表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウの異世界魔王道  作者: river
魔王誕生編
4/28

パートナーとの出会い

 

 どんどん地面が近ずいていく。

 風圧で目が霞む。

 右腕がズキズキと痛む。

 だけど、そんなことに怖がる暇なんてない。

 っていうか、怖がったら死ぬ。

 集中、集中!


 ――影歩発動

 

 地面にぶつかる直前、影に潜り込む。

 ドプンッという感じで影に潜る。

 そしてヌッと出た。

 うん、相変わらず地味な効果音。


 僕が崖で思い付いたのは、落下する直前に影歩を発動して落下ダメージを軽減する事だ。

 本当に思い付きでやって見た事だけど、ホントに出来たとは思わなかった。

 僕って本番に強いタイプなのかな?

 水泳の飛び込みと同じ感じだ。

 むしろ水の抵抗とか無い分、楽に出来た。

 とにかく、ソニックウルフから離れよう。

 流石にあいつらが降りて来たらチェックメイトだ。




 

 痛い痛い。

 まったく、やっと自己再生で傷が塞がってきたよ。

 崖から落ちて一時間は経ったかな。

 片腕が無いせいでバランスが悪い。


 僕この世界に来てから災難ばっかじゃない?

 いや、前世でもロクでもない事だらけだったけどさ。

 いきなり絶体絶命とかハードモード通り越してナイトメアってやつだよ。

 マジクソゲーってやつだよ。

 ゲームじゃないけどさ。

 

 この世界の良い事とか空が綺麗な事だけだよ?

 うん、夕日が綺麗だ。

 

 ただしヤバイ、このままだと夜になる。

 この世界では知らないけど、前世では夜行性の生物がたくさんいた。

 つまり、夜からが本番ってわけだ。

 冗談じゃないよ?

 ソニックウルフがあちらこちらとかSAN値直葬だよ?

 発狂するよ?

 引くくらい喚き散らすよ?

 

 とにかく隠れる所を探さないとね。

 例えば洞窟とか無いかな?


 あったよ。 

 洞窟あったよ。

 ふっふっふ!

 やっと僕に運が回ってきたね!

 早速、中に入る。


 入口は狭いけど中は結構広い。

 高さもそれなりにある。

 そして使われた形跡も無い。

 理想的じゃないか!

 ここで完全再生するまで待とう。

 横になってみる。

 あ~イイわ~。

 めっちゃ安心するわ~。


 そう思ったら眠気が襲ってきた。

 うぉ~、眠い。

 ここまで眠くなるのは前世でもあんまり無かったよ。

 僕は泥のように眠った。




 

 ……ん?

 なんか息がかかってるぞ?

 クンクンされてる?

 いや~何か癒されるね~、犬みたい。

 そっか~犬にクンクンされてるのか~。

 うん?なんで犬にクンクンされてるの?

 ……てかホントに犬?

 犬っていうかオオカミみたいな?

 オオカミ?

 オオカミ!

 ソニックウルフ!?


「ンギャァァァァァアアア!!!」

 いやぁぁぁぁぁ!!!

 食べさせるかぁぁぁ!

 こうなったら喚き散らしてやる!

 駄々こね小僧もビックリのジタバタを見せてやるぅぅぅ!


『うわっ!ごめんなさい!殺さないでください!』

 

 ぴくっと動きが止まる。

 え?

 何この可愛い声。

 声のする方向を見てみる。


 そこには僕の手ほどの白いネズミがいた。

 頭を抱えて震えている。

 鑑定してみよう。


『種族:リトルラット アルビノ個体 LV10』

 

 アルビノ個体?

 亜種の次はアルビノ?

 ちょっと話してみよう。


「ヴァウアウア」


 話せないんだったぁぁぁ!

 コンチクショウ!

 

『あ、話せなくても聞こえます!』


 え、マジ?

 なにそれ超便利。


 というか、この子見た感じ結構衰弱している。

 身体の所々が泥とかで汚れてるし、赤い目はクマが出来ている。

 あと一日したら死にそうなほどだよ。


『はい、もうマジで死にそうなんです』


 ……君、心が読めるの?


『読む他にも自分の考えてることを伝えることも出来ます』


 そりゃすごいね。

 君だけのスキルなの?


『はい、他の皆にはありませんでした。……あの~ちょっと頼みたいんですけど』


 うん、何?


『食べ物くだしゃい』

 

 しゃい、と言ったのと同時に倒れた。

 え?

 ちょっと唐突過ぎるんだけど!?

 いきなり倒れられてもリアクションに困るっていうか、なんていうか?


『べ……別に……リアクショ……させ……ワケじゃ……』


 心読まれちゃったよ。

 しかしどうしたもんか。

 僕に食べ物なんて無いんだよ。

 というか僕だってお腹空いてるし、餓死した君を食べるって手もある。


『ぜぇ……ぜぇ……』


 ……まぁ、いいか。

 僕は左手の小指を嚙み千切る。

 ガリッ

 いっってぇぇ!

 でもソニックウルフのに比べれば可愛い痛みだ。

 ホイ。

 君身体小さいし、小指で十分でしょ?


『な……んで……』


 別に同情しただけじゃないよ?

 君に、この世界の事について教えてほしいんだ。

 そのための必要経費ってやつだよ。

 どーせ二日か三日すれば生える。

 それよりほら。


『あ……りが……と……』

 

 ネズミは僕の指だったものをポリポリと食べる。

 ボクの中身って紅いけど血は無いんだよね。

 不思議だ。

 

 僕の指を食べ終わった瞬間、ネズミは気絶するように眠った。

 あれ?

 情報が欲しいんだけど?

 ……しょうがない。

 まだ外は暗いし、起きるまでちょっと待とうか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ