表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
村人☆リスペクト  作者: 深抹茶
25/47

砂漠・3

「ユーリエさん! フローディさん!」

 いつの間にか戻って砂蛇の体をあちこち調べていた隊員たちだが、そのうちの一人が駆け寄ってくる。手にはなにやら見慣れない宝玉が握られていた。

「それは?」

「実は砂蛇の体内から出てきたんです。貴重なもののようなので、お二人に」

 隊員の手から渡されたそれは血が綺麗に拭い去られて、淡い光を発していた。どこか温かみのあるそれに、知らず魅かれてユーリエは手を伸ばす。砂漠の熱とは別の温もりがそこにあった。

「ありがとうございます。いただきます」

「では、調査に戻ります」

 お二人はもう少し休んでいてくださいと、いつの間に設営したのか、テントの方を指差した。ぺこりと頭を下げて、二人は中に入る。適度な広さのそこに腰を落ち着けて、もう一度、まじまじと宝玉を見る。独特の色合いのそれは、けして不快になるような色ではなく、むしろ心をぽかぽかと暖めてくれるような色合いだ。どことなく光っているようにも感じる。ユーリエはまるで宝物のようにそれを包み込んだ。何故だか大切にしなければいけない気がする。それが何故かはわからないけれど、守らなければならないもの。

「なんなのかな?」

「わからない。けど……」

「……暖かいね」

「ああ」

 フローディはふわりと笑って宝玉を包んだユーリエの手に自分の手を重ねる。なんだかわからないけれど、相棒の大切なものだということさえわかっていれば、それで十分だ。


 調査が終わったのか探索隊がパブオに戻ると声をかけてきた。ユーリエたちもそれに倣ってオアシスに足を踏み入れる。訪れたときと同じくらいの歓迎ムードに、二人は辟易してしまった。それに探索隊が砂漠であったことを町長に話せば、町は一気にお祭り騒ぎ。町中を巻き込んだ大宴会へと発展した。

 飲めや歌えの大騒ぎの中でユーリエはフローディにこそりと声をかけた。

「次はどこに行こうか」

「どこでもいいけど、とりあえずタルビデにいるのは今日までかな」

 フローディも今度は行きたくないなどとは言わず、正直に告げる。

 砂漠の民だから熱いわけじゃないかもしれない。ここの人たちだけかもしれない。それはわかっているけれど、しばらくタルビテを訪れることはなさそうだ。

「じゃ、マネットに戻ろうか」

 ステータス帳の証明印を短期パスにしておいて貰って本当によかったとお姉さんに感謝しながら、町の人たちにもみくちゃにされる二人。自分たちの頑張りが認められた証拠みたいで、たまにはこんな風に歓迎されるのも悪くはないかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ