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お喋りバードは自由に生きたい  作者: Mikura
貴族の飼鳥

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12.魔力と相性

属性とかの説明がいろいろです


「まず、魔力には七つの属性がある。木・火・土・金・水の五属性に、少し特殊な光と闇の属性がある。魔力を持つ者の大抵は五属性のどれかと強く引かれあう魔力を持っていて、その属性の魔術と相性がいい」



 木は成長の力を持ち、主に身体や武器の強化を行うもので、様々な耐性を持ちやすく、風の魔術なども扱いやすい属性。

 火は成長を促すものなので木属性と相性がよく、火属性を持つものは木の属性魔術を比較的扱いやすい。火をそのまま扱う魔術も使える。

 金は鉱物や金属を扱う属性で、鍛冶が得意なドワーフが持っていることが多いらしい。魔術として使うと針金の刃を飛ばすだとか、分厚い盾を出現させるだとか、そういうことが出来る。でも莫大な魔力量を使うので、この属性の者は大抵鍛冶師になる。

 土は育成と保護をするもの。魔物のテイムや調教をしやすい属性で、他には植物を扱う魔術や防御結界などが使える。

 水は命の源。水属性を持つと生命力が高くなる。扱えるのは水や氷の魔術、強大なものになると天候を操ったりもするらしい。


 木と火、土と水は相互効果を持ち相性がいい。しかし木と火は土や水とは相性が悪い。お互いの力が反発して、本来の威力が損なわれるらしい。金は他の四属性のどれとも相性が良くも悪くもない。


 光と闇の属性は、特殊。

 光は何でも許容する。全ての属性の増幅支援や癒しの魔術が出来る唯一の属性で、どの属性の魔術でも扱いやすいという特殊な属性。

 闇は光以外を拒絶する。五属性の力を弱める魔術を使い、弱めた力を吸収し、影の魔法を扱う。五属性は闇に勝ることができない。唯一光の前でだけ、闇は弱まる。しかし光もまた、闇の前では弱くなる。

 この二つの属性を持っているものは殆ど居ないとされており、現代でこの属性を持っているものは確認されていない。

 ………うん、難しいね。



「火と木、土と水は相性がいい。お互いを高め合う性質だからな。稀に二属性を持つ者がいるが、そういう者は大抵相性のいい属性を持つ。君は……睡眠耐性を持っているのだから木属性なのかもな」


「アロイスは何属性?」


「私はまだ貴族学園に入っていないので、分からない。本来、貴族は学園で初めて魔術の扱いを学ぶものだからな」



 本来はアロイスのような子供が持っている知識ではない、と。まぁ知識の源はこの部屋の本の数を見れば一目瞭然だが。とても勉強熱心で感心する。これくらいの男の子なら、勉強より遊びまわりたいものだと思うけど……あぁ、趣味が読書って言う可能性もあるか。

 彼の妙に堅苦しい口調も、本の影響かもしれない。論文とか、研究資料とか、おおよそ子供の読みものとは思えないタイトルの本がちらほらと並んでいるのが見えるし。



「それで……この属性の相性とは別に存在するのが、魔力の相性なんだが……魔力とは、人によって全く違うものだ。家族なら多少質が似通ることはあるが、それでも同じにはならない」


「ほうほう……」


「相性がよければ問題ないし、共に魔術を使えば魔力に上乗せの効果がでることもあるんだが……これの相性が悪いと、傍にいるだけで本来の力を発揮できない。君に分かりやすい例えで言うなら、そうだな……相性の悪い魔力の人と魔物が従魔の契約を結んだ場合、魔物は弱体化し、魔術も使えずまともな戦闘はできないだろう」



 従魔の契約、平民の間ではテイムと呼ばれるそれは、魔物に魔力で干渉し、何かしらで己が勝っていることを魔物に認めさせ、魔物が「勝てない」と思った瞬間の心の弱みを魔力で引き出し、精神を縛り、命令に逆らえなくなるようにするというものらしい。

 スキルとして持っている者もいれば、魔術として覚えて使う者もいるメジャーな魔法なのだとか。割と簡単に使えるのに相性が悪ければ魔物の方は弱体化するというのだから、恐ろしいものである。私の本能で感じていたように、テオバルトとは相性が最悪だったと思われるし、彼に縛られなくてよかったと安心した。ついでに言えばアロイスとは相性がよさそうだが、私としてはそんな怖い内容の魔術は一生使われたくないと思う。



(……そういえば、モンスター屋も私をテイムできなかった、とか言ってたなぁ……)



 既に使われた後だった。無事でよかったと切に思う。



「兄上はセイリアを従魔にする気だったみたいだが、出来なかったらしい。そういう時は心を通わせて、信頼を得ればいいんだが……それもできなかったから、君は私のところに来ることになった」



 魔物と信頼関係を結ぶのは、とても難しいことだと言う。言葉が通じない魔物には、意思の疎通ができることはほとんどありえない。信頼関係を結ぶことが出来れば従魔関係よりもより強力な効果が得られるらしいが、そんなのは凄腕の魔物使いでも中々できることではないのだとか。

 ……元から喋れる私って、きっとものすごく異質な存在なんだろうな。



「信頼関係を結べた魔物は従魔とは違う。人によってさまざまな呼び方がされているな…相棒とか、友とか。人間の方も、魔物を完全に対等な立場で見ているのが分かるだろう?そういう関係になれる、というのは……本当に珍しい」


「人間は魔物を下に見てるもんね」


「………魔物の君に言われると答え辛いんだが、そうだな」



 私は魔物だ。けれど普通の魔物と違うから、きっと私が他の魔物を対等な立場で見ることができない。けれど人間も、魔物である私を対等な者としてみることはないだろう。

 私は、とても宙ぶらりんな存在だ。



「私はね、セイリア。君が言葉を解し、そして話す魔物であることがとても不思議に思う。君をどう扱えばいいか、正直よくわからないんだが……でも、仲良く出来ればいいとは思っている」


「……魔物だけど仲良くしてくれるの?」



 貴族は平民が魔物を見るよりももっと、低いものとして見ていると思う。テオバルトだけでなく、領主やオイゲンの言動からも私はそんな印象を受けた。モンスター屋よりずっと粗雑に物として扱われている気がした。

 きっと間違いではないと思う。貴族の常識では魔物は格下の存在で、使えれば使う、使えなくなれば捨てるような、便利な道具でしかないはずだ。それでもアロイスは仲良くできれば、などというのだから驚いて訊き返してしまった。



「少なくとも、兄上よりはずっと仲良くしたいと思える相手だ」


「それは私も同感」


「……次期領主への不満を漏らして同意してくれるのは、魔物である君くらいだろうな」



 先程の言葉は、誰にも漏らせないアロイスの本音の一部に違いない。それが分かるから、私は胸を張って翼を広げながら、自信ありげに言ってみた。



「私、アロイスの話し相手になるよ。人間に話せないこと、何でも聞くよ」


「全く……変な魔物だな、君は。面白くて興味深い」



 アロイスが笑った。子供っぽい、年相応に楽しそうな顔だった。

 ……うん。アロイスはこういう顔で笑った方が、自然だし魅力的だな。



アロイスとセイリアの愉快な日々が始まる…といいな

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