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探検の書 [祝780,000PV突破!]  作者: 火取閃光
間章 修業と交流(本編にそこまで関係なし)
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幼少期の修業・魔法編 1-4

「お義父さん、お待たせしました。リオも待たせたな。」


「そんな事はないよ。ねぇ?リオ君。」


「そうだよ!父ちゃん。全然待っていないよ!」


「ハッハッハ。なら良かったぜ。それで、お義父さん俺は何をすれば良いんですか?」


 父は俺にいつもの言葉遣いで笑い、祖父には真面目な表情で自身の役割について聞いた。


「はははっ。アモン君、君の出番はまだ先さ。そう焦らないで良いよ。さて、リオ君。最初の授業を始めようか。準備は良いかい?」


「勿論だよ!それで、今日は何するの?」


「そうだねー。リオ君は実際に魔法が使われている所は見たことがあるかい?」


「んーっ?記憶にある限り母ちゃんが水の最下級魔法で洗い物している時だけかなぁ。」


 俺が祖父の質問で思い出したのは父方の祖父母に初めて預けられる時に母が洗い物を水の最下級魔法で行っていた事だった。


「はははっ。私もその方法はよくやるよ。うん、それじゃ、しっかりとした魔法を見てみようか。少し離れていなさい。"我願う。水よ、水球となり我が右手から、放たれよ!ウォーターボール"」


 祖父は俺から1〜2m離れて、俺の正面から横向きになった。その場で右手を前に突き出し手の平を立てると誰もいない空間に"水属性魔法ウォーターボール"を放った。


 ウォーターボールは手の平から10cmも無い位置の空間に小さな水滴が出来るとそれがバスケットボール並みに徐々に大きくなった。


「うぉーっ!スッゲー。右手の平の前に水で出来た球体が浮かんでいるーっ!?しかもでけーっ!あっ!前に飛んで行った!」


 俺は人生初のしっかりと詠唱をした夢にまで見た魔法に大声を上げて笑顔になり興奮が止まらなかった。


「(ヒゥーッ。ドガンッ!)」


 祖父の魔語で放たれたウォーターボールはおよそ50m位まで手の平から直進し徐々に勢いを衰えさせて大きな音を立てて地面と衝突した。


「うわっと!?」


 俺は着弾点から割と遠いのに地面が僅かに揺れてバランスが崩れ無かったがここまで感じる揺れにとても驚いた。


(はあっ!?今のは水が地面に当たる音じゃねぇだろ!如何なったんだ、一体!?)


 ウォーターボールの速度はとても速く、正確な速さは分からないが球速130kmは超えていた。地面に衝突すると遠目から見ても分かるくらい砂埃を撒き散らかし地面が凹んでいる様に見えた。


「リオ君、こっちに来なさい。ウォーターボールの着地点を確認しに行くよ。」


「あ、うん。分かった。今行くよ。」


 俺は祖父が声をかけた時には魔法を見れた興奮もあったがそれ以上にあまりの威力に驚愕し逆に冷静になった。


「これが水属性魔法のウォーターボールの威力だね。まぁ、私の本来の威力では無いが、一般的に放たれるのは大体こんなものだと思うよ。」


「うわぁ…。水の威力じゃ無いよ…。これ…。直撃したら普通に死ぬよ。」


 俺は改めて見るが本当に水が地面に衝突する威力では無いと思った。地面はウォーターボールの2回りくらいの広さの底が10cm位凹んだ穴が出来ていた。


「そうだな、リオ。しかも俺や母ちゃん、お義父さんの様な冒険者になると技能や強度が上がり、それに伴って魔法の威力も上がるんだ。」


「ヘェ〜、そうなんだぁ。アレ?そういえば、父ちゃんもアラン爺ちゃんもキース爺ちゃんもどうやって手加減して生活しているの?いつも気を遣ってって大変じゃ無いの?」


(いや、本当に今更ではあるが、強度によって筋力が上がり続けるのであれば一般人と冒険者では隔絶した力量差が生まれて居るはずだ。父や祖父が軽く叩いたとしても一般人には即死級の攻撃になる筈がそんな事にはなっていない。力のコントロール?一般人がアラン爺ちゃんと人混みで肩がぶつかった日には肉体が弾け飛ぶ未来しか見えねぇけど。何で?)



「うんっ?そう言えば、言ったなかったっけか?リオ、これが何か分かるか?」


 父はそう言うと左腕を上げていつも左腕に付けている銀色の腕輪とそこに付いている2つの暗緑色の石を見せた。


「えっと、多分宝石っぽいのをついた腕輪。いつも母ちゃんと同じのを付けているから、話に聞く結婚指輪、じゃ無くて結婚腕輪?」


「残念。違うんだなぁ、これが。結婚指輪はこれさ。んでこれは封印石って呼ばれる鉱石さ。」


 父は結婚指輪を金属製の鎖をネックレスの様に首に掛けていた為に右手でそれを掴み見せてくれた。結婚指輪はシンプルに銀色で宝石なしの指輪だった。


「封印石?何なの、それは?」


「うん、じゃあ逆に何だと思う?リオ君。」


 俺の疑問に祖父が疑問で返す。


「うーんっ。話の流れ的に腕輪を付けた人のステータスの力量を抑える石かなぁ、多分。」


「正解だよ。この封印石はDランク鉱土の門で取れる鉱石の一種さ。この石は宝石の様な鑑賞性は無く、武防具に使えるほどの強度も無いけどね。無属性契約魔法を付与した魔道具にして装備すると力量を自由に制限できるのさ。」


「自由に制限って、具体的にはどうするの?」


「まずはこの魔道具を自分専用にする為に契約魔法を使ってステータスに干渉するのさ。その辺はギルド職員が手配してくれるから任せなさい。それで、ステータスから強度を操作して任意の力量まで弱体化させるのさ。」


 祖父は右人差し指のみを立てて解説する。


「そうなんだぁ。でも封印石って高いんじゃ無いの?何処で手に入れれば良いの?」


「こいつは、戦闘系ギルドの正式会員になるとギルドカードと一緒に貰える様になるのさ。一応、冒険者ギルドには見習い制度ってのがあるんだが、こいつは準会員扱いだから貰えないのさ。見習い制度についてはまた今度教えてやるから、今は覚えておくだけで良いさ。」


 父が今度の疑問に答えてくれて、俺のこと頭を軽く撫でた。


「まあ、今度教えてくれるんなら今はそれで良いや。でも父ちゃんとキース爺ちゃんって封印石が腕輪に2つ付いていて、色もそれぞれ違うけど封印石って色々な色があるんだね。」


 祖父の封印石の色は鬱金(ウコン)色って言うのか兎に角真っ黄色な色をしていた。腕輪は金属製の物だが、微妙に父の方が年季を感じる。


「そうだな。その辺もまた今度教えてやるからな。今はお義父さんの話をしっかり聞いておけよ。」


 父はまだ知るとかでは無いとはぐらかす様に再度俺の頭を撫でてあしらった。

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