリー』
すると、兵士達の身体が光始め、傷口がどんどん塞がっていく。白くなっていた顔色にも色が戻り始めた。
「おい! シルバー! お前、今何をしたんだ?」
テキーラが驚いて聞いてきた。
「治癒魔法をかけただけだよ。」
「本当にお前は何者なんだ? こんな怪我を治せる治癒魔法なんか聖教国の聖女さんだって使えないぞ!」
ベータもガンマも隣で驚いてみていた。
「き、奇跡だ!」
すると、兵士の一人が体を起こして言ってきた。
「お嬢様を助けていただいたばかりか、我々の命まで助けていただいて感謝する。ありがとう。」
「別にいいよ。傷は治ったけど失った血は元に戻らないから、少し休んだ方がいいね。丁度ここには討伐したオークもあるしね。




