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探検の書 [祝780,000PV突破!]  作者: 火取閃光
第5章 魔法公国
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5-41 異世界転生者の運命

本日二連続

体調は変わらず不調続き…

「えっ?」


「はっ?」


「別の……?」


「世界……?」


「あぁ……俺は知らなかったけど、エリーさんが言うには俺のいた世界に、この世界と非常に良く似た世界観の物語があるらしいんだ……。


 俺やエリーさんは、その物語に出てくる人物に転生したらしく、その人物の運命を背負っている存在なんだ……」


「……」


 あまりの事実に彼等は、ポカンと間抜け面を晒すと直ぐに困った様な、それでいて疑う様な視線を俺に向けた。


「疑わしい話だけど、俺達からしたら事実なんだ。それに、俺は更に特殊で、転生する直前、この世界の邪神らしき存在に目を付けられた……」


「神様に、目を付けられた……?」


「それが……どう言う……?」


 ルカ達は、目の前のフィデリオから発せられる不穏なワードを聞き、まるで冷や水でも浴びせられた気分だった。


「俺はエリーさんと違って、前の世界の記憶があやふやだ。転生直前に、邪神によって記憶やら魂の半分やらを奪われている……」


「それって、大丈夫、なんっすか……!?」


「いや、分からない……。元々、[フィデリオ]って存在は、俺の来世だったらしく、来世の魂と前世の半分の魂が融合。そして、出来たチグハグな(そんざい)(フィデリオ)なんだ……」


「そん、な……」


 理解が追いつかない。


 ルカ達が想像していた範疇を超えている。


「だから、俺は純粋な生物(ヒト)ですら無いのかも知れない存在なんだ……」


「リオ……」


 ファーラ達は、存在そのものが儚く、簡単に壊れそうな雰囲気のフィデリオを見て、胸が苦しくなった。


 目の前の彼が語る内容は、自分達を騙す為に作られた一時的な嘘だとは思えなかった。それは、彼が自分達に見せた事がない素の表情だったからだ。


 そして、同時に彼が抱える心の闇が、これ程深く根付いているモノだとは予想外だった。


「そしてな……俺達が、特殊な運命を背負っていると言ったよな?」


「そ、そうっすね……それが……?」


「あぁ、エリーさんは、俺と出会うまでその運命から逃れられなかったそうだ。運命を変えようとするほど、大切な人達が死んでいったらしいよ……。


 だから、あの時……俺が公爵家で、殺されそうになったあの時、エリーさんは是が非でも俺を従者に、側に置きたかったそうだ。それが、彼女が背負わされた運命だから……」


「そうっすか……」


 ルカはその時、エリザベートへの自身の態度に、少しだけ罪悪感に苛まれ俯いた。


「難しい話だけど、まだ続くんだ……。俺と彼女とでは、少し経緯が違ってな……。今は違うが、前までの彼女の運命は、逃れられず強制されていた。


 俺は最初の段階で、運良く強制される運命の呪縛から逃れる事が出来たんだ。だけど、少し前までは、俺には物語の人物の運命は無いものだと勝手な思い勘違いしていた……」


「勘違い……?」


「あぁ、そうだ。俺は確かに、エリーさんと違い運命の呪縛から逃れた。だけどな、運命自体は転生した時点で背負わされていたんだ。


 その違和感を感じたのは、俺が彼女の従者を志願した時で、確信に変わったのは、ライザルさんが死んだ後だ……」


 俺は祝福を受け、前世の記憶を思い出したあの時、エリーとは違い[転生者特典]なるモノを破棄した。


 その結果、彼女の言う原作の大筋から外れた行動をしても、彼女とは違いその修正力と思われる呪縛から逃れる事が出来た。


 ただし、それはあくまでも逃れる事が出来ると言う事。つまりは、呪縛を受けていた彼女が一択なら、俺は二択になっただけだ。その為、運命自体を回避した訳ではないのだ。


「……」


「俺はな、ルカにおかしいと指摘されるまで、その違和感に気が付かなかった……。最初は、異世界転生の裏事情を言えなかったから、お前等にそう思われたと思っていた……。


 だけどな、よく考えれば、別に俺が彼女の従者になる必要は無い。学園へ正規手段で入学して、学友や取り巻き、手下でも何でも良いから、公爵令嬢に気に入られた平民として彼女を守れば良い話だ……」


 今考えても、何故そう言う選択肢が頭の中に無く、従者一択だったのか不思議でしょうがない。


「た、確かに……」


「だけど、俺や公爵、エリーさんやお前等も最終的に、俺が従者になる事を納得した。結果的に、エリーさんと俺の運命通りになった訳だ……」


「「「「っ!?」」」」


 エリーが語る原作とは経緯こそ違えど、魔法公国に来る前の俺は、順調に原作キャラと同じ運命を辿っていた。


 その事にルカ達は、まるでお化けでも見た様な恐怖に満ちた表情を浮かべていた。


「ライザルさんが死んだ後、俺もこの事に気が付いた……。そして、考えた末にある可能性に気がついてしまった……」


「可能性……?」


「俺には、"兄が死ぬ,,と言う運命がある。それは、フィデリオと言う人物には死んだ兄、フェルディと言う血縁が死に、それによって両親に溺愛されたと言う、物語の設定的な人物背景がある……。


 確かに、俺の今世の兄、フェルディは俺が転生する前に流行病で死んだ。だけど、今の俺は来世と前世が融合した存在。"兄に値する人物が死ぬ,,と言う運命が中途半端に重複していても、何ら不思議では無い存在だ。


 今の俺にとって、先にも後にも兄に値する人物は、ライザルさん唯一人だけだ。そして、思ったよ。俺の運命がライザルさんを殺したんじゃ無いのか、と……」


「そんな事っ……!!」


 ただの偶然だと仲間達の否定の感情が伝わる。


「あぁ、分かっている……。そうじゃ無いかも知れない……。でも、その可能性"も,,あるんだ……。ハハッ、これぞ正しく、神のみぞ知るってヤツだな……」


「リオ……」


「これ以外にも、歳星教団との関係やらがあるけど、それはお前達も知ってんだろ? アイツ等は、俺が目を付けられている邪神の手先だ。


 そして、その下部組織は、世界各地に存在している事が判明した。この前、その下部組織の犯罪者共を虐殺した後、組織長を拷問して聞き出したから確かな筈だ……。


 これが俺が隠していた大体の事だ。こんな事、簡単に言えると思うか? 無理だろ、絶対に……」

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