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お喋りバードは自由に生きたい  作者: Mikura
名もなき鳥モンスター
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2.変化と人間

レアモンスター倒して特殊な進化!って結構ロマンがある気がします




―――……変異確率が上がりました。変異確率が最大になりました。特殊個体へ変異します……―――


 遠くで声が聞こえるような、文字が見えるような、言葉が頭に浮かんだような。この状態を説明するのは難しいのだが、私はとにかく目を覚ました。

 ……ん?今何か、レベルアップ以外の変なこと言ってなかった?物凄くログが見たい。流石に過去ログ機能はないよね。残念。


 ついでに、大合唱のようなレベルアップの情報に鳥の頭が処理落ちして気絶してしまったので、いくつレベルが上がったか分からない。ステータス向上もしているらしいのだけど、その肝心のステータスを知る方法が分からない。何か特別な道具とか、能力とか。必要なものがあるのかもしれない。



「ピッ!?」



 むくりと起き上がると、兄弟の驚いたような声が聞えた。……私は大分長く眠っていたのかもしれない。兄弟達がちょっと大きくなっている気がするし、ものすごく驚いた顔(鳥同士には分かる)で見られている。死んだと思われてたのかな。

 産毛が抜けてきて、ちょっと赤色っぽくなっている兄弟達がわらわらと近づいてきて私を囲む。生きていてよかったと喜ばれているようで、心も体もとても温かい。



(あ、そう言えば私の体の色はどうなったのかな……?)



 くすんだり黒ずんだりしてないかな?文字通り首を回して自分の体を見てみると――――青かった。他の兄弟達よりはまだ産毛に包まれているが、どうみても赤でも黒でも何でもなく青い毛色が覗いている。え、何、どういうこと?

 私は元から皆より黒っぽかったから、こういう色に育つ予定だったのか。それとも金色スライムを倒して、妙な変化が私の体に起こったのか。それは分からないが、私が他の兄弟とちょっと違うと言うことはよくわかった。私がこの巣に産み付けられた別の鳥とか、モンスターでないことを祈る。


 それにしても、おなかが空いた。早く親鳥に帰って来てほしい。お腹が減っているせいか、ちょっと体に力が入らない気もする。

 などと思っていたら、突然兄弟達が倒れだした。慌てて様子を確認すると、眠っているだけのようで呼吸に合わせてわずかに体が上下している。



(一体何が……いきなり全員眠るなんて。なんか嫌な予感しかしないな……)


「なんだ?一匹だけ起きてやがるな」



 背後から突如湧いたそれは男の声だった。話している言葉も理解できた。振り返ると、人間がそこにいた。私たちよりもずっと大きい、親鳥よりももっと大きい。そこで初めて、私は自分の大きさの基準をしった。親鳥は、私の元の世界で言えばフクロウくらいのサイズで。今の私たちはちょっと大きなヒヨコだった。



「ピ……(何する気……?)」


「不良品か?魔法が効いてねぇ奴がいるなんて……いや、でもほかの奴は寝てるし……あ、色も変わってやがるな、特殊個体か?高く売れそうだ」



 その男はぶつぶつと呟きながら、分厚い手袋のようなものを付けた手で私をむんずと掴むと革袋の中に入れた。その後、二羽の兄弟が同じ袋に入れられて、私たちは安全な巣から攫われてしまった。




次は攫われてどうなるか…になると思います

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お暇がありましたらこちらもいかがでしょうか。竜に転生してしまったが同族を愛せない主人公がヒトとして冒険者を始める話
『ヒトナードラゴンじゃありません!』
― 新着の感想 ―
生業の知恵で生息数の維持を考えているのか、 もしくは全て獲ると巣の場所を変えられてしまうとかだろうか。
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