魔王誕生
声が聞こえてきた。
『個体名:アキカゲの魔王化を開始します』
身体の奥底から、力が溢れだす。
レベルアップの時に感じる心地よさとは、また違う。
生まれ変わる感覚がする。
『個体名:アキカゲを魔王化するにあたり、ステータスとスキルを変質させます』
『個体名;アキカゲに運以外の全ステータスを+五千します』
『所持スキルを個体名:アキカゲに適応させるため統合と改造をします』
『大地魔法と火炎魔法、水魔法、暴風魔法、雷電魔法、氷結魔法を統合します』
『自然魔法を取得しました』
『虫系魔物殺しと飛行系魔物殺し、獣系魔物殺しを統合します』
『魔物殺しを取得しました』
『物魔耐性と硬化、鉄壁、我慢を統合します』
『魔鋼鎧を取得しました』
『集団行動と思念伝達、指揮、高速思考、平常心を統合します』
『高速演算を取得しました』
『毒、麻痺、恐怖耐性と抗体を統合します』
『状態異常耐性を取得しました』
『奪取の魔気を改造します』
『奪取の魔王を取得しました』
『経験値が上限に達しました。シャドウ亜種がLV310からLV500になりました』
『各種ステータスが上昇しました』
『レベルアップボーナスとしてスキル経験値を獲得しました』
『種族名:シャドウ亜種 魔王個体 LV500 名前:アキカゲ
体力:10000/10000
魔力:10000/10000
筋力:10000(20000)
防御:10000(100000)
俊敏:10000(100000)
耐性:10000
運:500(1000)
スキル
「鑑定LV9」「奪取の魔王LV9」「ソニックスターLV9」
「超感覚LV9」「炎噴射LV9」「超音波LV9」
「吸血牙LV9」「第六感LV9」「高速魔力回復LV9」
「回復魔法LV9」「怪力LV9」「高速体力回復LV9」
「弓術LV9」「強化魔法LV9」「召喚魔法LV9」
「威圧LV9」「飛翔LV9」「擬態LV9」
「仮眠LV9」「幸運LV9」「暗殺LV9」
「自然魔法LV9」「魔物殺しLV9」「魔鋼鎧LV9」
「高速演算LV9」「状態異常耐性LV9」「魔闘術LV9」
「闇魔法LV9」「スキル譲渡LV9」「空間魔法LV9」』
うわっ。
いきなりたくさんの情報が送られてきた。
でも前みたいに苦しくない。
すらすらと理解できる。
何で?
……もしかしたら『高速演算』のせいかな?
だったらものすごい事になる。
あの量を一瞬で理解する事が余裕なんだよ?
どんだけ頭良くなっちゃったの僕。
どっちかっていうと前世の方で欲しかったな~。
テストとか勉強しなくても、百点確定だね。
そんなことを考えていたら、グイッと引き戻される感覚があった。
そうだ、魔王の魂(?)がシロネに憑依したんだ。
まったく。
面倒くさい事になった。
シロネを人質にしなけりゃいいけど。
そんなことを考えながら、僕は目を覚ました。
目を覚ました僕は、一気に立ち上がった。
そしてシロネを見る。
さっきと変わらず、白い少女のままだった。
少女っていうか、美少女だ。
魔王と瓜二つの。
僕は警戒する。
だってまだ魔王が魂となって生きているからだ。
今度はシロネの身体でバトルってこともあり得る。
そうなったら厄介だ。
シロネの身体を傷つけるわけにもいかない。
僕がどうするか迷っていると、シロネ(?)が話しかけてきた。
「アキカゲさん?何で構えるんですか?私です!シロネですよ!」
その顔は本当に驚いているようだ。
『第六感』にも反応しないってことは、嘘を言っているようにも見えない。
ってことは本当にシロネ?
『本当だよ~♪』
おわっ!
魔王の声が来た!
これは『念話』で来てるのかな?
じゃあやっぱり魔王がシロネの中にいるの?
「はい、私が魔王を受け入れたんです」
魔王を受け入れた?
憑依されたんじゃなくて?
「取引したんです。魔王さんに身体を貸す代わりに、力を分け与えてくれるって……」
『そーそー!それに憑依と言っても、相手の合意無しじゃ乗っ取れないしね」
結構条件きついんだね。
というか、憑依のスキルなんてあったっけ?
あったとしても僕に奪取されたはずなんだけど?
『スキルじゃなくて、そういう魔法道具があるの。憑依の丸薬っていう道具……というか食べ物?なんだけど、一日以内に食べた二人の内、一人が死ぬともう一人の方に憑依できるんだよ。もちろん両者の合意が無かったら憑依出来ないんだけどね』
めちゃくちゃ厳しい条件だね。
つまり、身体の支配権はシロネにあるってことか。
それなら安心安心……するわけないでしょ!
だって魔王がシロネの中にいるんだよ?
いくら倒したって言っても、安心できるわけがない。
というか、何でシロネの身体に憑依したの?
『いや~最初は死ぬつもりだったんだけど、ネズミちゃんを連れてってから君の今後が見たくなってね、だからかな?』
つまり、僕の監視をしたいってこと?
『監視っていうか観察?とにかくもっと君のやる事を見てみたいんだよ♪』
ものすごく迷惑!
……って言っても、シロネの身体から出ていくつもりは無いんだね?
『この子が出て行けって言うのなら話は別だけど?』
「でも、私はもっと強くなりたいんです!アキカゲさんの役に立つために!」
シロネもシロネで頑固だなぁ。
嬉しくないわけないけど、危なっかしいし。
無理はしないでね?
「はい!私は大丈夫です!」
それならいいけど、危ない事になったら僕を頼るんだよ?
「もちろんです!」
あと魔王。
シロネに何かしたら承知しないよ?
『ハイハーイ!』
本当に大丈夫なんだろうか……。
とにかく、魔王がシロネの身体に憑依(?)した。
『あ、アキ君、私も名前が欲しいんだ!』
名前?
なんで?
『だって魔王じゃ不便でしょ?アキ君も魔王なんだし』
あーそっか。
だったらそうだなぁ……。
じゃ、黒子でいこうか。
シロネと反対ってことでね。
『クロネかぁ、うん!気に入ったよ!』
そりゃよかったよ。
気に入らなくってもそう呼ぶけどね。
というか、魔王になったらどうすればいいんだろう?
まずは安全な所に行くかなぁ。
……安全な所ってどこだよ!
とにかく外の情報がない。
クロネに聞いてみても、数百年間『魔の森』に引きこもってるせいで、外についてはほとんど何も知らないらしい。
しかも、魔物と人類の敵なのだ。
その頂点たる魔王が、人類と仲良く出来るわけが無い。
一応僕は人の形をしているけど、ステータスを見られれば魔王だと分かってしまう。
鑑定スキルを持っている人間に会わないとも限らないし、人間の町に行くのはよした方が良さそうだ。
つまり、ここくらいしか安全な場所は無いってことだ。
でもなぁ……。
ここで百万年過ごせるほど僕は忍耐が無い。
絶対に発狂する。
となると、やっぱり外には行きたい。
どうするべきかなぁ……。
『じゃあ、侵略でもしちゃえば?』
え?
そんな軽く言っちゃう?
ってか出来るのそんなこと。
『私たちなら出来る出来る!』
お前絶対面白がってるだろ!
全く、すぐに物騒な話になるんだからなぁ。
でも侵略ねぇ……。
二人(クロネも入れると三人)でそんな事出来るわけないよ。
シロネも嫌だよね、侵略なんて。
「いいえ?アキカゲさんの意思なら、それに従いますよ?」
意外と積極的!?
で、でも人手とか足りないし~。
『そんなの、作っちゃえばいいじゃん!』
作る?
作るって、人手を?
ゴーレムってこと?
『ゴーレムじゃなくて、自分の配下だよ!』
配下?
まさか魔物を作るなんて言うんじゃないだろうね?
僕がそんなスキル持ってるわけないじゃん。
『スキルなんて奪えばいいでしょ?』
……いやいや、そんなスキル持ってる奴なんてそうそういるわけ……。
『この近くにグロウススライムっていうのがいるんだけど、そいつが増殖するスキルとか持ってたな~』
わかったよ!
やりゃいいんでしょ!
ただし、配下を作るだけだからね!
『自分でもワクワクしてるくせに!』
だまらっしゃい!
とにかくこのあたりの魔物は全員奪ってやる!
首を洗って待ってろ魔物共!
次回は五月二日予定です。




