表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シャドウの異世界魔王道  作者: river
魔王誕生編
14/28

魔王襲来?

 

 シロネは目の前に起こった事に、唯々驚愕していた。


 いったい何が起こってるのだろうか?

 

 はじめは小さい息が聞こえただけだった。

 無視してもいいけど、この時何かイヤな予感がしたからアキカゲさんに伝えた。

 アキカゲさんは気にしなかったけど、やっぱり何かおかしい。


「グルルル」


 身体が硬直した。

 声のした方向を見れない。

 見たら死んでしまう気がした。

 息が出来なくなってしまう。

 

 私は他の皆よりも多く危険にあってきた。

 だからこそ、危険には耐性が付いたつもりでいた。

 

 認識が甘かった。

 調子に乗っていた。

 天狗になっていた。


 私は声の主を見る。

 見た事もない魔物だった。

 それはつまり、私が住んでいた所よりも中心にいる魔物という事になる。

 中心部の魔物。


 ああ、終わった。

 私たちが中心部の魔物に勝てるわけがない。

 

 魔物が口を開く。

 アキカゲさんが私の前に立った。

 やっぱりアキカゲさんは優しい。

 場違いだけど、思わずにやけてしまう。

 でも、意味なんてない。


 衝撃。


 その瞬間、私は気絶した。





 目を覚ました私は、魔物がアキカゲさんに近づいてくる様子が見えた。

 声が出ない。

 手を伸ばそうとしても届かない。


 アキカゲさんから黒い煙が噴き出る。

 私は何度も見た事がある。

 あらゆる物質を腐らせる煙だ。

 

 あれでたくさんの魔物を倒してきた。

 それを見ると、アキカゲさんの思い出が蘇ってくる。 

 

 私は知っている。

 自分もおなかが空いてるのに、私の方にお肉を多く渡していたことを。

 自分も辛いのに、私を笑わそうと一生懸命ふざけたこと。

 そして、なるべく私を戦わせようとしなかったこと。

 なのに私の意見を尊重してくれたこと。

 家族にもこんなに優しくされた事がないのに、アキカゲさんは私にこんなに優しくしてくれた。


 私が殺されたっていい。

 どうせアキカゲさんがいなかったら死んでたんだ。

 でもアキカゲさんを殺させたくない。

 アキカゲさんだけは生きててほしい。


 なのに身体が動かない。

 どうやら骨が何本か折れてしまったらしい。

 痛みがないのが幸いだった。


 情けない。

 本当に情けない。

 目の前にいる仲間の身代わりすら出来ない。

 

 この間にも、魔物はアキカゲさんに近づいてくる。

 あの黒い煙も、腐れせた瞬間に治癒してしまう。

 アキカゲさんが死ぬ。

 

 いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!いやだ!


 その時、世界が黒く染まった。

 いったい何があったのか分からない。

 でも、何かあったのは分かった。


「やぁ、ちょっとだけ待っててね。すぐに終わるから」


 アキカゲさんの声がした。

 その声に安心する。

 よかった。

 死んでなかったんだ。


 でもどうやったらあの魔物を倒すのだろう。


「ガァァァァアアアアアア!!!」


 それはさっきまでの魔物の声じゃなかった。

 いや、魔物の声は一緒だ。

 だけど咆哮じゃなかった。

 悲鳴だった。


 その声に、私は驚くよりも安心した。

 アキカゲさんが勝っていると分かったからだ。

 

 黒が晴れていく。


 そこには一人の人間がいた。

 だけど私はなぜか分かった。

 あれはアキカゲさんだと。


「……なるほどね、こういう風にも使えるのか。便利だね~」


 そこからは早かった。

 魔物が逃げようとした。

 だけど何故か動けないようだった。


 魔物が黒く染まっていく。

 魔物が黒くなるごとに、何故か魔物が弱くなっていく気がした。

 逆にアキカゲさんが強くなっていく。


 そして魔物がすべて黒くなった時、灰のように崩れて消えていった。


 アキカゲさんが勝ったんだ。

 その事実に、私の心は歓喜で満たされた。


 しかし、アキカゲさんは少し直立した後、突然倒れた。

 私はアキカゲさんの近くに寄ろうとした。

 その時、空間が割れた(・・・・・・)

 そして割れた空間から、一人の少女が飛び出してきた。


 人間?

 いや、姿は人間だけど中身が違う。

 冒険者とは違う雰囲気がある。

 

 聞いたことがある。

 魔物の中には人間の姿になる者がいるって。

 そして、その魔物は例外なく規格外な強さを持っていると。

 それが魔王。

 魔族の頂点。


 まさかその魔王?

 だけど、殺意も敵意は感じない。


「アハハハッ、やっぱりアキ君はおもしろーい!」


 その少女は黒かった。

 肌と白目以外の全てが黒かった。

 その黒が、日焼けなどした事がありません!とでもいうような白い肌を、いっそう目立たせている。


 その少女はアキカゲさんの顔を覗き込み――

 ――頬にキスした!?


「ホワァァァァ!!!???」


 思わず変な声を出してしまった。

 でもそのくらい衝撃的だった。

 自分ではわからないけど、多分顔が赤くなってるだろう。

 というか湯気が出ている。


「あ、ネズミちゃん!突然だけど誘拐するね!」


 ヒョイッ


 ……は?

 今なんて言ったの?

 

 黒い少女は私の反応に何も興味が無いらしく、作業のように私を掴んだ。

 手足をバタバタとして抵抗するが、まったく歯が立たない。

 少女はそのまま笑顔で割れた空間に入った。

 私もそのまま割れた空間に入ってしまう。


 ちょ!なにこれぇぇぇぇぇええ!!!


 私の叫びもむなしく、割れた空間は閉じていった。

というワケで、シロネが魔王に誘拐されました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ