初のちゃんとした戦闘
まだ僕のレベル上げは続く。
木を腐らせて目印にしておき、森の端へと向かう。
周りを見渡してみるけど、木が覆っているだけだ。
一応、森の端を目指してはいるけど、そうそう早く森の端に着くわけがない。
シロネ曰く、ここから歩いても一か月はかかるらしい。
どんだけ大きい森なんだよ。
そう思っていたら見つかったよ。
何だアレ?
シカの一角バージョン?
『種族:サーベルディア― LV8』
サーベルねー。
つまり、というかつまらなくても角が武器だろうね。
だが蹄なんかも注意しないといけない。
油断ダメ、ゼッタイ。
とにかくだ。
君は今日の夕飯になってもらう。
突撃、お前が晩御飯!
ってね。
まずは奇襲攻撃だ。
音を立てないようにこっそり近づく。
逃げられたりしたらダメだからね。
よし。
気付いていない。
サーベルディア―の足を掴む。
うおっ!
いきなり動き出した。
そりゃそうか、いきなり掴まれたんだし。
だが放さない。
むしろ更に力いっぱい掴む。
――腐蝕の霧、発動。
サーベルディア―の足に腐蝕の霧が纏わりつく。
どんどん腐っていくのが見た目と音で分かる。
いいぞ~。
どんどん腐っちまえ。
ただし、胴体だけは傷つけない。
だってそこはシロネの分だからね。
とにかく足は封じた。
今度は大きな声を出さないように喉を腐らせる。
苦痛の声が聞こえるが、知ったもんか。
僕が、いや僕達が生きるためだ。
せいぜいさっさと死んでくれ。
だが、やはり一筋縄ではいかないらしい。
サーベルディア―は身体に張り付いた僕を、地面に擦り付けた。
痛い!
特に背中痛い!
そしてサーベルディア―は僕を吹き飛ばした。
木にぶつかる。
ぐえ。
あー痛い痛い。
でもこの程度は一時間あれば治る。
しかし厄介な状況になった。
サーベルディア―が、最後の力を振り絞ってこっちに突撃しに来た。
ヤバイよ、突撃自分が昼ご飯確定だよ。
後ろは木で避けられない。
どーしよっかなー、この状況。
こういう時は慌てるもんだけど、なぜか冷静に考えられる。
『恐怖耐性がレベルアップしました』
あ、なるほど。
恐怖耐性があったからか。
これは使えるスキルだな。
でも、状況は一切変わっていない。
相変わらずだな~。
けど、この状況の打開策はわかった。
ほらほら。
もっとスピード付けて来いよ。
サーベルディア―が突っ込んでくる。
あと数秒したらペチャンコだろう。
でもそうならない。
影歩発動っと。
僕は影に潜る。
そしたらどうなるかって?
そんなの決まってる。
サーベルディア―の角が木にぶっ刺さるんだよ。
しかも勢いよく刺さって抜けないらしい。
そして僕は影からヌッと出る。
もはや伝統だよねこのヌッは。
でも、そんなことはどうでもいい。
今度こそちゃんと息の根を止める。
腐蝕の霧発動っと。
そのままサーベルディア―は動かなくなった。
『経験値が上限に達しました。シャドウ亜種がLV2からLV3になりました』
レベルアップ来たよ。
よし。
思ってたより早い。
『各種ステータスが上昇しました』
『レベルアップボーナスとしてスキル経験値を獲得しました』
『レベルアップボーナスとしてスキルを取得しました』
『鑑定がレベルアップしました』
『腐蝕の霧がレベルアップしました』
『自己再生がレベルアップしました』
『影歩がレベルアップしました』
『恐怖耐性がレベルアップしました』
へいへい。
二度目ともなればちょっとは慣れる。
そんじゃ、ステータスを見てみよう。
『種族:シャドウ亜種 LV3 名前:アキカゲ
体力:20/20
魔力:20/20
筋力:15
防御:15
俊敏:15
耐性:15
運:12
スキル
「鑑定LV4」「腐蝕の霧LV4」「自己再生LV3」「影歩LV3」「恐怖耐性LV3」』
いいね、どんどん強くなってる。
でも新しいスキルは無いみたいだ。
レベルアップすれば良いってもんじゃ無いみたいだね。
でも今夜の食べ物は手に入った。
よし、シロネの元に戻ろう。