第三章【今と罰】
ブレティカ「…ってことがあったんだよ。まぁ…つまんねーような話だっただろ?」
俺はオキノスにそんなことを言う
…ありゃ…返事がない
ブレティカ「おーい?大丈夫…」
オキノスの裸を見ないようにそちらを振り返る
…オキノスから湯気が立っていた
オキノス「…」
ブレティカ「のぼせてんじゃねぇか!?」
どうやら俺の話が長すぎたらしい
俺は立ち上がりバスタオルを持ってきて、裸を見ないようオキノスの体に巻き付ける
流石に裸のままじゃ運べないからだ
そして、巻きつけ終わった後に俺はオキノスをとりあえず風呂場の外に運んだ
こうして、2日目は終了した
3日目の朝は特に何もなかった
一様、オキノスが
『裸見たのか!?』みたいなこと聞いたきたが
もちろん、見たわけがないので断っておいた
そして、現在時刻は午後の9時
俺は夜食を食べた後、自分の部屋に戻ろうとしている途中だった
ブレティカ「一日、今日はハプニングもなくて良かったなぁ…」
俺が玄関の前を通っている時そんなことを考えていたら
『コンコンコン』
突如として、玄関の扉がノックされたのだ
ブレティカ「…誰だ?」
俺は警戒する
当たり前だ、こんな時間に誰か来て、警戒しない方が難しい
そして、恐る恐る、俺はドアノブに手をかける
『ガチャリ』
扉を開ける
そこに立っていたのは…
Y「こんにちは。ブレティカはん」
黒いフードに白い仮面をつけた謎の男が立っていた
ブレティカ「…お前は誰だ?」
Y「俺は“Y“や。」
そんな唐突なカミングアウトをするYと名乗る男
ブレティカ「…一週間後っていってなかったか?」
Y「それは決闘の日やろ?文章はちゃんと読まなあかんで?本当、せっかちなんやから」
言い訳のような正論ような事を言ってくるY
ブレティカ「じゃあ…なんのようだ?」
俺は問う
Y「今日きたんは下調べ、要は情報集めや」
ブレティカ「お前を安全に返すとでも?」
そう、こいつは1人で来ている
故にここで、こいつを倒せばこちらがかなり有利になるのだ
そんな問いにYは無視してそっぽ向いている
まるで観察をしているように
Y「なぁ…一様聞いておきたいんやけど…名前教えてくれへん?」
ブレティカ「なんで…言う必要があるんだ?」
こいつは初めに『ブレティカはん』と言った
つまりはこいつは名前を必ず知っているのだ
それなのになぜ知っていることを知る必要があるのか
俺の頭は疑問で埋め尽くされる
Y「まぁまぁ、そう睨まずに…ええやん?減るもんでもないし」
これが大切な情報を引き出すための質問だったらどうしようと言う考えが脳裏をよぎる
しかし、名前程度で情報なんてごく僅かだと考え、改めてそいつ自己紹介をする
ブレティカ「“ブレティカ“。“ブレティカ・レッド“。これが俺の名前だが」
俺は名乗る
Y「…そうか」
その言葉を聞くとYは俺に背中を見せる
ブレティカ「おいおい。俺は名前を名乗ってやったんだぜー?お前もYなんてダサい名前を名乗るんじゃなくてお前の本名を名乗ったり、その仮面を取ったりしてくれてもいいんじゃないか?」
俺はYを挑発する
その問いにYは
Y「見え透いた挑発やな。ほんと、頭悪いんやから。確かにそうや、理にかなってる。相手が名乗ってこちらが名乗らんなんて理不尽や。かといって名乗るわけにもいかんよなぁ…でも、安心してしろや」
Yは告げる
Y「…近いうちに俺の顔も…名前…も嫌でもわかるようになるから」
ブレティカ「どう言うことだ?」
言っている意味がわからなかった
ただ、そんな気持ちもわからないであろうYはどんどん遠ざかっていく
Y「俺を今狙ってもええで?きっと俺はブレティカ…あんたには勝てんやろうからな…だが、それがなんや?俺はわかってるんや、きっとあんたが俺を狙わへんって」
ブレティカ「…」
こいつは多分…頭が良い
俺がYを攻撃しようとしていないわけじゃない。
そうせざるおえない状況をこの一瞬で作り出したのだ
簡易的に言えばこいつは様々な疑問を散りばめ、それを1週間後の日に全て明かすといってきた
故に一週間後に戦った方が確実に多くの情報を手に入るのだ
そして、WとY。その間に確実に“X“。そして、“Z“がいる
そう確信した
あまりにもわかっていないことが多すぎる
ここでの攻撃はあまりにもリスキーだ
俺はそう判断した
Y「本当にせめてこやんのね…。相変わらず…やさしいやつやな。ほな、また4日後にな」
そう言いながらYは夜の暗闇に姿を暗ます
ブレティカ「…」
あまりにも違和感が多いやつだった
まるで言葉の一つ一つに膨大な情報量が詰まっているような
ブレティカ「…ったく。だから頭のいい奴とは会話したくねぇんだよなぁ…」
俺はそう呟くのだった
4日目の朝
オキノス「おーいブレティカー。飯の時間だぞー」
どうやら朝飯ができたみたいだ
その時、俺は部屋でグータラしていた
ブレティカ「…こんな生活でいいのかなぁ」
と呟く俺
よくよく考えたら俺はこの家に来てから何だかいたれるつくせりな気がする
一様一回料理…いやなんでもない。忘れよう
俺はベッドから起き上がる
ブレティカ「今行くわー」
とそんな声をかけながら
俺もちょっとくらいは手伝った方がいいよなぁ
そんなことを考えながら扉を開いた
と、そんな扉を開けると
オキノス「…遅い!!」
オキノスが居た
ブレティカ「ハハ…ごめんって…」
オキノス「飯が冷めるだろうが!罰として朝飯抜きだ!」
飯抜きにしたらその飯が冷めるんじゃねぇか…?
という矛盾点を当然指摘するわけにもいかないので
ブレティカ「勘弁してくれよ〜。オキノスさんの料理は世界一なんだからさ〜」
そんなお世辞を言う俺
オキノス「そ、そうか!ならば仕方ない!!お前をさぞ食べたくて、食べたくて仕方ないと言うことなんだな!仕方あるまい!まだ、冷めていないだろうから早く来ることだな!」
…ちょろ
4日目、夜
突如としてそれは起こる
ブレティカ「…おい。なんだよ」
気味が悪いと考えている俺
理由は
ブレティカ「なんでそんな気味の悪い顔をしながら笑ってるんだ?」
そこにはオキノスがすっごい気味の悪い笑みを浮かべていた
しかも、後ろに何かを隠しているようだった
オキノス「気味の悪い?はっはっは。言うようになったなブレティカよ」
笑っているが顔が変わらない
ずっと、気味の悪い笑みを浮かべている
ブレティカ「…後ろに何を隠してるんだ?」
寒気がする
きっと、この後、何かしらめんどくさいことに巻き込まれる
そんな予感がする
オキノス「…後ろに何を?いやいや、大したものじゃないぞ?」
そう言いながら後ろに隠していたものを見せるオキノス
それは“猫耳“だった
なんでそんなものを持っているのか
なんて質問はあまりにも愚かである
そんな理由一つしかないだろう?
俺はオキノスに言う
ブレティカ「…嫌だ」
オキノス「ダメだ」
ブレティカ「…」
はは…さて、どうしようか
こんなことを考えている内ににもオキノスは一歩一歩近づいてくる
ブレティカ「…待て」
オキノス「嫌だ」
ブレティカ「何しようとしてる?」
オキノス「言う必要があるのか?」
ブレティカ「…誰得なんだ?」
オキノス「私が得する」
まずい…本当にまずい…
ブレティカ「…っ!!」
次の瞬間勢いよく床を蹴り、一直線に扉に…全速力で走る
オキノス「どこに言おうと言うのだ?」
あー、クソ。服をきていたのが間違いだったか
俺の服をオキノスは掴んでいた
ブレティカ「…もう、好きにしてくれ」
俺は諦めた
ブレティカ「…はぁ」
俺の頭には今キュートな猫耳がついている
そんな俺をみてオキノスは言う
オキノス「なんか…想像以上に似合ってて癪なんだが…」
ブレティカ「しらねぇよ…お前は黙って猫耳ブレティカを堪能しとけ」
オキノス「それを自分で言うか?ブレティカよ」
オキノスは苦笑を浮かべている
どうやら本当に癪らしい
オキノス「…私もつけるか…?」
ブレティカ「やめとけ」
俺はそうオキノスに言う
そうして、なんだかよくわからなかった4日目が終了する
5日目の夜
オキノス「なぁ、ブレティカ」
突然、オキノスが俺の部屋に入ってくる
ブレティカ「おいおい、ノックとかしてくれよ。急に来られると驚いちまうだろ?」
俺はそんなことをオキノスに言う
ブレティカ「なんのようだ?」
と、オキノスが俺の部屋に来た理由を問う
オキノス「いやなに、少し暇だから。夜景を見に行こうと思うてな。ちょうどいい場所があるんだ」
というオキノス
どうやらオキノスも暇を持て余していたらしい
ブレティカ「わかってんのか?お前は今狙われてるんだぞ?危なくないか?」
オキノスに俺は言う
そうだ。万が一でも外で狙われようものなら流石に笑えない
オキノス「…?そのためにお前と行くんだろう?」
ブレティカ「俺のこと信じすぎだろ」
流石の俺でも不意打ちとかされたら無理なんだが…
でもまぁ、信用されていると言うのはなんとも嬉しいことだ
だから俺はその気持ちの答えて
ブレティカ「はいはい、どうせ行かなきゃ気が済まないんだろ?なんかあっても死ぬ気で守って見せますよ」
そう言って準備をするのだった
オキノス「ここだ」
連れてこられたのは月のよく見える場所だった
満月の月光が俺たちを照らす
ブレティカ「引きこもりのヴァンパイア様がよくこんな場所を知っていたものだな」
オキノス「別に私は引きこもりってわけじゃないぞ?時々外出はしている。無論、姿を隠しながらだがな」
オキノスは月を見上げて続ける
オキノス「ヴァンパイアの本能なのか…はたまた、他の何かなのか…とにかく…私はこの景色を見るのが好きなのだ。そして、この景色をお前…ブレティカ。お前と一緒に見たいと思って今日ここにきた」
そんなことを言うオキノス
ブレティカ「わからねぇよ」
俺は正直に言う
ブレティカ「俺にはこの景色の良さもお前の気持ちもわからねえよ。だから、お前の求めてる答えは出せない。でも…強いて言えば…この景色は…」
俺も月を見上げて語る
ブレティカ「…俺の記憶に残る景色だろうな」
オキノス「それは…お前もこの景色をどこかで“良い“と思っているんじゃないか」
ブレティカ「そう…なのかもしれないな…」
2人の間に沈黙が続く
先に口を開いたのはオキノスだった
オキノス「今日の月は綺麗だな…」
そう呟く
ブレティカ「そう思うのは満月のうちだけだろ」
俺はそう言った
6日目の夜
今日は特に何もない日だった
ただただ、平穏な毎日
明日、戦いがあるとはまるで思わないような
そんな日だった
俺はベットに潜りながら呟く
ブレティカ「明日か…」
嵐の前の静けさのようだった
『ガチャリ』
突然、扉が開く
足音が聞こえる
それは布団の中に潜り込んできた
ブレティカ「オキノス…だよな…?」
暗さでよく見えないが多分、オキノスだろう
そんなことを考えているとオキノスがポツリと呟いた
オキノス「…怖いんだ」
ブレティカ「…え?」
オキノス「私は…明日が怖い…もしかしたら…私の全てが…お前の全てが…終わってしまうのではないかと…そう考えると…ネガティブな考えなのはわかっている…だが、どうしても…どうしても脳裏によぎってしまうんだ…」
衝撃的だった
まさか、オキノスがそんなことを考えているなんて
俺は元気付けるためにいつもの調子で言う
ブレティカ「おい、俺を誰だと思ってるんだ?俺は…ブレティカだぞ?お前は俺が負ける姿が想像できるのか?」
そんな事を言う
なんという自意識過剰だろうか
オキノス「…思わない…思わないさ…思う…わけがないだろう」
そう言うオキノスの体はかすかに震えていた
ブレティカ「そうだろ?だからお前がそんなこと思う必要はねぇんだよ」
俺は続ける
ブレティカ「…今日…一緒に寝るか?」
はは…何いってんだ?俺?
オキノス「…ああ」
だが、なんとなくその回答をしてくると俺は思っていた
ブレティカ「お前が俺の手の届く範囲にいる限り、お前は安全だ」
オキノスの震えは少しずつ小さくなっていって
ブレティカ「それじゃあ…おやすみ」
この頃には完全に消えていた
それは疲れて寝てしまったのか
はたまた、安心しているのかはわからない
…俺だって怖いさ
ああ…怖い
Yは一目見ただけで只者ではないとわかった
XもZのことも何もわからない
何もかも
ただ、どうしてだろうか
怖いと言う感情はある
だが、それ以上に
Yと戦えるのが楽しみな自分がいるんだ
そして…7日目の夜
決闘の日だ
俺たちは庭に出てた
敵を迎え撃つために
ブレティカ「…きたか」
遠くから人影が二つ見える
Y「そんな警戒しなくてもええんちゃいますん?ブレティカはん?」
ブレティカ「警戒するに決まってんだろ?お前たちが攻め入ってきてるんだから」
Y「いや〜…正論言われるときついもんがありますな」
ブレティカ「戯言はよせ」
俺はそう言う
Y「俺と戦う気満々で申し訳ないんやけど…俺ちゃうで?相手は」
そう言いながらYはもう1人の方を向く
X「こんちゃーす。Xでーす」
Xとなのる男はなんとなく親しみやすいような雰囲気だった
ただ、驚いたのは
ブレティカ「スッゲェ、筋肉…」
X「お?気づいちゃう?この俺のマッスルパワーに」
上半身がなぜか裸のせいでその筋肉が曝け出されていた
Y「うざったい奴らやなぁ…ほな、終わったら教えてな」
ブレティカ「…待て。どこに行く?」
Y「いやほら…俺暇やん?ちょっとオキノスちゃんと紅茶でも嗜もうと思うて」
ブレティカ「そんなの信じるわけないだろ?ここで待っとけ」
Yは少し悩んだように言う
Y「うーん。俺ってさ、不意打ちとかそういうの大嫌いなんよ。実際にちゃあんとメール送ったやろ?」
謎の信憑性があった
なぜかこいつは絶対そんな事をしないと
ただ、そんな勘のようなものは信じてはいけない
ブレティカ「…それでも信じられない。何か…信憑性のあるものが必要だ」
そう言われ、さらに悩むY
そして数秒の沈黙の結果
Yはあるものを俺に投げてきた
Y「4015」
ブレティカ「…は?」
俺はYのスマホだった
Y「さっき言ったんはパスワードや。その携帯の中には俺の全情報が詰まっとる。これで十分ちゃう?」
俺はためにし、さっき言われたパスワードを打ち込む
すると本当に開いたではないか
Y「…俺ってそんな信用できん?」
ブレティカ「なんで…ここまでするんだ」
俺は問う
Y「俺はただただ、オキノスちゃんと話がしたいだけ…それ以上でも以下でもないからや」
そんなこと淡々と続ける
ブレティカ「…わかった。通っていいぞ」
Y「あーりがと。いや、ほんと、何もしやんから〜好きに闘っといて〜」
そう言いながら俺の横を通り過ぎるY
X「話は済んだか?」
ブレティカ「ああ、さっさと始めようぜ?俺の帰りを中でもあってる奴がいるんだ」
X「それは慢心か?それとも舐めプか?」
Xはそういってくる
ブレティカ「舐めプに決まってんだろ」
次の瞬間、両者ともに地面を蹴る
そして、拳がぶつかり合った
『バコン!!!』
それはまるで拳のぶつかる音とは言えないような音だった
ブレティカ「…っつ」
思わず、距離を取る
ブレティカ「はっ…!凄まじい力だな。筋肉はダテじゃねぇっつうことだ」
俺はそう言う
X「お前の力もすごいぞ?初めて俺の拳が怯んだんだ。自慢してもいい。まぁ、俺に勝てたらの話だがな」
両者、なかなかの力らしい
しかし…
ブレティカ(多分、劣勢だな…)
相手はまだまだ平気。
それに対して俺は今の一撃で拳がまだ痛い
もしかしたら、相手が余裕を取り繕って要る説もあるが…
まぁ、明らか脳筋のあいつにそんな技術はないだろう
ならば…
ブレティカ「技術で攻めるべきか…」
俺は小声でそう呟く
そして、相手に向かって走り出す
両者、拳を構える
先に拳を出してきたのはXだった
X「…!?」
それを俺は身を屈め、寸前で避ける
ブレティカ「凄まじい速度だが…動きが単調すぎるんだよ!!」
俺はXの鳩尾に蹴りを入れる
さらに一瞬の隙も逃さず、すぐさま顔にも一撃をぶつけた
その次にもう一撃を入れようとしたその時だった
X「甘いぞ…?そう何発もくらわねぇよ!!」
拳を手で受け止められた!?
刹那、俺の腹に拳が飛んでくる
当然防御できるわけもなく
俺は数m吹っ飛ばされる
なんて火力だよ…
寸前で鳩尾は避けたが…それでもこれか…
X「今のは効いたぜ…さぁ、もっと戦おう…夜は長いんだから」
ブレティカ「…チッ…戦闘狂が…」
俺はそう吐き捨てた
オキノス「…なんのようだ?敵と話すことなどないのだが?」
私はそう言い捨てる
Y「まぁまぁ、そうカリカリせずに…短気な女は嫌われるで」
そう言いながら紅茶を汲む白い仮面の人間
私たちは今、庭のテーブルで2人で座っている
なぜこんな状況になっているのか…
それは言うまでもなくこやつに誘われたからである
Y「飲めや」
出されたのは“紅茶“であった
オキノス「敵から出された何が入ってるかわからないものを飲めと?」
Y「お前もブレティカも警戒心強すぎやしまへんか?この紅茶は俺の家から持ってきた一級品。俺はただ飲んで欲しいだけなんやけどなぁ」
そんな会話を続ける
オキノス「…結局お前は何のようでここできたのだ?」
Y「俺はただ、オキノスちゃん。お前と話したかっただけや。あ、俺の名前はY。よろしくな」
Y…
こいつはあまりにも不気味すぎる
白い仮面、黒いフード…
私は紅茶を一口啜る
オキノス「…うまいな」
普通の紅茶だった
特に変な味は何もしなかったように思える
Y「そうやろ!?俺はものを見るセンスがあるんや〜」
笑いながらそんなことを言うY
そしてYは会話を続ける
Y「ブレティカはんは今どんな感じなん?」
突如、そんなことを聞いてくるY
オキノス「正直、まだわからない。会って、ただ一週間…それだけの期間だ。ただ…」
私は続ける
オキノス「あいつは優しいやつだ…だからこそ…私はあいつを信頼しているんだろう」
そう言った
Y「そうか…あいつは優しいんやね〜いい男を持ったことや」
オキノス「…いや、別にそんな関係じゃないが!!」
私は必死に弁明する
Y「はは。でも、実際にさ、君のために命かけて戦ってくれてる訳やん。ほんと、恵まれてるなぁ思うわ」
Yはそんな事を言う
ただ、笑っていたはずなのに、その雰囲気は笑っていないように見えた
聴くなら今か…
私は一つの大きな疑問を抱いていた
こいつは不気味すぎる
白い仮面もそうだし、黒いフードもそうだ
しかし、一番そう思った理由は…
オキノス「…なぁ…一つ聞いても良いか?」
Y「なんだ?」
私はその疑問をYにぶつける
オキノス「なぜ、お前は男のふりをしているのだ?」
ブレティカ「まずいな…」
俺はかなり今ピンチだ
ブレティカ「いつつ…すげーパワーだな…それにしても痛いぞ?かなり。骨数本折れてんじゃねえか?これ?」
胸がすごく痛い…
X「結構全力で殴り続けてるんだが…まだ倒れないか?すごい耐久力だな」
みればXの体にもたくさんの傷がついている
俺もある程度ダメージは与えられているみたいだ
それでも…
X「俺はまだまだ余裕だぞ?」
そんなことを言うX
ブレティカ「はは…冗談きついぜ…」
このままではジリ貧だ
何か策は…
そんなことを考えていると
X「おい。俺はな…舐めプで勝っても嬉しくねーんだよ」
ブレティカ「舐めプ?はは…何言ってんだ?これが全力だぜ?」
X「戯言を…だってお前…息上がってねぇじゃねぇか」
ブレティカ「…はは」
まさかバレるとはな
実力を隠してもまあまあ強めに戦ってたはずなんだが…
X「なんで…全力を出さなかった?」
ブレティカ「そんなの…」
俺は続ける
ブレティカ「戦いが…つまらなくなるだろうが」
X「…は?」
俺、Xは困惑していた
それは、こいつの言っている意味がわからないからだ
戦いがつまらなくなる?
ブレティカ「今は…オキノスはいないあいつに知られたら色々面倒だからな」
そういいながらブレティカは続ける
ブレティカ「教えてやるよ。挑むことさえ許されない…絶対領域を」
風が荒ぶる
緊張で声が出なくなる
明らかにブレティカの雰囲気が変わった
そして…俺は瞬きをした
ただ…それだけだった
暗闇から瞼を開ける時
そいつはそこにいた
X「ガハッ!?」
鳩尾に拳がぶつかった
しかし、俺は理解ができなかった
X「…!?せっ、背骨を!?」
その衝撃で…俺の背骨が折れたのだ
パワーもスピードも今までと桁違いだ
X「な…なんなんだ…!おまえは!?」
俺はそう言う
ブレティカ「俺はブレティカ…ただのブレティカだよ」
俺はそこで意識を失った
オキノス「なぜ、お前は男のふりをしているのだ?」
私はそう言う
Y「…ほら。今の音、拳がぶつかる音やとは思わんく無いか?いやはや、男同士の喧嘩ってすごいもんやなぁ…」
Yは明らかに不自然に会話を逸らした
オキノス「会話を逸らすな」
Y「そらすな言われても…言ってる意味がわからんからなぁ」
そんな嘘を事実のように話すY
オキノス「ヴァンパイアはな…本能で鮮度の良い血を探すためにある程度人間の特徴がわかる。そして、私の本能はお前を”女”だと言っているのだ」
本能は嘘偽りない真実を教えてくれる
だから、こそわかる
Yは”女”であると
そんな時だった
ブレティカ「こっちは終わったぞ」
ブレティカはXを引きづり、私たちの元へ投げ捨てる
オキノス「…ブレティカ!!」
Y「…マジか」
私は嬉しかった
なにより、ブレティカが無事であることが
ブレティカ「…で?Y。お前はどうなりたい?」
正直、Yは手を引くと思っていた
Y「そりゃあ、敵討ちせなあかんやろ。勝てへんとわかってても」
衝撃的だった
頭の良いこいつがわざわざ負ける戦いしないと思っていたからだ
Y「さぁ、始めよか。君たちの命運をかける戦いを」
Y「俺は体術得意やから体術を基礎とした戦いやとありがたいんやけど…」
ブレティカ「いいぜ?今の俺は気分がいい。体術のみで戦ってやんよ」
俺はそう言っている間にも何かの違和感に気づく
ただ、その違和感の正体にも気づけなかった
思い返せば、あいつと初めて話した時
あの瞬間から謎の”違和感”があったのだ
何故だ?
なんの違和感だ?
Y「せめてこやんのやね…じゃあ、俺から生かしてもらうとするわ」
そう言いながら、拳を繰り出すY
『フゥゥゥ…』
呼吸…音…?
まさか…そんなわけない…
俺は動揺で拳を避けられず…
顔にもろにくらってしまう
Y「ありゃ?感覚鈍ったんちゃいますん?」
ブレティカ「………仮面を取れ…」
Y「はい?」
ブレティカ「仮面を取れっつんてんだよ!!!!」
数秒間沈黙が続く
Y「はぁ…」
先に口を開いたのはYだった
Y「せっかく高いボイチェン買って、しかも完璧に男キャラを演じ切ったと思ったのにな〜」
そう言いながら、仮面を取るY
そこには顔が傷で半分が赤くなっている少女が立っていた
傷の正体はわかり切っている
次第に懐かしい声が聞こえてくる
シオ「久しぶり、ブレティカ」
ブレティカ「シ……オ……?」
ブレティカ「なん…で…」
俺は困惑と動揺を隠しきれずにいた
前にいるのは数年前に死んだと思われていた女
シオが目の前に立っていたからだ
シオ「その疑問は私が生きてることへの疑問?それともなんでYなんて名前を名乗っているかについて?」
ブレティカ「どっちも…だ…」
今だに震えが止まらない
それは驚きからか
はたまた嬉しさからか
俺にはわからなかった
シオ「うーん。じゃあまず、私が生きてることについてから」
そうだ、まずはそこからだ
ブレティカ「何があったんだ…あの時!お前に何があったんだ!!」
俺は叫ぶ
シオ「そう叫ばないでよ」
シオは続ける
シオ「事実はこう。私は”死んでなかった”。たしかに私は死を彷徨ったよ?でも、ただそれだけ。最新の医学はすごいよねー。まさか、あの状態から命が持つとは思わなかったからねぇ…」
ブレティカ「本当に?そんな理由か?」
最新の医学であの火傷を本当に治せるのだろうか
シオ「本当だよ。実いうとね。どちらかというより私は一酸化炭素中毒で死にかけてたの。だから火傷はあんま関係ないんだよ」
確かに。と納得する自分がいた
冷静に今考えると火災による死亡への直結原因は一酸化炭素中毒の場合が多いと聞く
シオ「納得…してくれたかな?」
シオは心を読むようにそう言う
シオ「じゃあ次、なんでヴァンパイアを追っているのかについてだね」
次の瞬間、シオは衝撃的なことを告げる
シオ「…ブレティカ。君のためだよ」
ブレティカ「…っは?」
意味がわからなすぎる…
シオは続ける
シオ「私はこの組織を利用してあなたと一緒に生きたかったの。あなたをオキノスさんの護衛にして、オキノスさんを捕まえれば、お金と貴方。両方手に入る。そうでしょ?」
ブレティカ「…」
意味がわからない
何もかも
なぁ、シオ
俺には何もわからないんだ
なんでお前がそんなことを言うのか
シオ「だから、ブレティカ。貴方が今、ここで全てを捨てたら、何もかも手に入るの」
そういいながら手を差し伸べるシオ
ブレティカ「俺は…俺は!!」
俺は…どうしたらいいんだろうか…
…という考えが一瞬脳裏を過ぎる
何故、一瞬だというのか?
それは…
俺のやるべきことはもう決まっているからだ
シオ「…え?」
俺は差し伸べられた手を叩く
ブレティカ「なんで〜。どうして〜。って言いたげな顔だなぁ…シオ」
俺は続ける
ブレティカ「答えは簡単だ。俺にとって、オキノスはシオ。お前よりも大切な存在になった。ただ、それだけ」
シオ「…なんの冗談?」
ブレティカ「これを冗談と思うほど、お前は馬鹿だったんだな」
シオ「…っ!!」
次の瞬間、シオは苛立ったのか
懐からナイフを取り出す
ブレティカ「…来いよ」
シオ「…あまり…ふざけないで!!」
こちらに一直線で突進してくるシオ
だから俺は言ってやる
ブレティカ「…お前に俺が刺せるのか?」
するとシオの手は腹から寸前のところで止まる
シオ「…」
シオは黙りこむ
俺はシオを煽る
ブレティカ「ほら、早く…早くしろよ?なぁ、ここだよここ」
俺はナイフを腹に押し当てる
シオ「…」
シオは黙ったまま力強くナイフを握っている
ただ、それだけだ
ブレティカ「ほら、刺せよ!ほらぁ!!」
シオは黙り込んでいた
が
次の瞬間だった
シオ「うわぁぁぁあ!!」
ブレティカ「グッ…」
シオは言われた通り、俺の腹にナイフを差し込んだ
シオ「あっ……」
ブレティカ「……はは」
シオは手からナイフを離す
そして、一歩、また一歩と後退りしていく
俺はそのナイフを手で掴み、引っこ抜く
腹から血が垂れ流れている
ただ、俺はその状態の中
シオを抱きしめた
シオ「…えっ」
ブレティカ「これは一度、お前を死なせてしまったことに対する懺悔だ。全部嘘だよ。大好きだ。大好きだよシオ。愛してる。」
シオから次第に啜り泣くような声が聴こえ始める
やがて…シオは口を開いた
シオ「意味…わかんないよ…」
そう小さな、小さな声でつぶやいた
シオは続ける
シオ「残念だけど…私たちはZの情報について何も知らない…だから…私たちから得られる情報は何もないよ」
…と
ブレティカ「…わかった」
俺はそう返答する
するとシオは安心したのか俺の腕の中で静かに目を瞑った




