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シャドウの異世界魔王道  作者: river
魔王誕生編
11/28

窮鼠の代わりに影が虎を噛む(前編)

 

 連続レベルアップをした僕たちは、洞窟へ帰るために森を歩いていた。

 いや~今日は大収穫だったよ。

 レベルが一気に六まで上がったし、スキルも増えた。


 これならもう少しレベルが上がったら、森の端に行ってもいいかもしれないね。

 そうすれば、冒険者もいるけど危険な魔物がいない所で暮らせる。

 

 ――この時、僕は油断していた。

 そりゃそうかもしれない。

 仲間が出来た。

 レベルが上がった。

 強くなったつもりでいた。

 だからこそ、こうなるのはある意味必然なのかもしれない。


 最初の異変に気付いたのはシロネだった。


『……なんか聞こえませんか?』


 え?

 何か聞こえた?


『はい、息みたいなものが……』


 息?

 そんなの何も……


「グルルル」


 途端に悪寒が走った。

 鑑定しなくても分かる。

 あいつはやばい。

 絶対に勝てない。

 勝てるビジョンが浮かばない。


 レベルアップしてちょっと喜んだらこれかよ。

 実は誰かが見てて、面白そうだから投下してみました~、みたいな?

 運命が邪魔してるとしか思えない。


 とりあえず鑑定してみる。


『種族:ロードタイガー LV300 

 体力:8000/8000

 魔力:8000/8000

 筋力:10000

 俊敏:9000

 耐性:5000

 運:100

 スキル

 「虎の王LV9」「王の威圧LV9」「炎纏LV9」「物理耐性LV9」

 「魔法耐性LV9」「魔力感知LV9」「咆哮LV8」「隠密LV8」

 「熱感知LV8」「暗視LV7」「回避LV6」「俊足LV6」

 「大地魔法LV5」「鋭牙LV5」「嗅覚強化LV4」「縮地LV3」

 「硬化LV2」「跳躍LV2」「毒、麻痺、恐怖耐性LV1」「威圧LV1」』


 はっはっは。

 ムリゲー過ぎて笑っちゃうよ。

 なんだよこれ。

 筋力が一万とかふざけてるの?

 

 こりゃ敵わない。

 逃げようにもすぐに追いつかれるだろう。

 そして一瞬で殺される。

 気付かれた時点で終わりだ。 

 

 といっても、あいつには魔力感知と熱感知がある。

 隠れても無駄だ。


 あれ?

 これもしかして積んだ?


 いや、まだ希望はある。

 あいつは今満腹で見逃してくれるかもしれない。

 それに賭けるしかない。


 ロードタイガーと目が合った。


 ま、そんなはずないよね。

 わかってたよ。


 体が動かない。

 声が出ない。

 目をそらすと、シロネも同じような状況になっていた。


 そりゃそうだ。

 むしろ失神しなかっただけでも拍手したいよ。

 体は動かないけど。


 ロードタイガーが一歩踏み出す。

 それだけで地面が抉れる。

 そして口を開く。

 鋭い牙が見えた。

 

 僕は咄嗟にシロネの前に立つ。

 ここでやっと恐怖耐性が効果を発揮したらしい。

 だけどもう意味はない。

 

 その時、時間が止まった気がした。


「ガァァァァアアアアアア!!!」


 爆音、いや轟音の咆哮をロードタイガーが放つ。

 

 辺りの地面が一斉に吹き飛ぶ。

 風と砂煙が竜巻のように風立つ。

 衝撃波で木が折れる。


 案の定、僕たちも宙に舞った。

 青い空と地面が交互に見える。

 他にもいろいろな物が空を飛んでいた。

 一瞬だけ、鳥になった気がした。


 もちろんそのまま鳥になるわけがない。

 重力に従って地面へ落ちる。

 そのまま地面に叩きつけられた。

 

 ドンッ!


 痛い。

 めちゃくちゃ痛い。

 でも痛いと叫ぶ声すら出ない。 

 

 立ち上がろうとしても体が動かない。

 僕は身体を見る。

 それでやっとわかった。

 今度は恐怖で体が動かないんじゃ無いってことを。


 僕の下半身は無くなっていた。

 おいおい。

 また体がバイバイしちゃったよ。

 

 シロネはどうなったんだ?

 周りを見る。

 五メートルくらい先にいた。

 よかった。

 多少の傷はあるけど、呼吸している。

 

 這いずってシロネの所まで行く。

 どうやら意識は無いらしい。

 衝撃で意識を飛ばしたのかな?

 

 僕はシロネを掴んで、草むらまで投げる。

 運が良かったら見逃がすかもしれない。

 確率は低いけど、何もしないよりはマシだ。


 後ろからロードタイガーが近づく。

 死が近づく。

 

『あ……が……』


 どうやらシロネの意識が戻ったみたいだ。

 だったら早く逃げな。

 僕が何とか時間を稼ぐから。

 

 腐蝕の霧、全力発動!


 黒い霧が辺りを包む。 

 どうやら、スキルのレベルが上がったことで効果範囲が上がったらしい。

 好都合だ。

 腐蝕の霧をロードタイガーにぶつける。

 ロードタイガーが黒く染まる。


 やったか?

 僕の腐蝕の霧は防御を貫通する。

 だったらいけるかもしれない。

 

 いや、ダメだった。

 全く効いていない。

 正確に言えば、腐蝕した途端に治癒している。

 何それチートだよ、チート。


 あーコンチクショウ。

 理不尽過ぎて笑えてきたよ。

 だけどまだ抵抗する。


 僕が時間を稼げば稼ぐほど、シロネの逃げる時間が稼げる。

 

 なんでそこまでシロネを守ろうとするかって?

 そんなの決まってる。

 この世界で初めての仲間だからだ。

 前の世界では僕はたくさんの物を失って、奪われて、踏みにじられた。

 だったらせめて、この世界でくらい何かを守り通してやる!

 たとえ自分の命が消えても、この絆だけは失わない!奪われない!踏みにじらせない!

 

 来いよクソ虎。

 前の世界では窮鼠猫を噛むって言葉があるんだ。

 虎なんて猫の親戚みたいなもんだ。

 だったら、ネズミの代わりに影が虎を噛んでやるぜ。

 もう何も奪わせない。


 いや、


 僕が奪ってやる(・・・・・・・)


『個体名:アキカゲの変化を確認』


『腐蝕の霧と自動再生を統合しました』


『統合したスキルを個体名:アキカゲに適合させるため、改造します』


『奪取の魔気を取得しました』

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