プロローグ
……あれ?
何なのこの空間。
真っ黒だよこれ、そりゃあもう光なんて一つもない真っ黒。
もう一度言うけど何この空間。
取りあえず過去を振り返ってみよう。
えーっと、僕の名前は柊明。
高校三年生で~……
あ!そうだった!
ヤンキーにボコボコにされたんだった!
いや~アレは結構きついよ?
カツアゲとか根性焼きならまだしも、バットで殴打とか神経疑うレベルだよ?
うんうん、確かヤンキー五人にバットで殴打されて、肋骨が折れた音したらコレだよ。
……で、ここホントに何処だろう。
もしかしたら病院?
もしかしたら失明した?
いやいや、手は動くけど地面の感触が全然ベッドじゃない。
病院に運ばれたならベッドに置かれてる筈だからね。
……となるとホントに何処?
取りあえず地面を調べる。
……うん、これ土の感触だね、草もある。
という事は外にいるの?
コンクリートじゃないって事は道路ではないって事かな?
いきなり車に轢かれて、轢かれちゃったぜ♪とかヤダよ?
う~ん、ホントにこれどうしよう。
とか思ってたら少しずつ光が見えてきた。
なんだ、目とか瞑ってたのかな?
目を完全に開く。
そこには――
――森が広がっていた。
……ん?
なんで森の中にいるの?
ちょっと目が疲れてるみたいだ。
目をゴシゴシしてもう一度確認する。
はいはい、どーせ何かの間違いだって。
きっとなんかのドッキリに決まってるって。
実は森の絵とか?
うん、森だね。
四方八方見渡してみても、まごうことなき森だね。
もしかして森に捨てられた?
気絶した僕をヤンキー共が森に捨てたのか?
でもちょっとおかしい。
体の調子がものすごく良い。
おぎゃあおぎゃあと生まれた時くらい調子いいよ。
別に生まれた時の事なんて覚えてない、というか実の両親とか覚えてないけど。
治療したうえで森に捨てるとか、なんて律義なヤンキーなんだってことになっちゃうよ?
そして僕は自分の手を見た。
自分の黒い手を。
……黒い手?
なんで手が黒いの!?
ヤンキーめ、実は悪の科学者だったか!
ま、冗談は置いといて、ホントになにこれ?
ちょうど水たまりらしきものがあったので、自分の姿を見てみる。
三頭身の真っ黒な体である。
ただし目とギザギザの口だけは紅く光ってちょっとかっこいい。
そして体には黒い煙?湯気?霧?が噴き出ている。
下に落ちているという事は、湯気ではないのだろう。
……全然人間らしいフォルムしてないよ、共通点とか人型なだけだよ。
ホントに僕何者?
よし、調査しよう。