僕の名前はシルバー!
素人作品ですが、大勢の方に楽しんでいただきたいです。毎朝8時に更新する予定です。感想などいただけると、今後の参考になるのでありがたいです。
“あれ?! ここはどこだろう?”
「おばあちゃん! 気が付いたよ~!」
「そうかい! そうかい!」
気付くと僕はベッドに寝ていた。僕を覗き込むように少女が僕を見ている。目がクリクリっとして可愛い子だ。7歳ぐらいだろうか。声のする方を見ると、他の部屋からいそいそと60代ぐらいの女性がやって来た。
「気が付いたようだね! 何か食べるかい?」
「ここどこ?」
「ここはわしのうちじゃよ。お主が森の中で倒れていたのをこの子が見つけてな~。わしがここまで運んで来たんじゃ。重かったんじゃぞ!」
「ありがとう。」
「別にいいんじゃよ。それより、どうしてあんなところに倒れてたんだい?」
「・・・・・」
思い出そうとするが何も思い出せない。
「よいよい。わしはローズじゃ。こっちは孫娘のリリーじゃ。お主の名前は何じゃ?」
名前を聞かれて思い出そうとしたが、やはり何も覚えていない。自分の名前も年齢さえも思い出せない。
「わからない。」
何もかもわからない。そうなると、不安でいっぱいになる。頭が混乱していた僕は自分のことなのに、おばあさんに聞いた。
「僕、何もわからない。僕は誰なの?」
「そう言われてもな~。わしにもわからんよ。お前さんは何も覚えてないのかい?」
すると、ベッドの近くにいた少女が聞いてきた。
「なら、年もわからないんだ~?」
「うん。」
「私より歳上っぽいよね。」
「いいや、同じぐらいじゃろうて。リリーが少し子どもっぽいんじゃよ。」
「酷いよ。おばあちゃん。」
「いいじゃないか。若く見られた方が。リリーは見た目は子どもっぽいが、そんじょそこらの子ども達よりしっかりしておるしな。とても7歳には見えんぞ。」
「えへへ」
リリーが褒められてはにかんでいる。可愛い子だ。
「これからどうしよう?」
「どうにもこうにも、ここにおるしかないじゃろう。お主は記憶がないんじゃから。帰る家もわからんじゃろうて。」
「いいの?」
「なにも遠慮することはないさ。どうせ、わしとリリーの2人で暮らしておるんじゃ。1人増えても大して変わらんよ。」
「ありがとう。」
するとリリーが微笑みながら言った。
「なら、名前がないと困るよね。私が名前を付けてあげる!」
リリーが考え込んだと思ったら、いきなり笑顔になって言った。
「決めたわ! 髪の毛が銀色だから『シルバー』なんてどう?」
僕は自分の容姿すらわからない。でも、リリーの言葉で自分の髪が銀色だと分かった。おばあさんは白色でリリーは青色の髪をしている。
「ありがとう。なら、僕は今日から『シルバー』だね。」
「あっ! シルバーが笑った~!」
「良かったね! リリー! 遊び友達ができて!」
「うん!」
そして、その日から僕はシルバーとしてローズおばあちゃんとリリーと3人で暮らすことになった。朝起きたら畑に行って野菜の収穫だ。そして朝食を食べた後、収穫した野菜を荷車に積んでリリーと一緒に村に売りに行く。それが僕の日課となった。
「おはよー! シルバー君! リリーちゃん!」
「おはようございます! マーサさん。」
「いつも新鮮な野菜を運んできてくれるから助かるよ!」
マーサさんは夫のダンテさんと夫婦2人で食堂を営んでいる。
「おお! シルバー! リリー! おはようさん! 2人はいつも仲がいいな!」
「うん。」
僕とリリーはいつも手をつないでいる。傍から見ると兄妹のように見えるだろう。僕達がいつものように野菜を荷車から降ろして帰ろうとすると、道端で話をする人達の話し声が聞こえてきた。
「ヤダね~! なんか、また魔獣が出たらしいよ。」
「どこにさ?」
「ほら、村の裏のとんがり山らしいよ。昨日、ボブが薬草を取りに行ったら魔獣がいて、慌てて逃げ帰って来たんだってさ。」
「なら、街のギルドに討伐依頼を出さないといけないじゃないか。」
「なんか、村長のケリーさんがすでに手配したんだって。」
「魔獣ね~! 村まで降りてこなけりゃいいんだけどね。」
何も知らない僕はリリーに聞いた。
「リリー! 今の話聞いたでしょ? 魔獣ってなんなの?」
「怖い奴よ! すごく危険なの! 帰ったらおばあちゃんに知らせないと!」
「なら、急いで帰ろう!」
僕とリリーは家まで走った。だが、荷車を引っ張りながら走るのはさすがにきつい。
「ハーハー」
「シルバー! 大丈夫?」
「うん。」
「もう少しだから!」
家に着くと、ローズおばあちゃんは外で洗濯物を干していた。
「そんなに慌ててどうしたんだい? お腹でも空いたのかい? 」
「違うの! とんがり山に魔獣が出たんだって!」
「それは、本当かい?」
「うん。街の人達が言ってた! なんかギルドに討伐を頼んだんだって!」
「そうかい。でも、ギルドから討伐隊が来るには時間がかかるじゃろうな~。」
「村長のケリーさんが急いでくれってお願いしたらしいよ。」
「そうかい。だが、リリーもシルバーもしばらくは山に行くのは禁止だよ! いいね!」
「うん。」
僕達は朝食を食べた後、家の中で遊ぶことにした。ローズおばあちゃんは何か用事が出来たと言って出かけてしまった。残った僕達は家の中で遊んでいる。
「シルバー! 私ね。魔法が使えるようになったんだよ。」
「魔法?」
「そうよ。凄いでしょ? 見てて!」
リリーが手のひらを上に向けて何かモゴモゴ言っていた。すると、手のひらに『ボッ』と火が出てすぐに消える。
「どう? 凄いでしょ?」
「熱くないの?」
「魔法の火だから熱くないよ。」
「リリーは凄いんだね。いろんなこと知ってるし、いろんなことができるよね。」
僕が褒めると、リリーは上機嫌になった。
「やっぱり、私がお姉ちゃんのほうがいいわね! これから、私がお姉ちゃんよ!」
リリーが自慢げにふんぞり返っている。でも、どうやって魔法を使ったんだろう。
「ねえ、リリー! 魔法の使い方を教えてくれる?」
「いいわよ。でも、魔力がないと使えないんだよな~!」
「じゃあ、僕には使えないかも~。」
僕が悲しそうな表情を浮かべると、すぐにリリーがフォローしてきた。
「やって見なくちゃわからないじゃない。」
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