表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
探検の書 [祝780,000PV突破!]  作者: 火取閃光
第6章 一期一会の魔法学園
386/391

6-50 学園長とラビリス公爵家の繋がり

 バルダーレス学園長との初顔合わせから翌日、再び学園長の元へ向かい昨夜の内に予定を調整した内容を伝えた。


「……と言う訳なので先日の取引の件、是非お受けしたいと思います」


「ホッホッホ。早急な対応ありがとのぉ」


 お互いに強く握手を交わす。昨日見た時よりもバルダーレス学園長の覇気が増した様に感じられる。


「バルダーレス学園長もそうですが、俺達が護衛しているエリザベート様も同じく忙しい身なので決め事の相談は即時対応する様にしているんですよ」


「良い心掛けじゃ」


「それではいつ位から探索に行きますか?」


「ふむ……。例年ならこの時期は他国を含む重鎮達との話し合いとかで忙しいのじゃが、例の事件でそれどころじゃ無くなってのぉ。予定のほとんどが中止したんじゃ。


 本来なら他国の貴人を預かる学園として批判される覚悟じゃったが、フィデリオ君経由で冒険者ギルドから歳星教団が裏に居る事が分かり他国もそれどころじゃ無いんじゃわい」


「実家のある迷宮王国や教会側も似た様な感じで相当焦っていると聞いています。なんでも、王族の側近である近衛兵や教会内部に教団の手下や洗脳を受けた者がいるとか……」


「ほぅ……。なるほど、そう言う事情じゃったか……」


 バルダーレスはフィデリオからの情報を聞いて今の情勢を理解した。彼は貴族の当主で日々情報収集をしているとは言え他国や教会の内情までは流石に調べ切れなかった。


 普通ならそんな事は無いのだがそれだけどの国や組織でも情報が錯綜していてその真偽が分からない状況だった。


 ましてや他国の王侯貴族共なれば自国にすら敵が多いのに明け透けに暴露するなんて以ての外だ。そんな事は貴人のプライドを大きく傷付ける行為だから見栄を張って悪循環になっていた。


「師匠の1人に教会の事情を詳しく知る人がいまして……。その人が言うには多くの洗脳者は迷宮王国だけではないと言っていたので」


「つまり、文句を言う暇も無いと言う訳じゃな」


「恐らくそう言う事です」


「あい、分かった。それなら初探索は2週間後でどうじゃ?」


「後でエリザベート様に確認は取りますが多分大丈夫です」


「それは良かったのぉ。なら、この後時間はあるかのぉ?」


「勿論です。今日は選択授業なので欠席しても特に問題はありません」


 教育者の前でぶっちゃけるフィデリオに対してバルダーレス学園長は何とも言えない困った顔で苦笑した。


「こうも目の前で言われては教育者としては咎めるべきなのじゃが……まぁ、今更じゃろ」


「えぇ、単位よりも探索の方が優先度が高いです。それに、所詮僕が入学したのはエリザベート様の護衛の為。国からの勧誘や卒業出来なくて構いませんしね」


 こうして俺達2人は今後の予定を詰めていく。この前の魔法学で起きた俺の悪行に関する噂話はまだ燃えている。


 起きてしまった以上、俺個人は特別気にする事でも無いが噂の鎮静を図るために今は人目に触れる学園には行かない方が良いと判断した。


「(まぁ、今までの経験上どちらにせよ噂話は悪化するだろうな……。それなら有益な方を選択するまでだ……)」


「探索の予定はこれくらいにして……フィデリオ君、この後も時間はあるかのぉ?」


「? 勿論ですが、何かあるんですか?」


「今日は特に予定がなくてのぉ。折角じゃからワシの家に来て顔合わせなんかどうじゃ?」


「!? 良いですね! それなら、エリザベート様も連れて来て良いですか? 丁度、護衛役に俺の仲間達が居るので二度手間を省けると思います」


 バルダーレス学園長のお誘いは渡りに船だった。お互いのパーティーメンバーの顔合わせも出来て丁度良かったからだ。


「勿論じゃ。それでは、表向きはワシがエリザベート殿を招待したと言う体で話を進めると良い。理由は、そうじゃな……御母君についての近況という事にしよう」


「エリザベス様とお知り合いなんですか?」


「いや、第二婦人のエリザベス殿ではなく第一婦人のメアリー殿の方じゃ。彼女はワシの一族アバースト侯爵家の親戚筋でな……。


 特別仲が良い訳ではないが確か実子のアン嬢がこの前の件で休学したと言う報告を受けてな……。その詫びも込めて挨拶しようかのぉ」


 バルダーレスの母の姉妹がメアリーの祖母になるらしい。彼自身もメアリーとは過去に数回会った事がある程度で特別仲の良い親戚付き合いをしてはいなかった。


「なるほど……。そう言う繋がりだったのですね」


「貴族というのは外聞が一々面倒じゃ。こう言う家への招待も何の理由が無ければ王族の婚約者を呼ぶ事は憚れるからのぉ。この方がお互いに楽じゃから聞かれたらそう答えなさい」


「……お気遣い感謝します」


「うむ。では、行ってくると良い。ワシも馬車の準備などをしておくから馬車小屋へ集合じゃ」


 俺はハニカミ手を振る学園長へ深く頭を下げてから彼の私室を出る。目的地はエリザベートの居る貴族棟1-1クラス。今の時間は昼前。丁度午前の講義が終わった頃だろう。


 ほとんどの貴族が午後から講義を受ける事が多いのに対して、エリザベートは主にアメリア達と関わらない為に午前中に受けている。


 今日も選択科目を午前中に受けると護衛であるギルとファーラから話を聞いていた。だから、護衛である2人と会う様にルートを逆算して向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ