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シャドウの異世界魔王道  作者: river
冒険者殲滅編
22/28

シャドウ・ゴブリンナイト

 広場に約百人の冒険者が集まる。

 これからの緊急クエストに興奮しているのか、それとも不安からなのか、冒険者たちはザワザワと騒いでいる。

 中には討伐する魔物の素材を、どう使うかまで考えている奴までいる。

 随分とお気楽な思考回路だとも思う。

 しかし、それもしょうがないのかもしれない。

 人とは群れると安心する生き物だ。

 だからこそ、人は恐怖を紛らわすために群れる。

 それで現実が変わるかは別としてだが。


 装備は人それぞれだが、少なくとも劣悪な装備の者は一人もいない。

 冒険者からしてみれば、装備は自分の命を預ける物だ。

 それに金をかけるのは、ある意味当然だろう。

 

 そして、その集団の先頭に立っている一人の男がいた。

 ギルドマスターである。

 コツコツと杖を立て、猫背で歩く姿はまさしく老人だが、その実力はまだ全盛期から衰えていないという。

 そして簡易式の台へ上り、冒険者の顔を一人一人見れるまでになった。


 その姿を見ると、冒険者たちは一斉に話を止めた。

 別にそうしろなどと言われてないし、冒険者には教養の低い奴もいる。

 だが、ギルドマスターの何とも言えない威圧感が、冒険者たちの口を閉じさせているのだ。

 いわば、スキル外スキルとでも言うべきカリスマ。

 まさに冒険者の代表である。

 ギルドマスターが口を開く。


「まずは冒険者の諸君、君たちを呼んだのは他でも無い、最近冒険者たちを狙って動く『謎の魔物』がいるという噂は、君たちの耳にも入っているだろう。

 今回の緊急クエストはその魔物の調査、そして討伐を目的としたものだ。

 先に言っておくが、君たちに拒否権は無い。

 冒険者は緊急クエストを必ず受けなければならない。

 それが君たちの義務だ。

 ただし、それだけの報酬は用意してある。

 わかったなら、それでいい。

 わからなくても、命令に従えばいい。

 それだけだ」


 そう言って壇上を降りた。

 誰一人声をあげる者はいない。

 それもそうだろう、そもそも緊急クエストが発生したなんて事は、このギルドマスターになってからは一度もなかったのだ。

 中には今日初めてギルドマスターを見た者までいる。

 だからこそ、どんな演説をするのかと考えていたらこれである。

 必要最低限の事しか言っていない。

 この場にいた冒険者の気持ちを代弁するとしたら、こんな感じだろう。

 ――え?これだけ!?


 冒険者たちの混乱の中、今度はアンディが壇上に上がった。

 

「それでは作戦を教えます。

 まずは――」


 そして、冒険者たちが魔の森へ襲撃したのだった。





 第三部隊、総勢三十五人の冒険者は、それぞれ探索をしている。

 隊列を整える方が良いかもしれないが、基本的に冒険者は最大でも四人行動だ。

 だったら無理に整えるより、少しくらい自由にやらせておいた方が、効果がある。

 それがアルディの考えだ。


 第三部隊は迷いなく進む。

 ほぼ毎日魔の森で魔物を討伐している冒険者からすれば、こんな所は庭のようなものなのかもしれない。

 時々談笑しながら、冒険者たちは探索する。

 

 その時、冒険者たちの全員の話が途切れた。

 魔物の気配が全くない。

 そして声がかかる。


「冒険者ヨ、今からそこを動くナ。

 そうすれば一瞬で逝けル」


 冒険者三十五人が見たのは、身長三メートル以上あるゴブリンだ。

 そう、アーロンを殺したゴブリンである。

 ただし前と違うのは、アーロンが使っていた大剣を左手に持ち、巨大な斧を右手に持っているという事だ。

 ガチャガチャと鎧を鳴らし、近づいてくる。


 その姿を見て冒険者全員が戦闘態勢に入る。

 剣を構える者。

 魔法の準備をする者。

 アイテムを使おうとする者。

 だが、まだその瞳には驕りがあった。

 集団だから負けるはずがないとでも思っているのだろうか。

 ゴブリンは冒険者を一望して、また独り言を言う。


「フム、これなら三割は出しても楽しめそうダ」


 その瞬間、あらゆる魔法がゴブリンを襲った。

 周囲に爆風が吹く。

 

「やったか!?」

 

 冒険者たちが顔に笑みを浮かべる。

 それも当たり前かもしれない。

 あの攻撃を受けて無傷で済むものなどいない。

 それが、今までの彼らの常識だったのだから。

 だが、そんな常識はゴブリンに通用しない。


 煙の中で現れたのは、無傷のゴブリンだった。

 魔法についてのリアクションも無く、まるで何も無かったかのように、立っていた。

 ゴブリンは嘲笑う。

 圧倒的な上位者としての優越感を。

 そしてこれから起こる蹂躙を想像して。

 

「このクソゴブリンが!」

「死ねッ『火球爆弾(ボンバー)』!」

「補助は任せろ!『全体筋力強化オールストレンジアップ


 あらゆる攻撃を受ける。

 しかし、ゴブリンが来ている鎧は傷一つ付かず、最初に見たままの輝きを保っている。

 それどころか魔力の使い過ぎで、冒険者の方が消耗している。

 それを見てゴブリンは笑う。

 ――完全に遊んでいる。

 冒険者全員が思ったことだ。

 猫じゃらしで猫と遊ぶように、ダンゴムシを転がして遊ぶように、冒険者たちを消耗させて遊んでいる。

 冒険者たちよりも圧倒的に超越しているからこそ、出来る遊びだ。

 つまり、ゴブリンにとって自分たちは遊び相手であること。

 自分たちは飽きたら捨てられるだけの存在であること。

 それが冒険者たちの心とプライドをへし折に来る。

 自分たちの無力感をまざまざと映される。


 しかし、ここで折れるわけにもいかない。

 折れた所で殺されるだけだと知っているからだ。

 だったら抵抗してやる。


 冒険者たちは、決死の覚悟でゴブリンに挑む。

 それで自分たちの生存率が上がるかどうかは知らないが、


「ホウ、面白イ!ならば我が貴様らの死神となろウ!」


 そう言って踏み込む。

 足が大地に食い込み、空気が震える。

 そして大剣と斧の二刀流を構える。


 次の瞬間、ゴブリンが一番近くにいた冒険者を、鎧ごと斧で縦に切り裂いた。

 右半身と左半身に分かれた冒険者は、最後のうめき声をあげて地面に崩れる。

 脳が飛び出し、内臓がはみ出る。

 血が噴水の様に噴き出た後、酸っぱい匂いが充満する。

 多分、胃が切られた時に胃液が飛び出たのだろう。

 その悪臭を嗅いでしまった冒険者は、あまりの惨さに胃液を吐く。

 その様子がさらに恐怖を増大させる。

 恐怖が混乱を生み、混乱が恐怖を生む。

 まさに負のスパイラルとでも言うべきその数秒間は、冒険者たちの中で狂気の種を植えた。

 

「あ、あぁぁ!うわぁぁぁぁぁああ!!!」


 冒険者の一人が背を向けて逃げ出した。

 そいつは一年前にギルドに来た、新米冒険者だった。

 だからこそ、恐怖にはまだ慣れていなかったのかもしれない。

 足をもつらせながら走るその様は、もう誇り高き冒険者の面影はない。

 恐怖が精神を蝕み、顔をくしゃくしゃにして泣き叫ぶ。

 だが、それで逃げられるのなら全員逃げ出している。


 ゴブリンは逃げ出した少年冒険者に狙いを定めたらしい。

 先程と同じように、一瞬で間合いを詰める。

 そして大剣で腹を突き刺す。


「あっ、あああ、ゴフゥッ、いやだぁぁぁあああ!!!」


 ゴブリンは大剣に刺さった新米冒険者を、大剣を上げることで宙に浮かす。

 新米冒険者は手足をバタバタとさせて逃げようとするが、徐々にその動きも鈍くなってくる。

 血液が足りなくなってきたのだ。

 息苦しくなり、視界が霞む。

 ヒューヒューという息も他の冒険者には聞こえなくなった。


 その間に動けた者はいなかった。

 動けなかったのだ。

 自分たちが全力で攻撃しようとも、きっとこのゴブリンは無傷だろう。

 だったら逃げるべきなのかもしれない。

 新米冒険者がその命を弄ばれている間に。

 だが、それでも冒険者は動けなかった。

 例えるならば、蛇に睨まれた蛙。

 頭では逃げようとしても、体が反応しない。

 恐怖によって体の神経が麻痺し、頭だけが思考を続ける。


 ガチガチと歯が鳴り、足が震える。

 息が荒くなり、汗が噴き出る。

 こんな緊急クエストは受けるべきではなかった。

 その日の夜に逃げ出せば良かった。

 たとえ罰則を受けようが、こんな状況になるより何万倍もマシだ。

 だがもう遅い。

 もう死は決定した。

 理不尽なまでに突然に、自分たちは死ぬ羽目になった。

 冒険者たちは、口々に魔物を罵倒する。


「クソォ!この薄汚いゴブリンめ!」

「神の天罰を受けろ!」

「俺たちが死んでも他の冒険者がお前を殺すぞ!」


 しかし、ゴブリンはその言葉に何も感じていないようだ。

 アリに罵倒されても何も感じないのと同じだ。

 むしろ哀れにしか感じない。

 

 ゴブリンは残りの三十三人に向けて大剣と斧を構える。

 そして走り出す。

 衝撃波すら発生させて移動し、まず一人の冒険者を大剣で空中に吹き飛ばす。

 空中に血をまき散らし、赤い雨が降る。

 

 吹き飛ばされた仲間を見ている冒険者を、斧で切りつける。

 首が飛んだ冒険者の顔は、最後まで何が何だかわからない、と言っているようだった。

 

 そして今度は大剣を槍のように投げ、三人を豆腐のように切り裂いた後、岩に突き刺さって止まった。

 空いた手で冒険者の脊髄を引き千切り、投げ飛ばす。

 投げ飛ばされた方向に二人の冒険者がいたので、斧で三人を肉片に変えた。

 

 ここまで八人を殺した。

 ちなみにかかった時間は五秒ちょっとである。

 そして残りは二十五人。

 

 冒険者の足を掴み、こん棒のように振り回す。

 三人の冒険者にぶつけたらぐったりしたので、ポイッと十メートルは投げ飛ばした。

 ぶつかった三人の冒険者は骨が折れたらしく、悶えていた。

 そいつらをそれぞれ足で踏み潰す。

 脳汁がまき散らされる。

 

 次は一人だけだ。

 頭を足で固定し、冒険者の足を引く。

 そうすると腹が引き千切られ、内臓が飛び出た。

 

 今度の冒険者は目を潰す。

 そしたら鼻を取り、耳を千切り、舌を引き抜く。

 ピクピクと痙攣して死んだ。

 

 次はあらかじめ両腕両足の骨を潰しておく。

 さっき殺した冒険者が持っていた、煙幕のような物を使う。

 それを口に入れると、体中の穴と言う穴から白い煙が噴き出し、蒸気機関車みたいになった。

 そのまま窒息して死んだ。

 

 今度は頭を掴み、地面に擦り付ける。

 そうすると顔が地面で擦れ、血だらけになった。

 そのまま地面に顔を叩きつけて殺した。

 

 残りは十七人、そろそろ飽きてきた。

 十人同時にやろう。

 

 足を潰し、重ねる。

 そして岩に突き刺さった大剣を抜き、重なった十人の身体を地面ごと突く。

 突く、突く、突く、突く、突く、突く。

 ドス、ドス、ドス、ドス、ドス、ドス。

 十人は身体をめった刺しにされて死んだ。

 

 残り七人、どうしようか。

 冒険者の頭を鷲掴みにする。

 そして力をかけ、頭を潰す。

 

 今度は歯を抜く。

 そして爪を抜き、毛を抜き、指を抜く。

 そいつは痛みで死んだ。

 

 最後は五人全員でやろう。

 五人を五十メートル投げ飛ばし、魔法を発動する。

 火炎魔法『花火(ファイアーフラワー)』、これで五人を爆散させる。


「フッ、汚い花火ダ」


 ゴブリンは自らの主が、「これ使ったら必ず言ってね!」と言われていた言葉を言った。

 意味はよく分からないが、自らの主がしろと言うのだから、疑問などない。

 ゴブリンの周囲には、数分前まで生きていた、冒険者三十五人の肉片と血が散らばっていた。





 うん、めちゃくちゃ強かったね。

 正直ここまで強くなるとは思ってなかったよ。

 でも嬉しい誤算だ。

 僕の忠誠心も最大レベルだ。

 やっぱ、魔王の配下とか燃えるね!

 

『シャドウ・ゴブリンナイト LV300 名前:ナイト

 体力:20000/20000

 魔力:10000/10000

 筋力:10000

 防御:10000(20000)

 俊敏:8000

 耐性:8000

 運:1000

 スキル 

 「忠誠心LV9」「魔王の眷属LV9」「火炎魔法LV9」

 「高速思考LV9」「恐怖無効LV9」「毒、麻痺耐性LV9」

 「遠見LV9」「鉄壁LV9」「疲労無効LV9」

 「超回復LV9」「魔法耐性LV9」「魔力感知LV9」

 「隠密LV9」「高速移動LV9」「投擲LV9」

 「第六感LV9」「魔物避けLV9」「威圧LV9」』


 いくつか初めて見るスキルがあるけど、その前にコイツ自身の事について話そう。


 僕が魔王を倒した後に、グロウススライムと言う魔物から『増殖分身』と言うスキルを奪った。

 この『分身増殖』、調べてみると『自分の魔力とスキルを注ぐほど、強い分身を生み出す』スキルだったのだ。

 それを使い、作り出したのが『シャドウ・ゴブリンナイト』だ。

 といってもこのスキルは結構体力も消耗するし、疲れるので乱発はできない。

 注げる魔力とスキルにも上限があるしね。

 ただし、このスキルは僕と相性がいい。

 何故なら僕にはスキルを奪う『奪取の魔王』がある。

 スキルをどれほど注ごうが、他の魔物から簡単に奪えるのだ。

 ちょろい。


 つまり、こいつは僕が作った分身体とでも思ってくれれば大丈夫だ。

 ただし感情もある、つまり自我がある。

 僕に忠誠を誓っていることは変わらないけど。

 命令した事しかしない人形よりは良いかもしれないけど、勝手に虐殺とかしないか心配なんだよなぁ。

 一応、正当防衛でしか攻撃しちゃだめって言ってあるけど、あれはどう見たって虐殺だ。

 まぁ、今回に限ってはそれが正解なんだけどね。

 冒険者たちは僕たちを殺しに来るんだ。

 僕達が冒険者を殺したって、罪悪感なんて微塵もないね。


 ちなみに『魔王の眷属』は、僕とだけ念話とスキル譲渡が出来るスキルだと思ってくれればいい。

 互いに相手の状態が分かるってのは、結構便利だ。


 そして『忠誠心』これは僕の忠誠心が高いほど、基本ステータスが上昇するスキルだ。

 まさに騎士(ナイト)のようなスキルだね。

 

 じゃ、他の二つの部隊も殲滅しようか。

 準備はいい?シロネ。


「はい、準備ばっちりです!」

『ゴーゴー虐殺♪』

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