3-65 ファーラの方針
「さてと、それじゃ、一旦各一団に分かれて話しを詰めていくにゃ。お互いに何が出来て、どう言う戦闘方法を身に付けたいのか話を詰めて行くにゃ」
ラートはそう言うと、ギルズとチェルシー、リックと共に話し合った。俺とルカもリファーラの元に椅子を持っていき、話し合った。
「改めて、リオだ。ルカ、ファーラ、今後ともよろしくな」
「ルカっす。僕は事前にリオに伝えたっすから、ファーラが言うっすよ」
「ああ、分かったわ。私の戦い方は、主に複数の短剣や石を投擲して遠距離から相手を攻撃する感じだわ。一応、これが私のステータスだわ。確認して頂戴。"ステータス表示"」
[名前] リファーラ
[年齢]22歳
[種族]人間種 パーソン族
[強度]7/100(42/70)
[力量] 生力1110魔力454筋力444速力666知力10器力88
[職業]
「・戦士 18/20(259/360)」
「・武器使い(投擲) 18/20(220/360)」
「・武器使い(体) 1/20(7/20)」
「・武器使い(短剣) 1/20(12/20)」
[技能]
・筋力向上Ⅱ 4/10(164/180)
・投擲術(球)Ⅱ 5/10(135/200)
・投擲術(刃)Ⅱ5/10(156/200)
・体術Ⅰ 1/10(7/10)
・短剣術Ⅰ 2/10(12/20)
・両利き手Ⅱ 8/10(150/260)
・逃走Ⅰ 5/10(23/50)
・気配察知Ⅰ 1/10(4/10)
・気配隠蔽Ⅰ 1/10(4/10)
・暑さ耐性Ⅰ 8/10(56/80)
・寒さ耐性Ⅰ 8/10(56/80)
[称号]
イシュリナの祝福を受けし者
Iランク冒険者
[番号]
9,580,627,258,442,539-1
「(ルカの時も思ったけど、思ったよりも悪く無い……。知力や器力が、低いのは魔力系技能や非戦闘系技能が無いからであって、それは追々覚えていけば良い……。
投擲を駆使した攻撃方法を身に付けているから、課題が見え易い……)」
「なるほど……良いステータスだと思う。それで、体術と短剣術が低いけど、近接戦闘とかは出来る?」
「……少し厳しい、かな……」
「うん? 何か事情があるのか? 別に怒らないし、やっぱり仲間にしないとか言わないから、教えて欲しい」
表情を曇らせて、少し憂鬱な表情を見せるファーラに、何か事情があると察した俺は、彼女の手を持ち、安心してもらえる様に見つめた。
「……本当に?」
「ああ、勿論だよ。ファーラの事情が、単純に気分や技術的な問題なのか。それとも怪我や心的外傷による問題なのかが分からない事には、俺も何を教えて良いのか分からないんだ。頼む……」
「……分かったわ。私は幼い頃、魔物に襲われて口の傷を負ったわ。その時の恐怖が影響しているのか、相手が近づくと身体が震えたり、固まったりしちゃうのよ。
これまで、何度も治そうと試みたけど、少ししか改善しなくてね……ごめんなさい。こんな問題を抱えてしまっていて……」
手から伝わる振動。一気に熱が引いていく様な表情のまま彼女は頭を下げる。
「いや、そう言う事なら分かった。つまり、ファーラは、ステータスから分かる通り遠距離攻撃を主軸に、近接戦闘も鍛えるって事だね?」
そんな彼女の手を俺は、力強くギュッと握り締めて伝えた。
「……えっ? ええ、そうよ……本当に私も仲間にしてくれるの? こんな事を言ってアレだけど、私に近接戦闘は、期待出来ないわ……」
信じられない思い、不安な感情、微かな希望が、ごちゃ混ぜになった様な表情で彼女は、早口になる。自分でも、何を言っているのか分かっていない様だ。
「いや、まあ……今後一生、近接戦闘が出来ないって言うか……万が一敵が接近した時に、自衛が出来ないから守ってとか言われたら流石に困るよ? でも、治す意欲はあるんだよね?」
「ええ、勿論だわ!」
「うん、それなら全く構わないよ。その症状が治るか、治らないかは別として、少しでも改善出来たって事は、後はファーラの"自分でも魔物を倒せる!" って自信だけだと思うんだ。
だから、その自信を身に付ける為の意欲があるんだったら、俺も付き合うから頑張って行こうな?」
「ありがとう! 良かった……!!」
恐らく彼女がこれまで一団に所属出来なかったのは、此れの所為だと見て分かった。それほど、彼女は苦しんでいたのか、少し目が潤んでいた。
「それに、俺としても遠距離攻撃専門は、正直言って1番欲しかった人材だから、得した気分だよ」
「そう、かしら……」
落ち着いたファーラは、少し恥ずかしそうな表情で、目を伏せて頬をかいた。
「俺はルカには言ったけど、前衛も、中衛も、後衛も全部出来る器用貧乏型なんだ。後でステータスを見せるから、確認してよ。それで、妖精種の血を引いているから魔法も得意なんだけど、それ以上に前衛で戦いたい意欲があるんだ。
でも、今の一団に求められている役割は、後衛でね。ちょっと歯痒い思いをしているんだ。だから、ファーラが来てくれたのは、最高に幸運だったよ。ありがとう、来てくれて」
「そ、そうかな……!!」
「ちなみに、ファーラは魔法は使いたい?」
「覚えられるなら、是非!」
「分かった。それじゃ、希望する属性はある? 俺が教えられそうなのは土と水の2属性」
「特に希望は無いわ。どっちの方が、貴方達の役に立てるの?」
「それなら、生まれ持った魔力属性が無いから……無属性魔法から覚えた方が良い。やり方は、属性魔法と同じって聞くから、俺が調べておくよ。
その後、魔法特性で考えると水属性から習得した方が楽、かな……? その方が俺が教える場合、土属性を早く教えられるから」
今日中に父アモン、母アーシャ、祖父キースのいずれか誰かに他種族の魔力系技能の習得方法と、やり方を教わろうと思った。魔力系技能は、一朝一夕で身に付くものでは無い。早いに越した事は無いのだ。
「分かったわ。なら、無属性の後に水属性、土属性の順でお願いするわ」
「分かった。なら、ファーラは、遠距離攻撃特化に技能を伸ばして投擲と魔法の2つで攻める。近接戦闘は、属性魔力が発現するまでの時間稼ぎで鍛える方針で」
「分かったわ。ありがとうね、リオ君」
「気にしないでよ。あ、それと、戦闘時の指揮をファーラに任せたいから、戦略とか戦闘状況判断力を鍛えたりするから、頭に入れておいてね」
「そんなに、私に任せてくれて良いのな……? いや、信頼してくれるのは凄く嬉しいけど、果たして私に務まるか……」
「その辺りは、少しずつ慣れていけば良いよ。遠距離特化って言う事は、戦闘時の状況をより正確に見ることが出来ると思うんだ。そんなファーラが戦闘中に指示を出す事で、前衛の生存率が上がると思うんだ」
「責任、重大だね……」
「これはファーラだけじゃ無くて、俺やルカにも出来なくちゃいけなくて事だから、そんなに気負う必要は無いよ。俺もファーラだけに全責任を押し付けるつもりは無いしな」
「分かったわ。それら含めてよろしくお願いするわ」
改めて、俺達は握手を交わした。最初と違うのは、不安や恐怖と言った負の感情が無く、彼女は自然な笑みを浮かべていた。
「うん、それからこれが俺のステータス。"ステータス表示"」
「うわぁ……スッゴ……。これが、歳下で同じくらいの強度の持ち主のステータスなの……」
「うん。ルカにも言ったけど、基本的にステータスは、家族でも見せない様にしてね。俺のを見せたのはファーラに対しての信用の証だ。
今後はファーラも無闇矢鱈に自分のステータスや仲間のステータスを誰から構わず見せたりしない様にね? よろしく頼むよ?」
「ええ! 貴方の期待に答えさせて貰うわ! これから、よろしくね!」
夕食の鐘が鳴る頃まで、俺達の歓迎会は続いた。そして、明日から修業を開始すると彼等と約束をして、その場は解散した。
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