シロネの戦闘力
サーベルディア―を狩った後、シロネのいる洞窟へ戻った。
やあ、シロネ。
元気にしてた?
『はい、もう完全に回復しました』
そりゃ良かった。
はい。
これがサーベルディア―の胴体だよ。
思ったより重かったね、これ。
『ありがとうございます!』
そう言ってサーベルディア―の胴体をポリポリと食べ始めた。
いや~、めちゃくちゃ癒されるね。
なんて言うか、愛玩動物っていうの?
ペットじゃなくて仲間だけど。
うん、めちゃくちゃかわいい。
特につぶらな赤い瞳がめちゃくちゃキュートだよ。
試しに頭を撫でてみよう。
なでなでなで
『きゅ~ん』
僕の手に頭を擦り付け、甘い声を出してきた。
貴様は僕を萌え死にさせる気かぁぁぁぁぁああああああ!!!
これはアレか!?
所謂天使ってやつか!?
そうか、そうなんだな!?
シロネたんマジ天使!!!
鼻血が止まらないぜコンチクショウ!
血なんて無いけど!
『ど、どうしたんですかいきなり!?』
あ、今はスキルがオフになってんだっけ。
良かった。
この声が聞こえていたら変態扱いされるところだったぜ!
そういえば、鑑定がレベル4になったんだ。
試しにシロネを鑑定してみよう。
『種族:リトルマウス アルビノ個体 LV10 名前:シロネ
スキル
「念話LV10」「逃げ足LV5」「聞き耳LV5」「隠密LV8」』
おお!
スキルが見えるようになったよ!
それから察するに、僕と会話する時のスキルが『念話』。
そして『逃げ足』は俊敏上昇スキル。
『聞き耳』は耳が良くなるスキル。
『隠密』は隠れるためのスキルだね。
戦闘に使うようなスキルが一つもないね。
ま、戦うのは基本的に僕だからいいんだけど。
というか、この世界の草食と肉食のレベル差って結構でかいよね。
草食は大体レベル十くらいだけど、肉食はレベル五十以上あるんだよ。
肉食の方が戦うのが多いんだから、当たり前と言えば当たり前なんだけどね。
ともなると、中心部の魔物がレベルが高いのは、それだけ戦ってるってことだからな~。
全く、ソニックウルフに復讐する日は遠そうだ。
『アキカゲさん!』
え?
いきなりどうしたの?
まさか愛の告白!?
いやいやちょっと待って!
僕が魅力的なのは分かるけど種族の壁的にはね?
もちろん君の事は可愛いと思ってるけど、それは別に性的な意味じゃなくて!
いや?
だが待て、むしろこれはチャンス?
鼠だがシロネは女の子なんだ。
つまりは人外ハーレムキタコレか!?
そうとなれば問題無い!
さあ!
愛の告白を受け入れる準備はできたよ!
『私を戦いに参加させてください!』
僕は足を滑らせた。
愛の告白だと思ったらこれかい!
ちょっと期待してた僕がバカだったよ!
おかげで古いマンガみたいなリアクションしちゃったじゃないか!
とりあえず、話を聞こう。
え~っと、シロネちゃん?
なんでそう考えたの?
『だって、私いつもアキカゲさんに頼ってばっかりで、今日なんてここでじっと留守番してるだけです!』
それは適材適所ってやつだよ。
『それでも!私はアキカゲさんの役に立ちたいんです!』
すごい気迫が声に乗って伝わってくる。
僕こんなに好かれるようなことしたかな?
僕は考える。
シロネを戦闘に加えるべきかどうか。
現状として、戦闘に苦戦することはない。
しかし、もしも僕が大怪我した時に襲撃でもされたら、シロネ一人で戦わないといけないのだ。
だったら少しは戦闘慣れした方がいいかもしれない。
たとえ僕が死んでも生きていけるようにね。
よし!
いいよ、今度からは僕と一緒に狩りに行こう。
『はい!よろしくお願いします!』
うん、可愛い声だ。
とにかく今日はもう寝よう。
お休み、シロネ。
『ぐ~』
寝るの早っ!
のび太君もびっくりだよ!
で、その日はやってきた。
『準備完了です!いつでも行けます!』
キリッとした顔のつもりなんだろうけど、やっぱり迫力が無い。
最近シロネが僕とよく話すようになった。
もともとおしゃべりな性格だったのかな?
女の子だもんね。
むしろ心を開いてくれたようで嬉しいよ。
さぁ!
一狩り行こうぜ!
運のいいことに、今日は曇りだった。
森の探索は結構慣れてきた。
ただしシロネがめちゃくちゃ緊張している。
ねぇ、ホントに大丈夫?
『だ、だ、だ、ダイジョウブデス!』
うん、大丈夫じゃないね。
震えすぎて心配するレベルだよ。
とにかく、獲物を探そう。
いたいた。
またサーベルディア―がいた。
シロネ、行ける?
『はい!やってやります!』
シロネはそう言って駆け出した。
速い!
しかも全速力で走っているのに気づかれない。
隠密スキルのおかげか。
これなら喉を噛み切れるかも!
そうすれば動脈をが切られて、大量出血で殺せる!
『かぷっ』
……え?
かぷっ?
今起こっている事を説明しよう。
シロネがサーベルディア―の喉にシロネが噛みついた。
けど、シロネは喉を噛み切ることが出来ずに、ブランブランとぶら下がっていた。
サーベルディア―を鑑定してみる。
『種族:サーベルディア― LV15
スキル
「斬撃耐性LV9」「鈍感LV8」「俊足LV4」』
斬撃耐性、これが原因か。
シロネが噛んでいるのに気付かないのは、鈍感のせいかな?
『このっこのっ!うぎぃぃぃ!』
うん、まったく切れないね。
サーベルディア―まで気付いていないよ。
『ごのっ!ごのぉぉぉ!……うわ~~~ん!!!」
ついに泣き出しちゃったよ。
しかもまだ気付いてないよサーベルディア―。
気付いてやってよサーベルディア―。
……しょうがない。
ちょっと手助けしよう。
シロネが噛みついているところをちょっと腐らせる。
「きぃぃい!?」
やっとサーベルディア―が気付いた。
でも、もう遅い。
シロネが喉を噛み切った。
『や、やった!』
やったね。
僕の助けがあったけど、斬撃耐性が無ければシロネは喉を噛み切れていた。
多分、大丈夫だろう。
何とか戦えそうだ。