レベルアップ!
まず僕たちがやらないといけない事、それは強くなることだ。
シロネと出会ってから三時間、草を洞窟の近くに集めた。
まだ右腕は生えてる途中だけど、問題ないだろう。
何するか皆なら分かるだろう?
そう、腐蝕の霧をレベルアップさせるのだ!
僕が持っているスキルの中では、これだけが攻撃スキルなのだ。
僕が生き残るためには、このスキルをレベルアップさせるのが一番いい。
しかも練習相手は草だ。
抵抗なんてするはずがない。
というワケで、僕は草の束に寝っ転がっている。
このスキルは触れた所から腐蝕する。
だから、触れる表面積を増やすためには寝るのが一番!
ゴロゴロしてれば強くなるとか最高!
ただし超クセェ!
何この臭さ!
草が腐ってる!
……うん、しつこいよね。
ごめんなさい。
それに、僕がこのスキルをレベルアップしたい理由はもう一つある。
確認してみたところ、僕は眠っている時以外は無意識に腐食が発動してしまうらしい。
つまり、僕が起きてる間はオートで発動するのだ。
自分の身を守るのにはいい。
しかし、自分が何か食べようとした途端、腐ってしまうのだ。
何たる地雷スキルだよ!
この問題を解決するには、レベルアップしてちゃんと操作出来るようにしないといけないわけだ。
……というワケで。
ゴーロ、ゴーロ、ゴーロ、ゴ―ロ。
何たるニート!
でもこれが生きるためなのだ!
超ラクチン!
『腐蝕の霧がレベルアップしました』
よーしレベルアップした!
このままレベル3までいくぞ!
更にゴロゴロするぞ!
何たる天国!
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
『腐蝕の霧がレベルアップしました』
よっしゃぁぁぁ!
あれ?
これ結構楽勝じゃない?
よし、今度は動物を狩ってみよう。
ちょうどいいところに、ここには虫がたくさんいる。
試しにテントウムシみたいな生物を掴む。
鑑定っと。
『種族:アイアンビートル LV13』
うん、弱い。
僕が言えることじゃないけど。
アイアンビートルは足をワシャワシャとさせるが、僕が逃がすわけがない。
ごめんね。
僕の生きる糧になってくれ。
アイアンビートルはどんどん腐っていく。
やがて動かなくなり、僕は手を放した。
……うん、食べる気は湧かないよ。
今度は腐らせないように集中しながら別のアイアンビートルを掴む。
発動させないで掴むことが出来た。
やっぱりレベルアップしたからだろう。
触れてみると、この生物はやたらと硬い。
アイアンってことは、鉄くらいの硬さがあるってこと?
うわー何それ。
めちゃくちゃ防御力高いじゃん。
うらやましいなぁ。
でも、そのくらいでソニックウルフの攻撃を防げたかと言えば、多分無い。
あいつら鉄とかスバッと切っちゃいそうだよ。
じゃ、腐蝕の霧を発動させてみる。
途端にアイアンビートルが腐っていった。
思ったけどさ、このスキル実は使える?
だって鉄くらいの硬さがあるやつを腐らせるんだよ?
防御力貫通だよ?
めちゃくちゃ強いかも!
あれだよ、学校で怖がられてるヤンキーが、捨て猫を拾ってる的なアレだよ。
実は使えないと思ってたスキルが便利だったんだよ。
なんて思ってる間にアイアンビートルが動かなくなった。
相変わらずグロイ。
『経験値が上限に達しました。シャドウ亜種がLV1からLV2になりました』
え?
レベルアップ?
まさか今から?
『各種ステータスが上昇しました』
『レベルアップボーナスとしてスキル経験値を獲得しました』
『レベルアップボーナスとしてスキルを取得しました』
『鑑定がレベルアップしました』
『自己再生がレベルアップしました』
『影歩がレベルアップしました』
『恐怖耐性を取得しました』
ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!!
いきなりめちゃくちゃ情報キタァァァ!!!
と、と、とにかく!
ステータスを視てみよう!
『種族:シャドウ亜種 LV2 名前:アキカゲ
体力:15/15
魔力:15/15
筋力:10
防御:10
俊敏:10
耐性:10
運:11
スキル
「鑑定LV3」「腐蝕の霧LV3」「自己再生LV2」「影歩LV2」「恐怖耐性LV1」』
よっしゃぁぁぁ!
レベルアップキタァァァ!
しかもなんか右腕も一瞬で生えたぁぁぁ!!!
はっはっは!
これでソニックウルフを倒せるぜ!
はい、嘘です。
まだそんなに強くありません。
とにかく、情報を整理してみよう。
レベルアップすると強くなるのはわかった。
更になんだか身体がすっきりしている。
これは僕がこっちに来てからの状態に似ている。
つまりレベルアップすると、身体が完全回復するのか。
道理で右腕が生えたわけだ。
まず、レベルアップしたのはアイアンビートルを倒したことが原因だろう。
倒した瞬間、レベルアップの声がした。
そしたら今度はスキル経験値が何とかと言っていた。
そして、鑑定、自己再生、影歩のレベルが上がった。
腐蝕の霧が上がらなかったのは、ボーナススキル経験値が上限まで届かなかったから?
多分そういう事だろう。
そして、スキルを取得した。
恐怖耐性というスキルだ。
文字通りだとすれば、恐怖に耐性が付くのだろう。
まとめてみよう。
ある程度敵を倒すと、レベルアップする。
レベルアップすると完全回復する。
更にスキルが強化され、新しいスキルを取得できる。
どのくらいのスキル経験値が入るのかはわからなかったけど、スキルが一度にレベルアップするくらいだから結構入るのだろう。
いいねぇ。
ちょっと面白くなってきたじゃないか。
ゲーム感覚は危ないだろうけど、やっぱり強くなるのはうれしい。
そんじゃ、あと一回はレベルアップしてみよう。