5-17
(草の深い場所……巣穴……隠された入り口……)
点と点が一気につながる。
セリオはジャックスに向き直り、低い声で告げた。
「師匠。行方不明者は、魔鼠の巣に囚われている可能性があります」
ジャックスは目を細めた。
「……魔鼠に捕まっているとでも?」
「いえ。魔鼠も被害者かもしれません。魔鼠は人攫いによって巣穴を追われたんだと思います。だから、このようにいきりたっていたんです」
それは根拠のないただの予想だった。しかし、状況から鑑みて可能性は極めて高い。セリオの推測を聞いたジャックスは、ふぅんと顎髭を撫でた。
「だがなぁ。魔鼠だって巣穴に戻ろうとするだろう。意識のない奴が転がってりゃ、それこそ魔鼠の餌食になっちまうぞ」
ジャックスはセリオの考えを一蹴する。しかし、セリオはそれに反論した。
「魔獣避けのアイテムくらい、いくらでもあるでしょう」
ジャックスはそれを聞き、大剣を肩に担ぎ上げながらニヤリと笑う。
「なるほどな。魔獣の巣を奪うなんて、なかなか敵も考えたな」
ジャックスは、ニヤリと笑う。この緊迫した状況で、そのように余裕の笑みを浮かべるとは、ジャックスにはもう向かうべき場所がわかったのかもしれない。
セリオは呆れた顔になる。
「どちらへ向かえば良いか、わかりますか?」
「そうだな……北側の斜面が怪しいか。岩肌が露出してる場所が多い」
「案内をお願いします」
二人は頷き合い、森の奥へと駆け出した。
森は薄暗い。
しかし、ジャックスは迷いなく進む。まるで森の地形をすべて把握しているかのように。
セリオも、それに遅れまいと続く。
やがて、草が深く生い茂る一角に辿り着いた。
「師匠、足跡があります」
セリオが低く声を上げた。
下草が不自然に倒れ、何かを引きずったような跡が続いている。
二人が素早く付近を捜索する。程なくして予想していた通り、魔獣避けのアイテムが見つかった。草むらに隠れるようにして小さな岩のようなものが点々と転がっていた。明らかに人為的に並べられたものだ。
「当たりだな」
ジャックスは満足そうな笑みを浮かべた。しかしすぐにその笑みを消すと、表情を引き締める。そして周囲を見回した。
セリオはしゃがみ込み、草をかき分ける。
「ありました」
そこには、岩肌にぽっかりと開いた穴があった。人が十分に通れるほどの大きさだ。
「師匠は退路の確保を。俺は中の確認に行ってきます」
そんなセリオに、ジャックスは待ったをかける。
「待て。俺も行く」




