第二章
ホテルのロビーに設置されているスクリーンでは
アルキメデス基地での事故のようすが写っていた。
採掘場のクレーター内部に直径20メートル
ほどの穴が開いていて、
そこから白い煙がわずかだが噴き出しているのが
ニュースで中継されていた。
報道していたキャスターに
見覚えがないことをみると、
このニュースが流れているのは月だけなのだろうと思った。
「アルキメデス採掘場での今回の事故についての
現在判明している情報によりますと
地下1・5キロメートル付近で掘削機の燃料漏れによる
火災が発生した模様で、現在消火活動を行っているそうです。
今の所分かっている死者は5名で7人が重体で
医療施設に搬送されたようです。
この事故に関連して周辺地域に一時的な電力不足
及び停電が発生したことをお詫び申しあげます。」
ホテルらしきこの建物のロビーで宿泊の為の注意事項を聞かされ、
私はエレベーターに乗り部屋まで案内された。
部屋の窓からは、先ほど着陸したシャトルと地球では見慣れない
黒い宇宙船が2隻停泊していた。
大きさはシャトルの2倍ぐらいはあった。
きっとこれが噂になってる月面の軍事工場で建造されている
宇宙船なのではないかと思った。
お腹がすいてきたので4階にあるレストランへと向かった。
シャトルに同席していた新婚さんが先にきていて、
窓側の席で二人で食事していた。
わたしもその隣の席に案内され食事を注文した。
窓の方を見ると空港で見かけた国籍不明の黒い輸送船が、
上空に浮かんだかと思うと、東の方角へと飛び立った。
あの船は月の表側でどんな作業をしているんだろう。
ここでは複数の人間型エイリアンと交流している地域だと噂されているから
彼らとの協力で仕事をしているのかもしれない。
私が月にまでやってきた理由は表向きは宇宙食の販売促進の為ではあるが、
実際は月面に存在する地球外知的生命の証拠を
自分の目で確かめたいからであった。
飛び立ったUFOが地球製でない可能性は充分にある。
果たして彼らが存在する証拠を目の当たりにしたからとって
我々の文明はどう対処するのだろうか、
20世紀の後半から宇宙開発に挑戦し、
月面に基地を作り火星や金星にも人類は移住した。
そして今度は太陽系の外に人類を送り込もうとしている。
アルキメデスクレーターの内部には軍事工場があるはずだし、
今回の事故も太陽系脱出計画のトラブルによって起きた事故だと思う。
我々は宇宙空間や月世界においても地球上で起こっている
様々な陰謀と同様様に宇宙開発にもまだ危険はいっぱいあるのだ。
地球外知的生命体についてのトップシークレットの情報が
一般市民にもれたからといって、その情報が本物であるかどうかを
我々は知ることはできない。
もしそれらの情報が真実であったとしても、
それはあくまで我々に知られても構わない情報であるか、
あるいは意図的に策略された情報であると考えられる。
もしそれらが真実であるならば我々に悟られないように
細心の注意を図って隠蔽しようとするはずであり、
我々が過去において知らされてきた情報は何者かによって
事実とフィックションの入り混じった情報操作によって
真実の情報は長い間封印されてきた。
現在地球上に生息しているほとんどの人類の祖先は
地球上で進化したのではなく遥か遠い今から
約600万年前に地球を回る軌道に乗った
月の内部から移動してきた人類に近い生態系を持つ種族が先祖であった。
地球上に文明を築くために遺伝子操作によって
作られた私たちの祖先の人類は、
神々のために働く従順な奴隷として作られたのである。
だが地上で繁殖しすぎたために神々に逆らう勢力も現れだし、
神々達の怒りに触れ何度か絶滅の瀬戸際まで追い詰められた。
そのひとつがノアの洪水であった。
やがて宇宙に進出するようになると自分たちこそ
この地球における支配者だと思うようになっていった。
人類を影で操ってきた勢力にとって非常に都合の悪い状況になってきたのが
現代であるといってもいい。
彼らは人類が今より高いレベルに進化するのを食い止めようと
必死にもがいているかのようにも思える。
UFOが、怖いもの、不気味なもの、
人類に危害を加えようとしてる悪い生き物だと我々に
信じ込ませてきた目的は果たして何なのだろうか、
戦後に多発したUFO目撃情報は影の世界政府による
世界征服作戦にとってはまたとないチャンスであった
他の国々を出し抜いてUFOを飛ばせば21世紀には世界中の人々を
震え上がらせることも可能なのだ。
何も知らない人々にはUFOが人類によって作られた乗り物であることは
隠しておいた方が有利ではある。
だが、全てを隠していても人類を管理できない。
それなら少しずつでも情報を漏らさなければならない。
真実に多少のフィクションを交えて、アブダクションが本当に異星人による
人体実験だと思わせておくには大量に人類を誘拐して
恐怖を体験させる必要がある。
アブダクション情報は一定のパターンを繰り返し、
体験者にテレビやマスコミで語らせておけば、
最初は半信半疑だった大衆も、これらの行為は異星人との密約で交された
極秘事項なのだから、アブダクション体験者は
黙ってそれに耐えるしかない
と思わせる作戦は成功を収めたといえるだろう。
つづく・・・・