中心部攻略(前編)
また、夢を見ていた。
今度は公園のベンチに座って、ニージイと話している。
僕が話しかけた。
今思えば、少し不謹慎だったかもしれない。
「ねえ、ニージイってさ……」
「ん?なんじゃ?」
「なんでホームレスになったの?」
その時、ニージイは一瞬だけ悲しそうな顔をした。
しまった。
怒らせてしまっただろうか。
でも、ニージイはすぐに笑顔になり話した。
「ああ、実はワシって結構有名な大学を出てるんじゃよ」
そのことにはあまり驚かなかった。
宿題をニージイに見せた時も、三桁の掛け算を一瞬で解いた。
本当に一瞬過ぎて呆気にとられた程だ。
だからニージイは結構頭がいいことは知っていた。
僕が知りたいのは、何で頭がいいのにホームレスをやっているかだ。
ニージイが続きを話す。
「それである会社に勤めていたんじゃ。
ほれ、一度は聞いたことがあるじゃろ?
――社じゃ」
その事にはさすがに驚いた。
だって、子供の僕でも知ってるくらいの大企業なんだから。
日本でも一、二を争う知名度で、海外でも大成功を収めてるとか。
「そんな人が何でホームレスに?」
「……横領じゃよ。
会社のお金を持ち出したと疑われたんじゃ」
「お金を盗んだの?」
「いや、盗んでない。
しかしワシは同年代より出世していてな。
皆から疎まれていたんじゃ。
それにワシの実家は貧乏でな。
ワシは罠にはまり、会社を辞めさせられた。
それからもこの犯罪が後を引いて、就職が出来なかった。
それでこのザマじゃよ」
気まずかった。
沈黙が空気を支配した。
「そ、それじゃ!」
僕は早くこの空気を抜け出したくて、走って帰ってしまった。
この後、二度と会えないとも知らずに。
痛い。
頭が痛い。
きっと、急激にレベルアップした反動だろう。
僕は目を覚ました。
そこには僕が倒れる前と同じ状況だった。
という事は、僕が倒れてからそんなに時間は経ってないのかな?
でも何かがおかしい。
周りをよく見ると、直径一メートルほどの魔法陣があった。
なんか怪しいけど試しに触れてみる。
触れた瞬間、青白い光が浮かび上がる。
そして光はパソコンのディスプレイみたいになった。
そこには肌以外の全てが黒いゴスロリ(?)少女がいた。
『ハローハローアキ君!
私は魔王、この森を作った者だよ!
君のネズミ君は預かっといたよ~、助けたかったら私の家まで来てね~!
ほらほら、囚われのお姫様を助けて魔王を倒すのは、王子様の仕事でしょ~!
ってことで、私を倒すのは君しかいない!
十分強くなってきたら来てね~♪』
僕は魔法陣を踏みつけた。
ステータスが上がったせいか、少し地面が沈んだ。
それでも僕は踏み潰し続ける。
ああ、こん畜生。
ロードタイガーを倒したと思ったらこれかよ!
どんだけ僕の人生ハードモードなんだよ!
むしゃくしゃする。
あの夢のせいで余計にむしゃくしゃする。
ああ、こんちくしょう。
だったらやってやろうじゃないか。
魔王の手のひらで踊ってやるよ。
ただし覚悟しとけよ?
僕の踊りはイガグリ級だぞ。
魔王程度の手のひらなんてズタズタにしてやる。
まずは、中心部の魔物を狩らないとね。
待ってろよ魔王。
必ずシロネを取り戻してやる。
森の中心部を目指して進む。
そこは大きい木が生い茂っていた。
木の葉で太陽の光が隠れている。
つまり、とにかく暗かった。
だけど『超感覚』で暗くてもよく見える。
その時、物音がした。
僕は警戒を最大限に高めた。
『超感覚』によって敵の姿がはっきりする。
……て、おいおい。
少なくとも百匹以上いるよ?
『種族:エレメントバット LV150
体力:200/200
魔力:1500/1500
筋力:200
防御:200
俊敏:1000
耐性:200
運:100
スキル
「吸血LV9」「集団行動LV9」「思念伝達LV9」「超音波LV8」
「火魔法LV7」「水魔法LV6」「土魔法LV 5」「風魔法LV4」』
他の奴らも同じようだった。
なるほど、コウモリなら暗くても生活できる。
そしてまずいことに、あいつらも僕に気が付いた。
一瞬の膠着状態の後、エレメントバットは一斉に魔法を放ってきた
火の玉、
水の弾、
土の壁、
風の刃、
四方八方から四属性の魔法が迫る。
以前の僕だったらここでゲームオーバーだっただろう。
以前の僕だったらね。
『トリックスター』の効果で僕の俊敏値は5000、エレメントバットの五倍だ。
あーんど『トリックスター』のもう一つの効果で、僕は瞬間移動ができる。
そして『超感覚』、これで僕の反応速度は何百倍まで引き延ばせる。
そうなったらどうなるかな?
モチのロン!
魔法なんて止まって見えるぜ!
僕は魔法を紙一重で避けまくる。
しかし、避けるだけじゃジリ貧だ。
同士討ちを誘うにも、『集団行動』と『思念伝達』の見事なチームワークで攻撃してくる。
今は避けられるが、エレメントバットもバカじゃない。
僕の退路をどんどん絶っていくだろう。
つまり戦闘が長引くほど不利ってことだ。
だったら一気に勝負を決める!
大地魔法『大地ノ壁』!
僕の半径十メートルの土が一気に突き上がる。
コロッセオ型ってやつかな?
これで僕の近くにいたエレメンタルバットだけを閉じ込めた。
そして次は、
『炎噴射』!
凄まじい炎がエレメントバットを襲う。
逃げようとしても、壁が邪魔で逃げられない。
逃げ場をなくしたエレメントバットは、悲鳴を上げながら次々と炎の犠牲になっていった。
壁の中にいるエレメントバットはすべて灰になった。
『経験値が上限に達しました。シャドウ亜種がLV100からLV120になりました』
だけどまだ終わらない。
壁の外にもエレメントバットがたくさんいる。
今倒したのは十体ほどだ。
証拠に、壁を外から攻撃する魔法の弾幕は緩んでいない。
だけど、そんなことは想定内だ。
大地魔法『大地ノ穴』!
僕の立っていた地面が数メートルの穴になる。
そんなに連続で使っていいのか分からないけど、そんなに疲れないのだからいいのだろう。
もしかしたら大地魔法がレベル九だから、消費魔力が少ないのかもしれない。
だったらバンバン使ってやる。
どうせレベルアップしたら魔力も全快するんだ。
『大地ノ穴』を今度は斜め上の向かって発動。
僕は地中から出る。
エレメントバットたちは僕に気付いて無いようで、まだ壁に向かって攻撃している。
さぁ、実験の開始だ。
大地魔法『大地ノ壁』でもう一度敵を分断。
僕は全身を『奪取の魔気』で魔力化する。
それによって僕は黒い煙のようになる。
この状態になると、物理攻撃のほとんどを無効化できる。
何故か魔法は無効化できないんだよね~。
あ、僕が魔力だからか。
ま、そんなことは関係ない。
僕は一気に魔力を放出させる。
辺りが黒に染まる。
そしてスキルと体力と魔力を奪取する。
ただし、一度に一匹しか奪取できない。
そう、これが一見無敵に見える『奪取の魔気』の弱点。
どれだけ魔力をまき散らしても、一度に一匹しか奪取できないのだ。
集団で攻めて来られたりしたらたまらない。
でも大地魔法で敵を分断させれば、一対一で戦闘できる。
そんじゃ、ボチボチ奪取しましょうか。
エレメントバットが魔法を放つけど、そんなの見なくても避けられる。
黒い魔力がエレメントバットを包む。
悲鳴が聞こえるけど、構わず奪取する。
……
よし、全部奪取した。
そんじゃ残りもこんな感じで行こうか。
数十分後、そこには僕だけが立っていた。
『奪取したスキルを個体名:アキカゲに適合させるため統合と改造をします』
『鋭牙と吸血を統合しました』
『吸血牙を取得しました』
『大地魔法と土魔法を統合しました』
『大地魔法を取得しました』
『飛行系魔物殺しを取得しました』
『種族:シャドウ亜種 LV200 名前:アキカゲ
体力:1005/1005
魔力:1005/1005
筋力:1000
防御:1000
俊敏:1000(10000)
耐性:1000
運:210
スキル
「鑑定LV9」「奪取の魔気LV9」「トリックスターLV9」「物魔耐性LV9」
「虫系魔物殺しLV9」「毒、麻痺、恐怖耐性LV9」「超感覚LV9」
「大地魔法LV9」「炎噴射LV9」「硬化LV9」「集団行動LV9」
「思念伝達LV9」「超音波LV9」「吸血牙LV9」「火魔法LV9」
「水魔法LV9」「風魔法LV9」「飛行系魔物殺しLV9」「威圧LV9」』
また強くなったけど、まだまだ足りない。
もっと強くならないと。
少なくともスキル無しでロードタイガーと戦えるぐらいにはなってやる。
僕の中心部攻略はまだまだ続く。
そこは木が無くて拓けていた。
今度はなぜか家が十件ぐらい建っていた。
家と言っても原始人が住んでるような家だ。
うん、まごう事無き家だね。
ただし、でかい。
このでかさだと住んでる人三メートルはあるよ?
とか思ってたら家からなんか見られた。
あれは……ゴブリンってやつ?
ただし三メートル近くある。
マジででかい。
あ、目が合った。
そしたら奴が大声出して―。
なんか大急ぎで家に入ってー。
出て来たら武器とか持ってて―。
襲ってキタァァァァァ!!!
『ゴブリンウィザード LV200
体力:500/500
魔力:5000/5000
筋力:500
防御:500
俊敏:500
耐性:2000
運:100
スキル
「高速魔力回復LV9」「火炎魔法LV9」「氷結魔法LV9」「暴風魔法LV9」
「回復魔法LV5」「雷電魔法LV5」』
『ゴブリンウォーリア LV200
体力:5000/5000
魔力:500/500
筋力:3000(6000)
防御:3000(6000)
俊敏:300
耐性:300
運:100
スキル
「高速体力回復LV9」「鉄壁LV9」「怪力LV9」』
『ゴブリンアーチャー LV200
体力:800/800
魔力:800/800
筋力:800
防御:800
俊敏:8000
耐性:1000
運:100
スキル
「弓術LV9」「遠見LV9」「集中LV9」「気配感知LV5」』
『ゴブリンジェネラル LV200
体力:1000/1000
魔力:1000/1000
筋力:1000
防御:1000
俊敏:1000
耐性:1000
運:1000
スキル
「指揮LV9」「強化魔法LV9」「召喚魔法LV9」「高速思考LV5」』
ゴブリンジェネラル以外のゴブリンは三匹ずついる。
つまり十匹のゴブリンだ。
それが一気に襲ってきた。
どうする?
まずはスキル奪取するのが一番の目的だ。
そして効率よく敵を倒すには……
ゴブリンウィザードから奪取する!
超音波で敵を怯ませる。
ゴブリンたちが耳をふさいでいる間に、右腕を魔力化。
そして一匹のゴブリンウィザードから奪取する。
これで九匹、そしてスキルゲット!
ゴブリンウォーリアが大剣で切りかかってくる。
でもそれが一番無駄なんだよね~。
全身を魔力化して剣をすり抜ける。
そして炎噴射!
「ブモォォォオオオ!!!」
よし、効いてる。
だけど連発はできない。
だってあと二匹のゴブリンウィザードが魔法を放ってきたんだから。
この状態でも魔法は食らってしまう。
いったん離脱する。
その間にゴブリンジェネラルが召喚魔法を行う。
そして赤い犬を召喚した。
更に増援が来てしまったのだ。
ゴブリンウォーリアもゴブリンウィザードの回復魔法で完全回復していた。
ウォーリアが盾と剣。
ウィザードが魔法。
アーチャーが弓。
そしてジェネラルが指揮と増援。
実にバランスが良い。
ただし、僕からしてみればウォーリアは雑魚と言ってもいい。
だって攻撃が効かないんだからね。
同じ理由でアーチャーも雑魚。
ただしウィザードは危ない。
僕は魔法まで無効化できない。
物魔耐性もあるけど、ここで試すほど僕は肝が据わってない。
当たらなければどうという事もない!ってやつだ。
しかも回復魔法までする。
ジェネラルも注意だ。
ウィザードを強化されたりしたら厄介だし、きっと僕が物理が効かない事もさっき剣をすり抜けて分かっただろう。
つまり、ウィザードが一番ヤヴァイ。
ジェネラルは注意。
ウォーリアとアーチャーは無視。
「なぁんだ、結構簡単じゃん」
『大地ノ壁』でウィザードだけを分断。
雷電魔法『落雷』でウィザードの一匹を倒す。
そしてもう一匹は奪取する。
これで魔力は完全回復。
そしてジェネラルに向けて火炎魔法『獄炎』!
赤い犬が邪魔したけど、そんなの関係なしに炎が襲う。
赤い犬はそのまま灰になり、ジェネラルは所々に火傷を負った
おっと危ない、うっかり殺しちゃうところだった。
ジェネラスから奪取。
アーチャーが邪魔するけど矢はすり抜ける。
全く効果がない。
そんじゃ、あとはウォーリア―とアーチャーだけだ。
よし、もう楽勝だね。
全身を魔力化し、全員から奪取する。
抵抗はしたけどそんなの無駄無駄無駄ぁ!
そしてそこには、また僕だけが残った。
『奪取したスキルを個体名:アキカゲに適合させるため統合と改造をします』
『火炎魔法と火魔法を統合しました』
『火炎魔法を取得しました』
『暴風魔法と風魔法を統合しました』
『暴風魔法を取得しました』
『超感覚と遠見、集中、気配感知を統合しました』
『統合したスキルを改造します』
『超感覚と第六感を取得しました』
『種族名:シャドウ亜種 LV250 名前:アキカゲ
体力:1255/1255
魔力:1255/1255
筋力:1250(2500)
防御:1250(2500)
俊敏:1250(12500)
耐性:1250
運:260
スキル
「鑑定LV9」「奪取の魔気LV9」「トリックスターLV9」「物魔耐性LV9」
「虫系魔物殺しLV9」「毒、麻痺、恐怖耐性LV9」「超感覚LV9」
「大地魔法LV9」「炎噴射LV9」「硬化LV9」「集団行動LV9」
「思念伝達LV9」「超音波LV9」「吸血牙LV9」「火炎魔法LV9」
「水魔法LV9」「暴風魔法LV9」「飛行系魔物殺しLV9」「第六感LV9」
「高速魔力回復LV9」「回復魔法LV9」「雷電魔法LV9」「鉄壁LV9」
「怪力LV9」「高速体力回復LV9」「弓術LV9」「指揮LV9」
「強化魔法LV9」「召喚魔法LV9」「高速思考LV9」「威圧LV9」』
『怪力:筋力値が二倍になる』
『鉄壁:防御値が二倍になる』




