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お喋りバードは自由に生きたい  作者: Mikura
貴族の飼鳥

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22/104

20.アロイス・セイリア鑑定

ステータスは最後にまとめてあります。文章中にないのでちょっとわかりにくいかもしれません

 朝になり、鳥籠から布が外されてアロイスとあいさつを交わす。そして籠から出してもらい自由になった私は、昨日から気になるあまり全然眠れなかった原因を試してみることにした。

 机の上で読書をするアロイスと一緒に本を覗き込むふりをしながら、アロイスを見る。



(えーと……【ステータス鑑定】)



 念じてみると頭の中にアロイスの情報がパッと流れ込んできた。ゲームのステータス画面のように見えるのかと思っていたが、そうではないらしい。でも私、鑑定スキル持ちで確定。

 名前や種族は勿論、年齢や属性から能力値など様々なものが分かった。頭に入った情報は見ている訳ではないのだけど分かるという妙な状態だ。誰かにこの感覚を説明するのは難しい。

 私が知ったアロイスの情報を整理すると……うん、能力値についてはAやらBやらで評価されていて曖昧だったのでよくわからないけれど、アロイスは確実に規格外チートだと思う。


 驚くべきことに、属性が光と闇以外の五属性持ちだ。つまり火・木・土・金・水の属性をアロイスは持っている。反発する属性は持たないと聞いていたのだけど……どういうことなのかさっぱりわからない。

 あとスキルに【天才】とかいう、それはもうチートなものがあった。これ、何かと思って意識を合わせてみるとなんと、取得経験値五倍と成長幅増大の恩恵があるスキルだった。

 その他にも【速読】や【魔導の知識】とか、読書好きだし理解できるスキルはあったのだけど……【毒耐性】って見えた瞬間物凄く嫌な考えが頭を過った。アロイスは、毒を盛られたことがあるんじゃないか、と。……まぁ、実際は分からないけど。

 それから、【調教の才】というのがユニークスキルでついていた。読んで字の通り、魔物の調教師の才能があるということだ。私がアロイスを見た瞬間に近寄りたくなったのはこのスキルのせいかもしれない。


 そして、初めて知った。アロイスの年齢はなんと十歳だった。驚きすぎて変な鳴き声が出て、アロイスに怪訝な目をむけられたがとにかく驚いたのだ。

 十歳の子供が堅苦しい喋り方をして作った表情で日々を過ごしていたら驚くよ、普通。



「セイリア、さっきからどうしたんだ?考え事でもしてるのか?」


「え、いや、まぁ……」



 鑑定で分かったアロイスの能力に考え込んでいたせいだろう。静かな私に疑問を持ったらしいアロイスがこちらを見ているが、気づかないフリをする。

 鑑定、すごい能力だ。これ、私も自分の能力を知りたい!と思ったのはいいのだけど。私、自分の姿を見ることができない。鑑定は対象を見ながら念じなければいけないのに、なんてことだ。首をひねって背中を見ながら鑑定を使おうと試みるが、駄目だった。多分顔だ、顔を見なければだめだ。どうしよう。

 それからしばらくぐりぐりと頭を回して頑張ってみたがどうにもできなかった。気づいたらバランスを崩して転がって、アロイスの机で腹を見せながら天井を仰いでいた。ああ無常。せっかく持っているスキルも自分には使えないなんて……。



「何をしているんだ……?大分怪しいが」


「いや……自分の顔が見えなくて……」


「……顔が見たいのか?鏡を使ったらどうだ?」


「その手があった!」


「…………………」



 呆れをふんだんに含んだ眼を向けられたが、そんなことよりも私は鏡を見るほうが重要だ。アロイスが無言のまま机の上に出してくれた鏡を覗き込むと、そこには鮮やかで美しい青の鳥が映っていた。真っ黒いつぶらな瞳でこちらを見ている。……これが私か。なんというか、大分愛らしい顔をした鳥だな。親鳥はもうちょっと険しい顔をしていたと思うのだけど、飼われると可愛くなるのかな?



「……満足したか?」


「え、あ、ちょっとまって」



 自分の顔を見ながら全く違うことを考えていた。慌てて鑑定を発動してみる。そして、私は何も見なかったことにしたくなった。

 ……いや、私の鑑定結果ちょっと可笑しかったんだよ。簡単にまとめると、アロイスを凌ぐ規格外チートの一言である。

 属性は光だったが、私が魔物であることを考えるならあり得ないことでもないけれど……問題はスキルと能力値だ。

 まず【鑑定】があるのは分かっていたことだが【状態異常無効】というのがついている。睡眠耐性じゃなかった。もっと上位のスキルだった。そして【天の贈り物】というスキル……黄金スライムを倒したら得られるものらしい。変異確率を最大にして、特殊個体へ進化させる。全ての能力値が異常にあがるものだ。そして【異界の経験】という……確実に前世が影響したものだが、これがあると経験値の取得が十倍、さらに成長幅は前世の経験年数×2で、私の場合五十倍上がるとか。化け物スキルである。

 他にも【共鳴歌】という、聞いた対象に自分と感情を同調させるユニークスキルとか【言語理解】とか【捕食者】とか、スキル満載である。もう後で考えることにする。能力値はSが並んでいたがやっぱりよくわからないのでもう知らない。私は何も見ていないのだ。



「セイリア、君は確かに美しいカナリーバードだが……自分に見惚れている姿を見ると、なんとも哀れに思えてくるんだが」


「え、違う!違うよ!見惚れてないよ!」



 自分の鑑定結果に固まっていただけで、決して自分の姿に見惚れて動けなかった訳ではない。私はナルシストではない。断じて違う。



「……よかったらその鏡は君に譲るから、籠の中に」


「違うって!もういいよ!ありがとう!ほらしまって!」



 アロイスに妙な勘違いをされてしまった。

 ……確かに綺麗な鳥だったけど、違う。私の感覚はまだ人間的なはずだ。顔立ちの整った人間が分かるのだから、そのはず。

 ………他の鳥を見てイケメンとか、カッコいいとか……思っちゃうんだろうかやっぱり……あんまり想像したくない話だ。

 そんな私に、何を思ったのかアロイスが真剣な顔で話しかけてきた。



「………セイリア、一応婿探しをしてみるか?」


「いや、ほんとに要らないから……それはやめてほしい……」



 多分、カナリーバードとして体が大人になった時期なのだろう。鏡を覗き込む私が、相手を求めているように見えたのかもしれない。しかし、しかしだ。たとえ繁殖期になろうとも、私は同じ種族の婿は断固拒否する。

 私、鳥と結婚する気はないよ!鳥と結婚するくらいなら生涯独り身を貫くよ!もう独り身でいいよ!!






―――――――――――――



【名前】アロイス=マグナットレリア

【種族】人間

【称号】領主の子

【年齢】10

【属性】火・木・金・土・水


【保有スキル】

天才・速読・毒耐性・睡眠耐性・魔導の知識・『調教の才』


【生命力】B+

【腕力】B

【魔力】A

【俊敏】B

【運】C





【名前】セイリア

【種族】カナリーバード(?)

【称号】アロイスの従魔

【年齢】五ヶ月

【属性】光


【保有スキル】

異界の経験・魅惑の声・『共鳴歌』・鑑定・捕食者・穿つ者・天の贈り物・不死鳥・状態異常無効・鉄壁・強者の風格・言語理解・愛鳥・狩鳥


【生命力】SS~

【腕力】SS~

【魔力】SS~

【俊敏】SS~

【運】S


ステータスは文中にないとわかりにくいかな、と思ったんですがウィンドウで出てくるような、実際に表があるわけではないのでステータス表は下にまとめてみました。

それにしてもやっとステータスが出せた…ずっと出したかったんですよね……



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― 新着の感想 ―
種族に?がついてるから変異種どころじゃなさそう。 しかし強者の風格があるにしては侮られてますね。まぁ愛玩鳥だから仕方ないけど。
スキル欄の不死鳥ってどっちかと言えば種族名なんじゃ? 単にスキルなら不死でいい筈だしね 強者の風格(笑)、で無い事を願う(^^;)
[良い点] アロイス君10歳……! アロイス君の優良ステータスが霞んでしまうセイリアさんのステータスのヤバさ……! [一言] 穿つ者でちょっと笑いました。つつき攻撃!
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