表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

お一人様、お持ち帰りです @通勤電車

テーマは電車です。

電車は結構分類を細かくする予定です。

これは通勤電車編です。



(お一人様、お持ち帰りです)

 私は心の中で小さく呟く。


 私は大学に入ってからファーストフードのバイトを始めました。

 高校の頃はバイトなど一切やっていなかったので始める時はドキドキものだったけど、いざ始めてみるとこれが楽しくてしょうがない。

『いらっしゃいませ』

『お持ち帰りですか、それともお店で召し上がりますか』

『ありがとうございます』

 マニュアル通りの定型句でも笑顔で言えば、お客さんも笑顔で返してくれる、それが心地よかった。

 高校の頃は黒ブチメガネのブチ子さんとかブキミ子さん等などと後ろ指を指されていて、笑顔を向けられる経験が乏しかったから尚更そう感じるんでしょうね。

 そんな自分が嫌で、大学に行ったのを切っ掛けにメガネをコンタクトに変え、髪も明るくし、独り暮らしを始めたのです。

 バイトも自分を変えるための方策の一つでした。

 始めた時は混乱や失敗も沢山あったけれど、重ねる毎に自分が変わっているのが実感できて嬉しかった。


 ガタリ、と電車が動き、ゆっくりと加速し始めました。通勤時間を少し外れているのでぎゅうぎゅう詰めではないけれど電車の中は、それなりに人で溢れていた。

 ところで、皆さんは満員電車なのに何故か一人分の席が空いている光景に出くわした事は無いですか?

 そんな時、皆さんはどうします?

 躊躇わず、座る派?

 それとも、座らない派?

 私は『先客』が居るか、居ないかで決める派です。

 ?な顔してますね。

 そう、実は私は見えちゃう人なのです。

 あんなモノやこんなモノ、見えてはいけないモノが見える体質なのです。

 高校時代、ブキミ子さんと呼ばれた一因がこの能力のせいでした。

 大学に入った時、私はこの能力も封印しまたのです。

 封印したと言っても電灯のスイッチよろしく切ったり入れたりできる訳ではないから見える時には見える。

 でも、見えても無反応に徹する事にしたのです。

 見えない。見えない。何もいない。何もいない。

 と心の中で唱えるのです。結構、大変ですけどね……

 えっと、何の話でしたっけ。

 そうそう、『先客』さんが座っていたら座らないって話でした。

 満員電車で空いてる席にいつも座ってる訳でないけれど、たまに『先客』さんが座っている事が有るのです。

 私は、そんな席には絶対座りませんけど、見えない人は割と平気で座ったりします。

 見えてないから当たり前ですけど。

 大抵は、座られた『先客』さんの方が迷惑そうに席を立つのですが、極たまに『先客』さんが座った人に付いちゃう事があります。

 『先客』さんを背中にベッタリ張りつけたまま電車を降りてく人を何度か見た事があります。

 さっきのもそうですね。

 『先客』さんを張りつけた人がどうなるかは私も知りません。

 だって追いかけていって、どんな感じですか、なんて聞けないですから。


 さてと、私は空いた席に座ることにします。

 『先客』さんに座られる前にね。


2018/02/03 初稿

2018/08/17 形を整えました


自分は見えない人なので、本当に『先客』さんが座っているかどうかを聞かれても回答できませんので御了承ください。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ